前後左脚に障がい イベントで出会った保護犬を家族に 惜しみなく愛情を注ぐ飼い主さん「できるだけ障壁の無い生活を」
「もともと犬か猫を飼いたかった」というれなたさん。結婚が決まった際も新居を「ペット可」物件に決めて過ごしていました。
結婚式を終えて数カ月後、保護犬団体「ちばわん」のイベントで1頭の気になるワンコに出会いました。なつっこすぎず、離れすぎずの控えめでかわいい印象のワンコで、特に旦那さんが一目惚れ。
しかし「ちばわん」の保護犬預かりボランティアさんによれば「左後脚大腿骨が骨折して無治療のまま固まっている」「痛みはないが、左前脚首が曲がらない」「フィラリア陽性と疥癬も見られる」といった障がいや病気があるとのこと。そういったことも含めて、れなたさん家族はしっかり理解をし、トライアル期間を経て、このワンコを迎え入れることにしました。
飼い主の思いを感じ取る穏やかな性格のミランちゃん
れなたさん家族は、尊敬するドッグトレーナーのシーザー・ミランから名前をもらい「ミラン」と名づけて一緒に生活を始めました。
保護犬でよくあるのは「元野良犬で人馴れしていない」「捨てられた記憶があるため人間を信用しない」といったことから、突然、予想できないことで怖がったり、急にその場から逃げ出そうとすること。ひとたび逃げ出してしまうと、交通事故にあったり、再び野犬化し、捕獲されてしまうこともあります。
こういったことを避けるためにも、保護犬団体の指示通り、れなたさん夫婦は念入りな対策を行いました。部屋には脱走柵を設け、散歩時にはミランちゃんの首輪とハーネスそれぞれにリードをつける「ダブルリード」式にしました。
しかし、これだけの対策をした一方、当のミランちゃんはとても穏やかな性格で、散歩中に逃亡するような様子はありません。れなたさん家族の家に来た初日こそ、よそよそしい感じのミランちゃんでしたが、一緒に過ごすうちにアッという間に、れなたさん家族に馴染み、心を開いてくれるようになりました。
また、ミランちゃんはお留守番の際、いつもクレート(扉付きの持ち運びケージ)の中に入って過ごせるようしつけました。自分の居場所として安心してくれるようになり、地震警報が鳴った際も、「ハウス!」の一言でクレートに入ることができました。
■ミランちゃんの動作に異変が…
そんなミランちゃんを連れて、れなたさん家族はあちこちの場所に出かけたり、旅行したりと楽しい日々をおくっていましたが、その体に変化が訪れました。動作が日に日に遅くなり、とにかく歩きにくそうです。
冒頭でも触れた通り、事前に「左前後脚に障がいがある」と聞き、きちんと理解した上でケアを行なっていたれなたさん家族ですが、当初のミランちゃんはそれほど痛そうにしておらず、スキップをするほどでしたので、日に日に歩きにくそうになる姿を見て、胸を痛め、心配になり、改善をはかって鍼に連れていくなどもしました。散歩時のペースが昔に比べてかなり遅くなり、たまに散歩に疲れ果て、その場に座り込んでしまうようになってしまいました。
「サポートしたら、もっと歩きやすくなるのでは?」という考えに至ったれなたさん夫婦は、犬用車椅子を作る工房を訪れました。犬用車椅子はミランちゃんの弱った脚でも歩きやすくなることだけでなく、自分の脚で立つという意識を持たせられる上、筋トレにもなるということを教わり、制作を依頼。
最初こそ、慣れない犬用車椅子に戸惑うミランちゃんですが、装着すると、期待通り後脚も動かすようになり、相応の効果がありました。
■目、鼻、耳にも老化が進行し始めた
さらにミランちゃんはシニア犬の域に入ったようで、目、鼻、耳にも老化が始まりました。白内障となり、左眼は明暗くらいしか見えなくなっている様子。右眼も少し白みがかってきています。さらに耳が遠くなったのか呼びかけに反応しないことに加え、散歩中に会う他のワンコに気づかないこともしばしば。鼻の効きも弱くなった印象で、かつてほどは周囲の匂いを嗅がなくなりました。
散歩時のペースが昔に比べてかなり遅くなり、たまに散歩に疲れ果て、その場に座り込んでしまうようになってしまいました。
■肉体は衰えても、心は元気のまま
「障がいがあっても、できるだけ障壁の無い生活環境を作る」ことを目指しているれなたさん。ブログ『れなたのひなた』では、ミランちゃんに注ぐ愛情と、問題が起きた際に改善すべく楽しみながら惜しみないアイデアや便利グッズ制作などの実行力をされている姿を垣間見ることができます。
そして、その愛情をしっかり感じ取るミランちゃんの幸せで楽しい生活は、今日も穏やかに続いています。
(まいどなニュース特約・松田 義人)