友近おすすめの郷土の味 「みそ汁に入れたら主役に」「一度食べたら他はムリ」 油揚げの概念覆す「松山あげ」とは?

 「油揚げの概念変わった」「みそ汁に入れたら家族ではまった」ーー味の評価プラス、常温で90日保存可能、油抜き不要という便利さで評判が広がる油揚げがあります。明治15(1882)年創業、程野商店(本社、愛媛県松山市)の「松山あげ」。長年愛される理由を同社取締役・製販統括部長の程野成恭(なるゆき)さんに聞きました。

■「お餅のような食感」ラーメン店の具材にも

 明治の初めごろには作られていたといわれるロングセラー商品。同県出身のお笑いタレント友近さんが自身のインスタグラムで郷土の味として紹介したり、料理愛好家らがSNSで発信する日常のレシピにたびたび登場したり、インターネットを通じて知名度が高まっています。感想の中で特に目立つのは「一度食べたら他は食べられない」という声。他の油揚げとはどこが違うのでしょうか。

 「一般的な油揚げは肉厚ですが、松山あげは薄くて乾燥しているような状態です。お豆腐を3ミリほどにスライスし、ギリギリまで圧縮して水分を飛ばした後はフライ工程を経て、最終的には水分2%ぐらいまでの状態にします。スナック菓子と同じぐらいの水分ですので、開封してそのまま食べても大丈夫です。鮮度を保ったままパッキングしているので、開封前なら常温保存で3カ月持ちます。調理の際は油抜きが不要で、手でパリッと好きな大きさに割って使えます」

 汁物に入れるとふわふわになる、油揚げの食感と思えないと驚く声もあります。

 「みそ汁に入れたら松山あげが主役になります。これも水分が関係していて、水分がない分、出汁を吸いやすい。水分を吸ってクッション性が増し、モチっとした食感になります。よく言われるのが『お餅のような食感』です。使用する油は厳選した菜種油なので風味もいいです。料理にコクを出したいときや、煮物やお鍋で味を整えたいときに、調味料がわりに使うという人が多いです。お肉の代わりとして、しゃぶしゃぶにして食べる人も。四国や岡山などのラーメン店でも具材としてよく使われています」

■宅配便の緩衝材がわりにも!?

 同社ホームページでは、丼やキムチ鍋、ホワイトシチューなど、現代風のレシピも多数紹介しています。話を聞いた程野さんは5代目現社長の子息。子どもの頃から人一倍接してきた程野さんがおすすめする食べ方は。

 「特におすすめは、巻きずしのノリのかわりに松山あげで巻く。これはおいしいですよ。とあるいなりずし屋さんでは商品化もされています。オーブントースターで軽く1分弱焼いて、しょうゆやショウガじょうゆなどで食べるとお酒のおつまみになります。これもおいしいです。炊き込みご飯に入れて炊いたらコクが出てすごく風味がよくなります。それから少し前の話ですが、スポーツジムのダイエットレシピとして、ピザ生地のかわりに松山あげを使った例がありました」

 以前、西日本限定のスナック菓子「カール」を宅配便の緩衝材がわりに使用する人が話題になりましたが、今回、松山あげをラッピングのクッション材がわりに使う人を発見しました。程野さんに伝えると「それは初めて聞きました」と驚いた様子でした。

 程野さんは現在の人気について、「日頃から弊社一同、お客さま第一で運営させてもらっています。今年140周年を迎えられたので、今後も品質を落とさず、引き続きお客さまにお届けできるようにします」と感謝の気持ちを述べました。その上で「まだお試しでない方には、油揚げの概念を変えられるような商品だと思います。一度お試しいただけたら幸いです」とアピールしました。

     ◇

 「松山あげ」のラインナップは大判、小判、きざみ、糸切りの4種。全国のスーパーなどで1袋147円~200円前後。同社オンラインショップでも購入可能。新商品として、松山あげが入った「瀬戸内 炊き込みしょうゆ飯の素」(864円)も販売中。価格は全て税込み。インスタグラムアカウントは「【公式】松山あげ 程野商店」(@matsuyama_age)。

(まいどなニュース・金井 かおる)

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