廃墟の片隅で長年営業…でも本日閉業です 北海道・深川セントラルボウルへSNSから別れと労いのメッセージ
閉業間近の深川セントラルボウル(北海道深川市)の光景がSNS上で大きな注目を集めている。
「今月末で閉業する深川セントラルボウルに行ってみた。」とその光景を紹介したのは大学生のmimizukuさん(@hopigon)。
深川セントラルボウルは深川温泉観光ホテルに併設する形で1983年にオープン。15年後の1998年にホテルが廃業し、巨大な廃墟の1階の一部で営業するというなんとも特殊な営業形態になってしまったが、この近隣では珍しく深夜までボーリングやゲームを楽しめる娯楽施設として地元住民に愛されていた。
そんな深川セントラルボウルもこの10月31日で閉業…SNSユーザー達からは
「よくここまで頑張ってくださいましたとしか言うこと無いけど、深夜まで安全に遊べる場所が無くなり寂しい。こういうカオスな場所ももうすぐ消えていく。ありがとう。」
「5年前、隣の秩父別町に住んでた時に行きました!!他に遊ぶ場所がなかったので、思い出の場所です」
「30年ほど前の冬、地元のイベントで今は無き深川スキー場ツアーの後、観光ホテルに行ったことがありますが、当時既に数か所の雨漏りやなかなかお湯の出ないシャワー、立ち入れない別館上部、古いゲーム機、閑散とした上層部フロア昔賑わっていただろう物置と化したダンスホール、何故か別館内部に屋内ゲートボール場があり老人たちが楽しんでいるなど、何かホテル内も全体的にさびれていた感じでした。子ども心に当時最新鋭のスキー場との落差が大きかったなぁ…」
「懐かしい!毎年職場でボーリング大会やってたよ~年末帰省しても遊ぶところ無くなるんだなぁ」
など数々の声の名残を惜しむ声が寄せられている。
■投稿者に聞いた
mimizukuさんにお話を聞いた。
ーー今回、深川セントラルボウルを訪れた経緯をお聞かせください。
mimizuku:元々このボウリング場の存在は知っておりました。訪れる前今月末で閉店という話をTwitterで聞き、無くなる前に記録しておきたいという気持ちから今回初めて行きました。
ーー現在の光景をご覧になった印象をお聞かせください。
mimizuku:4階建ての巨大な廃ホテルの1部だけ煌々と電気が灯っているさまはなかなか物々しい雰囲気でした。夜に訪れたからという理由もあると思いますが…。事前情報は全くないまま訪れたので、少し前の世代筐体たちがこれほど並んでいるとは思いませんでした。ボウリング場だけかと思っていましたが、卓球のスペースやゲームコーナーも設置されていたので正直驚きました。
入口の扉を開けた際、古い建物独特の鼻をつくにおいがしたのも印象的です。閉業間際で晩御飯時の人が入りそうな時間でしたが、自分達ともうひとつのレーンしか埋まっておらず閑散とした様子。意外と広くたしか16レーンありましたが既に6レーンは動かしていないみたいでした。
ーースタッフの様子はいかがでしたか?
mimizuku:受付スタッフ、清掃員、あともう1人スタッフさんがいるみたいでした。自分の作業を淡々と進めていくような快も不快もならない普通の接客でした。閉業間際の特別感はありませんでした。
ーー今回の反響へのご感想をお聞かせください。
mimizuku:かつて利用したという方々から懐かしい、昔よく行ったといった反応をいただけたのは情報発信している身としては嬉しかったです。また、それと同じくらい「営業しているとは知らなかった」という声も多かったです。
人口減少の進む地方で、古い設備のままよく今まで経営を続けてこれたほうなのかもしれないと思います。そして、またひとつ地域の娯楽が無くなってしまうのが寂しいです。これからも北海道の今を根気強く記録し続けていこうと思います。
◇ ◇
全国的な過疎化により、今後深川セントラルボウルのような施設はますます増えてゆくのだろう。せめてmimizukuさんのようにその思い出を記録しようという人が増えることを願うばかりだ。
mimizukuさんプロフィール
暇さえあれば車中泊で撮影に出かける大学生。廃墟・近代建築・産業遺産・温泉・路地・商店街・ディープスポット・民俗・地元グルメ・レトロ喫茶などの、古いもの、廃れゆくものが好き。北海道を中心にマニアックな世界を紹介している。
(まいどなニュース特約・中将 タカノリ)