ヤンチャ・脱走癖…と元気すぎる保護犬2匹 里親宅ではすっかりビビリに…ハプニング連続も「楽しく充実した時間」

2016年、保護犬として里親さんに迎えれらた推定生後4ヶ月の元野犬の子犬。オスのミックス犬で「クマの子」みたいなルックスですが、整った眉毛が凛々しく、ボランティアさんのところではその見た目とヤンチャぶりから「鬼の子クマちゃん」と呼ばれていました。

それにならって迎えいれた里親さんも「クマ」と名づけましたが、家に来た当初は、それまで想像していたものとはまるで違う様子だったと言います。

■ヤンチャ伝説そのままのハードっぷりのクマ

施設でのヤンチャ伝説も聞いていましたが、里親さんの家ではそういった素振りをいっさい見せず、むしろなかなかのビビリっぷりでした。

ケージからなかなか出てきてくれなかったり、少食でなかなかご飯を食べてくれなかったり……。この点、里親さんがかなり心配に思うほどでしたが、しかしこういったことは焦ったところで解決するものでもありません。里親さんは「いつかクマが心を開いてくれるときが来る」と信じ愛情をたっぷり注ぎつつも、クマのペースを最優先に接していました。

すると、迎えてから約1年が過ぎた頃から、クマが次第に心を開くようになり、同時に本性も表すようになりました。あれだけ食べなかったご飯をバカ食いするようになり、布団を破壊し中の綿まで食べる始末。さらには「鬼の子クマ」の呼び名通り、ヤンチャぶりも取り戻し、ハーネスを抜け出すと「俺は自由だ」とばかりにハイテンションになり、カラスを追いかけ回すことも。慌てふためく里親さんをよそ目に、自力でちゃんとお家に帰ってきたりと、ちゃっかりしたところもあり、すっかり里親さんに甘えるようになりました。

■「脱走」の前科あり。なかなか心を開かない風賀

すっかりクマが家に馴染んでくれたこの時期、里親さんはもう一頭の保護犬を「クマの弟」として迎え入れることにしました。クマと同じオスの白モコ・ミックス犬の風賀です。

事前に聞いたところによると、当初は別の里親さんのところに迎え入れられていたものの、わずか1日で脱走。その後、2週間近く雲隠れした後、再び保護されたとのこと。こういった経緯から「脱走」を意味するイタリア語からこの呼び名になり、漢字をあてられていました。

モコモコとした白い毛、凛々しいルックスからは想像しにくい前科を持つ風賀ですが、実際に里親さんが迎え入れると、尻尾を丸めて心を閉ざしているかのよう。そればかりか、散歩は断固拒否で、お兄ちゃんのクマが嬉しそうに出かけるのを横目に、ダイニングテーブルの下に隠れてしまう始末。

おやつは大好きで、見つけるとハイテンションで食べることもある一方、気分が乗らないとご飯をあげても見向きもしないという気まぐれっぷり。

クマが馴染んだばかりの時期でしたが、今度は風賀が心を開いてくれることを待つ里親さんでした。

■里親さんの穏やかさが、クマと風賀を幸せに!

風賀が心を開くにはクマ以上に時間がかかりました。里親さんの家に来てから1年半ほど経った頃、風賀が初めて自分から進んで家のテラスに出るようになりました。それでも当初はビビる様子で、クマもちょっと心配そうに見守っています。

しかし、この時期からクマと風賀、2頭同時の散歩もできるようになり、それに合わせて食欲も旺盛になり、なんでもバクバク食べ楽しそうな様子を見せてくれるようになりました。

しかし、ふとした瞬間に見せるビビリ癖は相変わらず。散歩中に里親さんが風賀のリードを誤って踏んでしまった際には、それにビックリして急にダッシュし、深さ2メートルほどもある用水路に落ちてしまったことも……。

それでもクマと風賀の、性格も見た目もまるで違う2頭は、今日も優しい里親さんのもと楽しく元気な毎日を過ごしています。

うまくいかないことやハプニングも多いクマと風賀の毎日。でも、その「うまくいかないこと」自体を里親さんが楽しんでる様子もあり、この穏やかさが2頭の元保護犬の気持ちを自由にし、安心させているように思いました。きっと、これからのクマと風賀にも、これまでと同様、楽しく充実した時間が過ぎていくことでしょう。

(まいどなニュース特約・松田 義人)

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