里親から戻された保護猫 仲良し兄弟を別れさせたくない…急遽2匹とも家族に「絆を守れてよかった」
■出戻って、再び里親募集していた子猫兄弟
レオンちゃんとスピカちゃん(2歳・オス)の母猫は野良猫で、幹線道路の脇で生活していた。交通事故に遭わないよう保護団体が保護したら、妊娠していて、保護した翌日に4匹の子猫を出産したという。うち2匹がレオンちゃんとスピカちゃんだった。
東京都に住む山崎さんの夫の実家では猫を飼っていた。一人っ子の長女は、帰省するたびに猫と遊んでいたため猫が大好きになり、ことあるごとに「猫を飼いたい」と言っていた。山崎さんは、長女が高校生になり、子育ても一段落したので前向きに猫を飼うことを検討した。
「娘は譲渡サイトでスピカを見つけました。前から飼うなら絶対に保護猫がいいと言っていたのです。スピカは一度誰かに譲渡されたのですが、トライアルがうまくいかず、再度里親を募集していて、私たちは施設までスピカを見に行きました。なぜ戻されたのかは知らないのですが、私たちはスピカに出会えて嬉しく思っています」
会場にはたくさんの猫がいて、スピカちゃんはレオンちゃんと一緒のケージに入っていた。山崎さんは1匹だけ飼うつもりだったが、ボランティアが「この子達は兄弟でとても仲が良いので2匹一緒にお願いします」と言ったので、その場で家族会議を開き、山崎さんと娘さんはあまりにも2匹が可愛かったので多頭飼いを即決、夫は渋々承知した。
■猫風邪と診断されたがアレルギーだった
2匹は家に来た初日から仲良く家中を駆け回り、写真立てや置物を倒しながら走り回っていた。見ている家族の目が回るほどだった。スピカちゃんは人懐っこく、穏やかで動じないタイプだったので、警戒心の強いレオンちゃんにとって安心できる存在だったようだ。
数ヶ月前、レオンちゃんは突然深夜に十数回嘔吐して、夜間診療してくれる動物病院で診てもらった。アレルギーによるアナフィラキシーショックだった。検査してもらうと、他にもアレルギーがあることが分かった。
「ずっと鼻水や目の痒みに悩まされていて、毛並みもあまり良くなかったのですが、猫風邪だと診断されていたのです。でも、アレルギー除去食にしてから鼻水も目の痒みも治り、毛並みも良くなりました。もっと早く気づいてあげたら良かったと思いました」
■兄弟の絆
スピカちゃんは優しくておっとりしているが、ケンカは強い。家族の前では虚勢を張っているところもあるが、人一倍甘えん坊でもある。レオンちゃんは、山崎家の赤ちゃんのような存在。ケンカは弱く、いつも負けてばかりだが、スピカちゃんにわざと負けている説もある。
2匹は一家に癒しと笑顔をもたらしてくれる。
山崎さんは2匹一緒に譲渡してもらって良かったと思っているそうだ。
「私はパートのため一日に数時間家を開けます。兄弟でお留守番出来るので、寂しくなく過ごせてよかったと思います。実際仕事から帰ってくると1つの寝床で2人くっついて寝ていることがよくあります。レオンのアレルギーによるアナフラキシーショックで夜間救急へ行った時も、留守番のスピカはずっと大声で鳴き心配していたそうです。そして、家に帰ってくるとぐったりしているレオンに寄り添ってずっと看病していました。日常の中でも、兄弟の絆を感じることが多々あり、2匹を引き離さなくて本当に良かったと思っています」
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)