トイレットペーパー、ダブル人気の一方で…“節約志向”の関西人は「シングル」がお好き? 「でも本当に経済的なのか」メーカーに聞いてみた
トイレットペーパーには1枚の紙で作られた「シングル」と2枚重ねの「ダブル」があるが、皆様はシングルとダブルのどちらを選んでいるだろうか? 全国的には肌触りの良いダブルが人気なのだが、実は関西や四国などではシングルが選ばれる比率が高いのだという。その理由として挙げられるのが「シングルの方が経済的だから」「節約できそうだから」というもの。ダブルに比べて長さがあって減りが遅い印象があるが、実際のところは本当に経済的なのだろうか。
トイレットペーパーのシェアNo.1で「エリエール」などの人気ブランドを発売する大王製紙株式会社(以下、大王製紙)ファミリーケア・ブランドマーケティング部の宮本朋宣さんに、なぜ関西や四国ではシングルが人気なのかについて話を聞いた。
■シングルとダブル、何が違う?
シングルとダブルの大きな違いは、紙が「1枚」か「2枚重ね」になっているかどうかだ。シングルはその名の通り1枚で作られていて、代表ブランドの 「エリエールトイレットティシュー」は、全長およそ55mとダブルと比べておよそ2倍近く長いのが特徴。表裏があって1枚で2枚分の強度のため、しっかりとした紙の質感が「お尻をしっかり拭きたい」というファンに愛されている。
逆にダブルは2枚重ねで作られていて、シングルと比べて30m(エリエールトイレットティシュー)と半分程度の長さだ。紙が2枚使われているのでシングルよりも厚くて柔らかく、ふんわりしているのが特徴だ。また紙に滑らかな面とザラザラした面があるが、なめらかな面同士を重ねることで、どのような紙の取り方をしても表裏がなく、お尻への肌触りなめらかなのも多くの人に愛されている理由だ。
そんなシングルとダブルだが、全国平均はシングルとダブルが33:67の割合で分かれているそうで、およそ3分の2の人々はダブルを選んでいる。特に首都圏と九州地方は7割以上の人がダブルを使っている傾向が高いのだそうだ。
逆に関西や四国ではシングルとダブルの割合がおよそ5:5で、若干シングルの割合が高いという結果になっている。また北海道も割合がほぼ5分5分になっていて、これらの地域は全国平均に比べてシングルを選ぶ人の数が多いそうだ。
■関西人がシングルを選ぶわけ
全国的にはダブルが人気だが、なぜ関西や四国でシングルが人気なのだろうか。これについて宮本さんは「シングルは経済的なイメージがあるからではないか」と話している。
「シングルはダブルより2倍近く長いため、その分長持ちだというイメージを持たれています。そのため価格に対して意識の高い関西などの地域ではシングルが人気だと思われます」
また逆にダブルを選ぶ人は、拭く際の肌触りや消臭プラスなどの機能性を重視して買うことが多いという。また全国的にはダブルを買い求める人が多いため、ドラッグストアやスーパーなどでのペーパーの並べ方や売り出し方で、ダブルが推されていることも多いのかもしれない、と宮本さんは推測している。
このように経済的なシングル、柔らかさと機能性のあるダブルという違いが存在するが、同じブランドならば値段はどちらもほぼ同じだ。そしてシングルとダブルの減り具合は、実はほとんど変わらないのだという。
「皆さんがトイレットペーパーを使う際、手に巻く紙の厚さはシングルもダブルもあまり変わりません。そのためにどちらもペーパーの減りは同じくらいなんです。シングルが経済的というのは実はイメージだけだったりします(笑)。またシングルが選ばれる理由は長いために細々と切れて使い勝手がいいというところがあります。どちらを選ぶかは好み次第ですね」
ちなみに男性と女性では、ダブルを購入する傾向にあるのが男性、シングルを購入する傾向にあるのが女性だという。理由は男性がシャワートイレを使用する比率が高いからで、2枚重ねのダブルの方が吸水しやすくシャワートイレの使用との相性がいいのだそうだ。
■年齢差によって変わる古紙とピュアバルブ
ペーパーを選ぶ際のポイントは シングル/ダブルだけでなく、使用されている 素材も重要なポイントだ。 トイレットペーパーは使われている原料から一度も紙になっていないパルプを使用した商品(メーカーによりピュアパルプやフレッシュパルプなどとも呼ばれる)と回収した古紙を原料にした再生紙の商品に分けられる。 一般的には、ピュアパルプの方が紙の繊維が長く質感が良くなる。
20~30代といった若年層になるほど価格の安い再生紙が選ばれ、年齢を重ねるほどに肌に優しく柔らかいピュアパルプが選ばれていると宮本さんは話す。1枚か2枚重ねかだけでなく、肌触りや値段などもトイレットペーパーを選ぶポイントのひとつだ。それが再生紙とピュアパルプの選ばれ方の違いにも現れている。
家族間や夫婦間などで喧嘩の種にもなりかねない、トイレットペーパーの「シングル or ダブル」論争。ペーパーを選ぶ際はシングルとダブルの双方のメリットを見て決めてみるのがおすすめだ。また古紙とピュアパルプの違いにも注目してみるのも面白いかもしれない。1日に何度か訪れるリラックスタイムだからこそ、あなただけのこだわりのペーパーを見つけてみてはいかがだろうか。
(まいどなニュース特約・福井 求)