引っ込み思案で困り顔が「かわいい」と人気の保護犬 本当に困るのは、散歩の際のある習性だった

広島にある行き場のない犬の保護・譲渡活動を行うピースワンコ・ジャパン(ピースワンコ)。広島県内の殺処分対象の犬を引き取り、過去7000頭以上を助けてきた団体です。「ドリームボックス」という犬の殺処分機の稼働を止め、日本全国の犬の「殺処分ゼロ」の実現を目指しています。

同団体の関連施設は、東京から広島までのエリアに点在していますが、そのうちの一つの東京の「世田谷譲渡センター」にいるコナちゃんという保護犬が人気です。推定2歳7ヶ月のメスのワンコで、写真の通りの「ちょっと困ったような表情がかわいすぎる」と、同団体に問い合わせが殺到していました。

■引っ込み思案で人間がちょっと苦手だったコナちゃん

コナちゃんは元野犬です。野犬の保護犬の多くがそうであるように、コナちゃんも人間がちょっと苦手で、引っ込み思案。当初、自ら人間によってくることはほとんどありませんでした。

しかし、かと言って、人間に敵意があるような素振りはなく、触っても嫌がらず、施設に来て間もなくして抱っこもさせてくれるようになりました。もともとの「ちょっと困ったような表情」はそのままでしたが、その性格は穏やかで人懐っこく、このこともコナちゃんが多くの人の注目を浴びる理由でもありました。

■コナちゃんが本当に困るのは、お散歩での「後引き」

コナちゃんは、人馴れとトレーニングを経て、同団体の中では都心部の施設である「世田谷譲渡センター」に来たわけですが、ここでもやっぱりその愛くるしい表情と、人間や他の犬とも仲良くできる穏やかな性格は変わりませんでした。

ただし、そんなコナちゃんも、一つだけ「本当に困る」ようなことがありました。それはお散歩。

ワンコのお散歩には、リードを介して「前引き」「横引き」「後引き」というものがあります。「前引き」はワンコが人間よりも前を歩くもの、「横引き」はワンコと人間が並行して歩くもの、「後引き」はワンコが人間よりも後を歩くものですが、このうち「後ろ引き」の状態になると、コナちゃんはすごく怖がり、途端にパニックになってしまいます。

気の向くまま、自分の足で歩いていた元野犬のコナちゃんらしい特徴です。ただリードを持った人間との歩くスピードが合わないと、コナちゃんのハーネスが取れてしまうことも考えられるため、スタッフはこの点に細心の注意をはらいコナちゃんの散歩を行っていました。同時に、コナちゃんを譲渡できる方の見極めにも念入りに行いました。

■ピッタリの里親さんと出会い、第二の犬生をおくることに

スタッフは、コナちゃんのようなワンコは、犬を飼った経験がある方、そして保護犬、元野犬の特徴についても理解がある方でないと難しいのではないかと常々考えていました。

また、飼ったはいいが、里親さんが仕事などで家にいる時間が短かったりしてもダメ。仕事から帰って就寝までの数時間、朝起きての数時間だけのワンコとのコミュニケーションでは、コナちゃんのような引っ込み思案のワンコはかわいそうだと考えていました。

結果、「世田谷譲渡センター」では数ヶ月という比較的長い期間を経て、スタッフから見て「この人しかいない!」と思った里親さんにコナちゃんを無事譲渡することになりました。

コナちゃんと過ごした時間、散歩で「後引き」を嫌がる素振り、そしてあの「ちょっと困ったような表情」を思い浮かべると、目頭が熱くなるスタッフでしたが、同時にコナちゃんにピッタリの里親さんの元で、第二の犬生が楽しく幸せになることを願うばかりでした。

(まいどなニュース特約・松田 義人)

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