イオンモールでスプレー噴射、傷害容疑で逮捕の28歳女が処分保留で釈放…元刑事が現場の状況や背景を解説

 埼玉県羽生市の大型商業施設「イオンモール羽生」で23日午後7時15分ごろ、買い物客の女性にスプレーを噴射して軽傷を負わせた傷害容疑で、行田市の自称飲食店従業員である容疑者の女(28)が25日に逮捕されたが、26日には処分保留で釈放された、元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は27日、当サイトの取材に対し、事件現場の状況や犯行の背景などについて解説した。

 県警によると、被害者の女性は喉などにやけどの軽傷を負い、女性の夫と息子2人を含む、付近にいた計7人が目や喉の痛みを訴えて搬送された。容疑者は現場から逃走していたが、警察に自ら通報して逮捕され、取り調べに対して「スプレーをかけたことは間違いないが、けがを負わせたことは分かりません」と話しているという。

 事件発生から一夜明けた24日に現場を取材した小川氏は「スプレーにも唐辛子用の成分が入っていたり、熊用のスプレーもあるが、被害者の容体を聞く限りはそれほど強いものではなく、通常販売されているスプレーではないか。7人の被害者も家族連れや女性客、従業員と統一感がなく、また被害者の背後から噴射しており、無差別的な犯行でもない。凶器もナイフなどではなく、スプレーということで、そこまで大ごとにしようというのではなく、トラブルの延長の可能性が強いのではないか。現場周辺にはレジが8台あり、防犯カメラがたくさんある。容疑者とみられる女の服装が『緑色のセーター、ピンク色のようなスカート』ということで、計画的犯行に及ぶには派手すぎる格好です。わざわざ、店内で一番人が集まる場所、人の目や防犯カメラのあるレジでの犯行には疑問点もある。その後の話で、レジの列での順番待ちでトラブルがあったとの話も出ている。被害者は容疑者の顔を全く知らない人と話している」と取材の様子を話した。

■容疑者は自ら名乗り出て逮捕

 そして、容疑者は自ら名乗り出て逮捕されたことを受け、小川氏は「容疑者が判明する前に、名乗り出ているので、自首に該当すると思われます。今後の捜査としては、実際に使用したスプレーが催涙スプレーなのか、他の用途に使うスプレーなのか。逮捕の時点で押収されていると思いますが、家宅捜索をするか、本人が証拠隠滅のためにどこかに捨てていたとしても、それを本人の供述を元に押収するという作業が行なわれると思います」と今後の流れを指摘した。

 また、傷害容疑となったことについて、同氏は「警察の発表ですと、喉や目の痛みで救急搬送されて軽傷ということ。インターネット等で販売されている熊用のスプレーだと、とてもそんなもんじゃなく、私も実際に取り扱ったことがあるが、病院に行っても3-4時間は目が開けることができないくらい、ひどいものもあります。ヘアスプレーなど一般的に日頃から持っていてもおかしくないものだった可能性もあるが、それでも目や口に入れば健康被害が当然ありますから、傷害事件になることは間違いない」と説明した。

 レジ前の行列での割り込みなどによって、その場でトラブルが起き、立腹した容疑者が突発的にスプレーを噴射した可能性も指摘されている。小川氏は「もちろん、そういったこともあると思うが、こうしたスプレーを常時持っていたのかというと、それはそれで逆の問題がある。今回は、そういったことをやってやろうということで、犯行準備としてスプレーを用意してきたということが言えると思います」と付け加えた。

 小川氏は「26日に容疑者は送検されていますが、勾留が付くことなく処分保留で釈放されています。犯行後に逃走しているものの、自ら警察に連絡して逮捕され、証拠隠滅の可能性がないと判断されたか、刑事責任能力的な問題があったのではないか」と改めて推測した。

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