保護犬カフェの店主は現役女子大生「保護犬の命をつなぎたい」 オープンから半年、どうなった?

 現役女子大生が運営するドッグカフェ「JILL&TETO café」が大阪・北堀江にオープンし、間もなく半年を迎える。平日はおしゃれなカフェとして営業し、週末は定期的に譲渡会を開催してきた。「保護犬の命をつなぐカフェをつくりたい」という思いからスタートし、今後は人にも動物にも優しい社会の実現を目指す。近大4年生で店主の木村鈴花さんを取材した。

 女子大生がやっている犬カフェが堀江にある、と聞いて、のこのこと出掛けてみた。場所は大阪メトロ「西大橋」から南へ歩いて5分ほどのところ。その店は、オシャレな街の一角にあった。

 玄関先もいたってシンプルでいい感じ。中に入ると思った以上に広く、予想通りにほんわかとした空間が広がっていた。ただ、訪れた時間が遅めだったこともあって、ワンちゃんは1匹だけ。ジロッとこちらをにらんだのは「タロウ」という名の老犬で、飼い主の山本浩嗣さん(47)は大阪府高石市から来たという。

 「この子はもともとは両親が飼い始めたもので、いま推定15歳。森ノ宮で出会った保護犬でシェパードの雑種だと思います。性格は怖がりの甘えた。ここのおやつが好きで、一緒に寛げるから1カ月に2、3回来ています」

 その横で見守っていたのは大阪出身で店主の木村鈴花さん。シュッとした今風の女子大生でぱっと見だとお客さんかと思えるが、実は「JILL&TETO」株式会社と学生団体「Lonibera」の代表も務めている。店名にもなっている「JILL&TETO」は愛犬のトイプードルの名前から取ったものだ。

 オープンするきっかけは大学1年のとき、フロリダ州タンパへの米国留学。本人曰く「それまでは(社会に対して)何も考えてない人」だったそうだが「留学後にSDGsや環境問題について真剣に考えるようになり、母から保護犬の実情を聞く中で、社会問題のひとつとして本気で解決したい、と思うようになりました」と言う。

 そこで、まず仲間とともに実行したのが開業に向けてのクラウドファンディング。「保護犬の命をつなぐカフェをつくりたい」という健気な思いに共感する人は多く、目標の250万円を上回る292万円が集まった。

 ワンちゃん好きの女子プロゴルファーが力を貸してくれたことも大きかった。木村さん自身がゴルフをしていたことから竹村真琴、植竹希望、加賀其真美ら5選手とつながり、サイン入りウエアや帽子、手袋、ボールなどのリターンの品を提供してくれたという。

 「みなさんのサポートがあっていまがあります。カフェでは保護犬の現状をより認知してもらうため、同世代にもどんどん発信していきたいですし、譲渡につなげるための場としても積極的に活用して行ければと思っています。そして、最終的には動物愛護につなげていくこと。それが願いです」

 外から中の様子が見えづらいので、敷居が高そうに思われるが、決してそんなことはない。客層は30代から40代の女性が中心。実際に愛犬を連れて訪れたい人のために、あらためてカフェの特徴を挙げると、まず店内はカウンターと大小5つほどのテーブル席があり、しかもその間隔が広くて、とても開放的。カフェの中を自由に行動でき、マナーパンツを着用していればリードも不要。季節に応じて当然のように映えスポットも用意しているから愛犬といいツーショットも撮れそうだ。

 「殺処分がなくなるように今後も様々な活動に取り組みます。12月には新たなクラファンを実施する予定なんですよ。企業や地域の方に協力してもらいながら、ひとつひとつ社会問題を解決していければ」。木村さんの眼差しは優しく、真剣そのものだった。

(まいどなニュース特約・山本 智行)

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