「猫の数だけ愛情は増える」この言葉に後押しされて迎えた子猫 相棒を亡くした先住猫とも距離が縮まる日々

■保健所に持ち込まれた子猫

アメリちゃん(生後3ヶ月半・メス)は、2022年6月、殺処分されるかもしれないと知りながら、飼い主によって保健所に持ち込まれたそうだ。その後、保護団体がアメリちゃんを引き出して譲渡会に出したという。

静岡県に住む片桐さんは、先代猫テンちゃんを保護団体から譲渡してもらったが、2022年7月、テンちゃんは病気で亡くなってしまった。まだ生後3ヶ月だった。8月、片桐さんは団体が譲渡会をしている会場に挨拶をしに行った。その時、初めてアメリちゃんを見て、心惹かれたという。

「可愛くて、可愛くて仕方なかったのです。でも、テンを亡くしてからまだ日も浅く、心の整理ができていなかったので、その日は帰宅しました」

■家族には笑っていてほしい

譲渡会場を後にした片桐さんだが、信頼しているスタッフに、「テンくんは、ご家族が笑って暮らしているのを見ていたいと思うよ」と言われた。

「先住猫のベルは、仲良しだったテンが亡くなってから情緒不安定になっていました。食欲が落ちて、よく眠れず、奇声を上げてウロウロするようになったのです。だから、スタッフさんに言われた言葉にも背中を押されて、アメリを迎えることにしたのです」

片桐さんは、テンちゃんのことをないがしろにしたわけではないし、忘れたわけでもない。

「テンが亡くなってからすぐにアメリを迎えたので、賛否両論あると思います。でも、愛情が薄れたわけではなく、むしろ日々想いは増しています。アメリには、テンがいたから出会えたと思っています」

■猫の数だけ愛情は増える

8月、ボランティアがアメリちゃんを連れてきてくれた。アメリちゃんはベルちゃんに構ってほしくて、ストーカー状態。夫妻はベルちゃんが自然に受け入れられるよう、部屋を区切って、どちらかがベルちゃん、どちらかがアメリちゃんと一緒にいて、うまく2匹の距離が保てるようにしているという。

アメリちゃんはお転婆で遊ぶのが大好き。ごはんもモリモリ食べている。片桐さんは、重荷を背負わせたいわけではないが、テンちゃんの分も幸せに生きてほしいと願っている。

「アメリはテンの代わりではないし、ベルもアメリもそれぞれ別の命です。みんな同じくらい愛おしく大切な存在です」

インスタで知り合った猫友さんは、「10ある愛情を分けるのではなく、この子に10、この子にも10と、愛情が増えるよね」と言った。その言葉は、片桐さんの心にとても響いたそうだ。

(まいどなニュース特約・渡辺 陽)

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