箱に入れられ川に流されていた子猫 成長後は腎臓病に 猫たちの医療費ねん出に保護団体が始めたこと

大阪府で暮らすはなちょちゃんは、いつも何だか体調が悪い。今も腎臓病治療のために、輸液を150ml毎日行っています。今年の1月から始まった輸液の日々は、最初こそ嫌だったものの、最近では「仕方がないこと」と分かってきたみたい。

2013年冬、はなちょちゃんは茨木市を流れる川へ箱に入れられ遺棄されているのを、近くに住む小学生が発見しました。慌てて川から引き上げ、家に連れて帰ります。でも、お家で一緒には暮らせない…。お母さんから高槻ねこの会に連絡が入り、はなちょちゃんはシェルターで暮らすことに。当時、推定1歳。

はなちょちゃんが暮らす高槻ねこの会のシェルター「ねこのおうち」は、猫エイズキャリアの猫ばかり。はなちょちゃんもそう。免疫力が低下する猫エイズですが、のんびり暮らせば発症しないまま生涯を終えることも。代表のOさんはそれを知っていますから、猫エイズキャリアの猫でも譲渡しています。可愛らしい面立ちのはなちょちゃんも、新しいお家がすぐ見つけるはずでした。

しかし、体調がすぐれない。「重症だ!」というような病気にはなったことがありませんが、少しずつ悪い感じ。猫エイズキャリアで体調不良となると、いくらはなちょちゃんが可愛いくても迎えようという家庭はありませんでした。気付けば10年近く高槻ねこの会で暮らす猫に。3度のお引越しも経験し、今や「ねこのおうち」の最古参の1匹です。

古株のはなちょちゃんは、他の猫に頼られる存在。とても優しい性格で、ケンカを売ることも売られることもありません。いつも誰かしらがはなちょちゃんのそばでくつろぎ、毛づくろいをしてもらっています。中でもポポちゃんははなちょちゃんが大好き!はなちょちゃんもそれを知っていますから、自分からポポちゃんに毛づくろいをしてもらいに近付くことも。

穏やかに暮らすはなちょちゃんですが、実は高槻ねこの会には毎日補液が必要な猫は他に数匹もいて、継続的な医療費が必要です。通院が必要な猫もいます。だから医療費が月に約10万円ほど必要で、多い時は20万円も医療費にかかることも。シェルター内でスタッフができる治療は行い、薬を自分たちで取り寄せることもあります。それでも、やっぱり10万円はかかる。

ここまでなると寄付だけでは賄えません。そこで、高槻ねこの会では空き缶を寄付してもらい、それをリサイクルに回すようにしました。「ねこのおうち」の近隣住民も協力をしてもらい、収益は高額医療の猫の治療費に。

それでも足りないため、今度は手芸部を設立。ハンドメイド作品を譲渡会やバザーで販売。このハンドメイド作品はとても好評で、特にアクリルたわしは使いやすいとリピーター続出です。猫がモチーフのアクセサリーも可愛いですよ。

このハンドメイド作品は昨年度から高槻市のふるさと納税の返礼品に採用されています。高槻ねこの会の活動が、地域の猫のためだけでなく、公衆衛生のため尽力していると認められたためです。返礼品を選んでもらえることで受け取ったお金は、FIPや難病の治療、原因不明の病気の検査費用に使用され、猫たちは皆元気になっています。難病だった猫も、本当に病気だったの?って思ってしまうほど元気です。

様々な工夫を施し、保護猫のために尽力をする高槻ねこの会。広報部のKさんはこう言います。

「人も猫も同じ命として接していくことが、地域の安全につながっていくと考えています。出会った命を大切にしたいです」

新しいお家に見送る猫も、はなちょちゃんのようにずっとシェルター「ねこのおうち」で暮らす猫も、同じように医療を受けてもらいたい。せっかくこの世に生まれたのだから、健やかで楽しい生活を送り権利はどの猫にも、もちろん人間にもある。

そんな想いを抱き、高槻ねこの会はこれからも邁進し続けます。

食いしん坊のはなちょちゃんのご飯代も必要ですしね。腎臓病でこんなに食欲があるなんてビックリって、獣医さんが驚くほど食べるんです。川に流されたあの時は絶体絶命のピンチだったのに、10年近く元気なのはこの食欲のおかげです。助けてくれた小学生は覚えてくれているかな?はなちょちゃんは元気だよ!

ぜひ、はなちょちゃんに会いに高槻市浦堂のシェルター「ねこのおうち」へ遊びに来てくださいね。

(まいどなニュース特約・ふじかわ 陽子)

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