片目が潰れ、最後まで残された子猫を迎えたら…すぐに先住猫が「鼻チュー」で寄り添って 2匹の優しい世界

■線路を横断する子猫たち

はんぺんちゃん(3歳・メス)は、Aさんが保護した子猫だった。2019年11月、Aさんが家の窓から外を見ていたら、自宅近くの線路を子猫が5、6匹トコトコ渡っているのが見えた。慌てて外に出て子猫たちが歩いていた方向に向かうと、古い民家の柵をよじ登っている子猫が見えた。

その家の人に事情を話して庭の中に入らせてもらうと、物置で母猫と子猫が暮らしていたそうだ。Aさんは8匹の子猫を保護して自宅に連れ帰った。その中に1匹がはんぺんちゃんだった。

■8匹の中、最後まで里親が決まらなかった猫

神奈川県に住む飯嶋さんは、実家では犬を飼っていたが、知り合いが飼っている猫と触れ合うようになってから、すっかり猫の魅力にハマったという。結婚後、猫を飼おうと思い、地元の動物愛護センターの里親募集情報を調べてみたが、共働きの家族は里親になれず、猫の飼育経験がない人もダメだった。

「今はそのくらい譲渡のハードルが高くないといけないと思うのですが、当時は保護猫はあきらめ、ペットショップで猫を飼いました。その子が先住猫のマンチカン、もなかです。その後、もなかがお留守番の時に寂しくないようにと2匹目を迎えようと思っていた時にはんぺんと出会いました」

はんぺんちゃんたちを保護したAさんは、飯島さんの職場の同僚だった。飯島さんは写真や動画を見せてもらい、1匹譲渡してもらうことにしたが、「一番最後まで里親さんが決まらなかった子でいいよ」と言っていた。はんぺんちゃんは右目が膿で潰れてしまっていたからなのか、なかなか里親が決まらなかった。動物病院で早期に治療してもらったので、今ではすっかりキレイに治っている。

■2匹目を迎えて良かった

2019年11月8日、はんぺんちゃんは飯島さんのところにやってきた。

飯島さんは、はんぺんちゃんをケージに入れた。はんぺんちゃんは全く怯えることもなく、人見知りをすることもなく、ケージの中でキョロキョロしていた。はんぺんちゃんともなかちゃんが慣れるには1週間はかかると思っていたが、以外にもその日のうちにケージ越しに鼻チューなどをし始め、翌日には直に対面した。

「はっちゃんがあちらこちらガンガン探検するのをもなかが遠くから観察しているようでした。でも、翌日の朝には一緒に寝ているくらい、本当に仲良しで、今でも心配になるくらいべったりしています」

2匹一緒だとお留守番をしていても寂しくなさそうで、飯島さんは家族が増えて本当に良かったと思っている。

「もなかとはんぺんにしか分からない遊びに夢中になっていたり、一緒にくっついて眠っていたり、グルーミングしあっていたりする姿を見ると、2匹目を迎えて本当に良かったと思います」

(まいどなニュース特約・渡辺 陽)

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