駐停車禁止の場所に車、どう注意する?「美しくて優しい嘘」が話題 「ありがとう」と感謝された言い回し
駐停車禁止の場所に車を停めている人がいたら、どのように対処しますか。声をかけるにしてもトラブルにならないように、と思う人も多いのではないでしょうか。ツイッターで、このような状況に遭遇した写真家・星野翔(@shochacamera)さんの言い回しが話題になっています。星野さんの投稿は以下のようなものでした。
「撮影地で駐停車禁止のとこに車停めてる人いたら『ここ停めちゃだめですよ』じゃなくて『さっき俺もここ停めてたらめっちゃ怒られたんであっち停めるといいですよ』って教えてあげてる。口論にならず毎回『ありがとうねー!』で終わる。嘘も方便」
ある日、道路際の花を撮影していた星野さん。三脚と人間が立てるスペースのあるところで、後ろは道路だったので注意を払って撮影を続けます。その途中、一台の車が星野さんの近くに停車。降りてきたのはカメラマンと思しき2人組でした。
しかし、停車した場所は路上かつ下り坂の一番下。下り坂で速度のついた車が横を通り過ぎて行くので交通事故の懸念、同グループと思われたくないなという思いから星野さんは、近くの駐車場を指し「さっき俺もここ停めてたらめっちゃ怒られたんであっち停めるといいですよ」と言葉をかけたのでした。結果、2人組はすぐに車を移動させてくれたといいます。当時のことを星野さんに伺いました。
■「"肯定"で話す方がスムーズに伝えられる」
ーー写真家として活動するうえで路上駐車はよくある?
「よく見受けられます。それが原因で撮影禁止となる場所も少なくないです」
ーーでは今回と同様の状況が多く、この言い回しが身についた?
「元々自分は介護福祉士として5年間ほど介護施設で働いておりました。介護現場では、認知症など様々な症状を持つご高齢のご利用者様がいらっしゃいます。その中で『あれはダメ』『これはダメ』と頭ごなしに否定してしまうとご本人が余計に興奮してしまったりパニックに陥ってしまうことがあります。
なので、あまりご本人を刺激しないように、嘘を交えてでも"否定"からではなく、『こうだからこうした方がいいかも!』と、"肯定"の意を込めて話す方がスムーズに物事を伝えられるのではないかと考えました。
こうした介護現場での経験から相手を刺激せずに誘導する言葉が考えずとも自然と出てきたと思っております」
ーーほかにも、コミュニケーションで意識していることは。
「人と関わる際は"自分の普通を押し付けない"ということを心がけてます。『普通はこうするよね』など。自分がこう言われるのが好きではありません」
◇ ◇
星野さんは注意喚起や啓発のつもりはなく、ただ思ったことをつぶやいたそうですが、7.2万いいねがつくほどの話題となりました。一部では「トラブルに発展するかも」と懸念する声もあがりましたが、「すぐに通報するのが手っ取り早いということは私自身承知しています」と星野さん。
星野さんの機転の利いた言い回しには、「これは美しくて優しい嘘」「すごい!『注意された』て思わず『教えてもらえてラッキーだった』になる 頭よか~」「ほんと、言い方ひとつで印象違う」と感心する声が多く寄せられています。
(まいどなニュース・門倉 早希)