卸売市場にいた子猫2匹を家族に お迎え初日はケージにこもり切り→3日目からドタバタの毎日に
■市場にいた子猫たち
ミュウちゃん、ハクちゃん(生後6ヶ月・オス)は、兄弟と一緒に熊本県の田崎市場にいた。4匹兄弟だった。市場はトラックが行き交い交通事故に遭う危険性が高かったので、2022年4月、猫の保護団体が子猫兄弟を捕獲した。生後1ヶ月くらいで、小さな身体はノミだらけだったという。
その後、理由は分からないが、ミュウちゃんだけ、まだ生後1ヶ月ちょっとだったのに去勢手術を受けた。他の保護団体の会長が早すぎる去勢手術に疑問を抱き、全員を保護したそうだ。
■寄り添う4兄弟の猫に釘付けに
熊本県に住む竹下さんは、ずっと猫を飼いたいと思っていたが、両親が亡くなったり、娘が転勤や引っ越しなどで忙しくしていた。2022年8月、やっと落ち着いてきたのでミュウちゃん、ハクちゃんを保護していた団体の譲渡会に行ってみたという。
「保護団体のインスタやFacebookにミュウとハクたち4兄弟の動画が掲載されていました。ごはんを食べる動画がとても可愛かったんです。この子たちのことが前から気になっていたので、譲渡会場に着いたら真っ先に見に行きました」
会場には50匹近くの猫がいて、竹下さんは他の猫もぐるりと回って見た。人懐っこい子もいれば威嚇してくる子もいた。しかし、やはり重なるように寄り添っている4兄弟に心は釘付けに。
「自己紹介文には、『元気いっぱい!』と書いてありましたが、どこか他の猫に比べてやる気のない、ダルダルな感じにも見えました。おとなしい子たちだなあという印象でした。今は有り余るほど元気な猫だと思いますが、なぜかその時はか弱く見えました」
ボランティアに「抱っこしてみますか」と言われて、サクラ耳のミュウちゃんを抱っこしてみたらそのまま連れて帰りたくなった。
「兄弟を引き離すのは忍びなくて2匹飼うことにしたのですが、もう1匹を選べず、最後はボランティアさんに後ろ向きに抱っこしてもらって選びました(笑)」
■手がかかるけど可愛い
8月28日、保護団体の代表とスタッフ、保護主ら3人がミュウちゃんとハクちゃんを連れてきてくれた。2匹とも3人がいる時は部屋中を飛び回り猫じゃらしで遊んだが、帰ってしまうとケージのハンモックの中に隠れるように寄り添っていた。
「夜も少しだけ弱い声で鳴いていました。翌日もほとんどケージから出ず、ごはんも食べず、トイレもしませんでした。翌々日にやっとごはんを食べてくれました」
2匹は間もなく家に慣れたが、今度は走り回ったりニャンプロをしたり、ものをなぎ倒したりして、怪我をしないように目配りしていたら、毎日神経が休まることがなく竹下さんはクタクタになった。
「トライアル期間中は、私はこの子たちをちゃんと育てられるだろうか、2匹も一度に飼うのは無謀だったのではないかと悩みました。夫は仕事が忙しいのであてにはできず、夫婦喧嘩になることもありました」
竹下さんは自宅のサロンでアロマの仕事をしているのだが、猫を飼っているお客さんが、「猫ちゃんのペースに振り回されなくていい。先生のお家の猫ちゃんなんだからお家のペースに慣れてもらいましょう。猫ちゃんは猫ちゃんで、その中で自由にやるから」と言ってくれた。そう言われて、竹下さんは一気に気持ちが楽になり、張り詰めることがなくなった。
ミュウちゃんは撫でてほしいとぶっきらぼうに側にバンと横たわってくる。おもちゃをハクちゃんに譲ってあげたり、遊びに誘ってあげたりする優しい猫だ。ハクちゃんはおねだりしたい時は、ウインクしながらすり寄ってくる。あざと可愛くて騙されてしまうそうだ。
竹下さんは、「手がかかるけど可愛い。子育てをまたやっているみたいです。2匹がうちに来てくれて良かった」と言う。
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)