中国・上海からやってきたココちゃん、19歳のシニア犬に 心臓病、腎臓病、肺水腫、そして奇跡の生還
2003年の大晦日生まれのミニチュアピンシャーのココちゃん。もうすぐ19歳になる超シニア犬です。ミニチュアピンシャーの18~19歳は、一般に「人間にたとえると80~90歳」と言われることもあり、かなりのご長寿ワンコと言って良いでしょう。
そんなココちゃんですが、今から5年ほど前、キッチンで血を吐いて倒れたことがありました。ココちゃんは救急で病院に運ばれましたが、もともと後述する複数の病気を患っていたこともあり、飼い主さん家族は「もしかしたら、これが最期のお別れになるかもしれない」と全員で覚悟をしていました。
しかし、ココちゃんはここで奇跡的に命を取り戻しました。
ココちゃんが患っていたのは心臓病、腎臓病、肺水腫など。こういった、複数の病気を抱え通院を繰り返しながらも、強く生き続ける超シニア犬・ココちゃんのお話をご紹介します。
■「値段のないワンコ」ココちゃんとの出会い
飼い主さんは、以前中国・上海で暮らしていたことがありました。上海での生活で「犬を飼う」ことを決めてペットショップに立ち寄りました。そのペットショップにはおおむね様々なワンコに値段がつけられ販売されているのですが、1頭だけ何故か値札のないクリクリとした瞳のワンコがいました。どういうことだろう? と気になり、店員さんに尋ねると「今晩、別の地方に送られる子たちだよ」と言います。
すでに犬を飼うために準備を整えていた飼い主さん。当初は他の犬種を考えていましたが、お店の中で一際小さいそのワンコから何かの縁を感じ、送られるはずのこのワンコを迎え入れることを強く決めました。それがココちゃんでした。
■「犬の成長は人間の数倍ほどに早い」
若い頃のココちゃんは毎日を元気に過ごしていました。やがて飼い主さんが日本に帰国することになった際、もちろんココちゃんも一緒に日本に来ました。
さらに飼い主さんに2のお子さんが生まれ、ココちゃんにとっても、新しい家族が増え、上海での生活とはまた違う十分すぎるほどの幸せで楽しい日々を過ごしていました。
しかし、やがてココちゃんの体に変化が起きるようになります。「犬の成長は人間の数倍ほどに早い」と言いますが、ココちゃんはその言葉通りに、体調の衰え・不調が出始めるようになりました。
■食べ物に混ぜた薬をなかなか口にしてくれない
特に顕著だったのが、冒頭でも触れた5年前のこと。キッチンで血を吐いて倒れてしまいました。救急で診てもらった病院で、なんとか命をつなぐことができましたが、この際、ココちゃんは「僧帽弁閉鎖不全症(そうほうべん へいさ ふぜんしょう)と診断されました。心臓の弁が正常に働かなくなり、心臓の中で血液が逆流してしまう病気です。人間でも高齢化にともない、増加している病気で進行すると、心不全などを引き起こす恐れもある怖い病気です。
なんとか一命を取り留めたココちゃんは、以降、病院で処方された薬を飲み、病院で点滴を打つなどして栄養補給をすることになりました。
ただし、ここで大変だったのが薬で、ココちゃんの食事に混ぜて飲んでもらおうとしても、食欲自体がなく、なかなか飲んでくれません。健康だった頃は大好きだった焼き芋、バナナ、りんご、ヨーグルトもなかなか口にしません。飼い主さんが鶏肉を煮込んで作ったお粥も、スプーンで口に運ぶとそっぽ向いて寝てしまう始末……。
頭を抱える飼い主さんでしたが、なんとココちゃんが口にしたのはなんと、ワンちゃん用の甘酒! 大好きな甘酒をぐいぐい幸せそうに飲むココちゃんを見て、飼い主さんは喜びをかみしめました。
■ココちゃんの介護は「恩返し」
以降、ココちゃんは命を取り留め、5年以上も長く生き続けています。飼い主さんによれば、これは病院での治療はもちろんのこと、毎日休むことなくお世話を続ける家族の温かいチームワークのおかげだと自負しています。
「少しでもココちゃんと一緒に過ごせる時間を大切にしたい」とワンコと入れるお店を一生懸命探す旦那さん、お風呂に入れないココちゃんの身体を優しくブラッシングしてくれる娘さん。さらに娘さんは、一緒にカートにココちゃんを乗せて30分ほど散歩したり、オムツを交換できるようにもなりました。
飼い主さんは、お子さんたちに「介護はココちゃんへの恩返しだよ」と伝えています。
こんな風に超シニア犬・ココちゃんは、体調はさておき精神的には今日も幸せな日々をおくっています。
しかし、先日「もってあと1ヶ月」という余命宣告を受けてしまいました。
■「余命1ヶ月」を乗り越え、生き続けるココちゃん
ココちゃんが18歳8ヶ月を迎える頃のこと。どうもココちゃんから食欲を感じなくなり、回復する力もどんどん弱くなっているように映りました。また、高齢による認知症も進み、徘徊したり、飼い主さん家族の存在を忘れてしまう日もあるほど……。
ココちゃんは点滴を打つためにずっと通院を続けていましたが、最近のココちゃんの著しい体調の衰えを病院の先生に訴えると「もってあと1ヶ月」と、余命宣告をされていました。
飼い主さん家族は全員で覚悟すると共に、なんとかその「余命」までの時間を少しでも長く過ごしてほしいと願いました。すると……。
ココちゃんは「余命」時期を超え、さらに2ヶ月も生き続けています。その生命力は大したもので、さらには、自分の力で少し歩けるようになり、顔つきも心なしか良くなったように映ります。こんなココちゃんのたくましい姿を見て、飼い主さんは「勇気をもらっている」と語りました。
日々家族からの温かいお世話をうけながら、小さな力をふりしぼって懸命に生きようとするココちゃん。どんなに体調が悪くても、絶対に諦めることなく「今日」という日をたくましく生き続けています。飼い主さん家族とココちゃんの大切な生活が、1日でも長く続くことを祈るばかりです。
(まいどなニュース特約・松田 義人)