生後6カ月のトイプードルに先天性の病気、相棒犬にも腫瘍 2匹の治療続ける飼い主、一生寄り添う強い決心

トイプードルのルルちゃんは生まれから6ヶ月ほどが経った頃、突然キャン鳴きをし、震えるスフィンクスのようなポーズをとり動かなくなりました。驚いた飼い主さんは、慌てて病院に連れて行き診察してもらいましたが、レントゲンだけでは病気が特定できませんでした。そのため、さらに病気を探るべく、全身麻酔をし、MRIを受けることになりました。

その結果、判明したルルちゃんの病名は環軸椎亜脱臼・環軸椎不全症候群。難しい漢字が続く病名ですが、読み方は「かんじくついあだっきゅう・かんじくついふぜんしょうこうぐん」。

主に首の痛みや四肢の麻痺などが起こる病気で、特に小型犬の中には先天的に持つワンコもおり、1歳以下で発症することがほとんどだと言われています。

■「手術」では死亡するリスクもある

治療にはもちろん「手術」という選択もあります。しかし、死んでしまう例も少なくない、リスクの高い手術になることから当面は内服治療をし、しばらく経過観察をすることになりました。

飼い主さんは「ルルちゃんの病気による痛みが和らいでほしい」と、毎日欠かさずマッサージをし、月に2回は東洋医学を取り入れている動物病院で鍼灸してもらうようになりました。また、これと同時に飼い主さんもお灸を教わり、現在までずっと続けています。

当初、飼い主さんは「嫌がるかな?」と思ったそうですが、痛みが緩和されることもあり、当初よりルルちゃんは嫌がる素振りを見せませんでした。結果、先生に会うと興奮して大喜び。診察の時間には顔中を舐めまわし、お腹を出して猛烈アピールするようにもなりました。

この持ち前の明るさを見ると、飼い主さんはほんの束の間ホッとすることができたと言います。また「病は気から」という言葉を信じ、陽気な振る舞いを前に、病気が良くなってくれることに期待を持ちました。

■精神的支えになる相棒のレオくん

この前後、飼い主さんの家庭では、ルルちゃんにとっての相棒となる同じトイプードルのレオくん(オス)を迎え入れることになりました。レオくんはオスですが、どこかおっとりした性格のワンコです。

2頭とも大好きな「飼い主さんの膝の上」をルルちゃんに奪われたり、大好きなおもちゃをこれまたルルちゃんに奪われたり、飼い主さんからレオくんがマッサージを受けていればルルちゃんから攻撃を受けたりと、後住犬としての憂き目を存分に浴びてしまいます。

しかし、それでも散歩のときは、ルルちゃん・レオくんは仲良く走り回ります。病気を抱えたルルちゃんにとっては、レオくんの存在もまた、精神的に支えてくれる存在のようです。

■献身的なお世話のおかげで痛みが緩和

ワンコも人間と同じで、寒い季節には、体が冷え筋肉が固まり体が凝りやすくなったり、神経痛が起こりやすくなります。飼い主さんによれば、こういったことから冬場は特に管理に気を遣ったと言います。

ルルちゃんが元気がなく辛そうなときは、頚椎カラー(固定具)を首に固定し、安静を保ちます。また、散歩の後、ルルちゃんの足を拭く際には四肢を包み込むようにして優しく抱き上げたりと、痛みを感じさせないようにできるだけ配慮しました。

こういった飼い主さんの献身的なお世話、治療、鍼などの効果が出て、ルルちゃんはやがて以前のように首を痛くなることがなくなりました。

完治に至ったわけではない一方で、一定の成果を感じ、飼い主さんはホッと胸を撫で下ろしました。

■今度は相棒・レオくんの体に異変が…

ルルちゃんが元気を取り戻し、相棒のレオくんもなんだか嬉しそうです。それまで以上にルルちゃん、レオくんは仲良く元気に飛び回るようになり、飼い主さんの行動力のおかげで、あちこちに旅行に行くようにもなりました。しかし、のちに今度はレオくんの体に異変が……。

右口唇におできができており、飼い主さんがネットで検索をかけると、「メラノーマ」という病気の疑いがありました。メラノーマは悪性黒色腫の癌。さっそく病院にレオくんを連れていくと、診断結果はやはりメラノーマ……その日のうちに摘出手術をすることになりました。

この後、再手術を行うなどとしたものの、レオくんの顔には再度メラノーマとおぼしき腫瘍が見え隠れします。

繰り替えし現れる腫瘍に、飼い主さんはガックリするばかりですが、それでも諦めることなく、ルルちゃん、レオくんとの生活を楽しんでいきたいと語ってくれました。

なお、飼い主さんは、ここまでのルルちゃん、レオくんの治療に際して当然膨大なお金を費やしたとも言います。最後にメッセージもいただきました。

「ペットの医療費は高額です。ペット保険もありますが、保険料もペットの加齢とともに値上がりしていきます。昨今のペットブームで、安易な気持ちでペットを迎える方も増えているようですが、迎えてからペットが発病して、高額な医療費に戸惑われたり、払えないことから、果ては遺棄につながることもあるようです。どうか『ペットを飼いたい』と思われる方は、この医療費のこともしっかり視野に入れて、その一生に寄り添う強い決心のもとで飼うようにしてください」

(まいどなニュース特約・松田 義人)

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