お酒メーカー「朝にヨーグルトや納豆は食べません」なぜ? その回答に納得「入社時の教育研修でも」
焼酎「黒霧島」などで知られる「霧島酒造」(本社:宮崎県都城市)の公式ツイッターに、なにやら気になるツイートが投稿されました。
投稿された日、ツイッターでは「いいにくいことを言う日」というハッシュタグが話題に。さまざまな企業が業界にまつわるネタを披露して盛り上がっており、同社の公式ツイッターでは以下のような内容がツイートされました。
「朝ご飯に納豆もヨーグルトも食べたい… ※焼酎製造に携わる社員は、工場に菌を持ち込まないようにするため、食べないようにしています」
なぜ食べないように? 焼酎の製造とヨーグルトや納豆の菌にどういう関係があるのでしょうか。霧島酒造に話を聞きました。
■霧島酒造に話を聞いた
同社によると、黒霧島などの本格芋焼酎は、製造の過程で「麹菌」「酵母菌」という菌を使用するそう。そのうえで、納豆菌や乳酸菌が持ち込まれてしまうと衛生的な問題を起こしたり、風味へ影響を及ぼす可能性があるといいます。
「納豆菌は麹菌と成育条件が似ているため、製麹機(麹を造る機械)の中で繁殖して納豆のにおいが焼酎に移ることがあったり、麹が十分に繁殖できず、麹の作るクエン酸が十分に作られず雑菌汚染を起こす恐れがあります。また、ヨーグルトに含まれる乳酸菌は、もろみの中で繁殖して焼酎の風味を悪くする恐れがあるんです」
せっかく作った焼酎が台無しになるかもしれないとなると、確かに食べない方が無難かも。でも、技術が進歩した現代であっても、菌を持ち込まないようにするのは難しいのでしょうか。
「現在、弊社の製造設備はオートメーション化していますので、基本上記のようなことは起こらないのですが、造り手の心構えとして、これらの食品を朝食べないように(製造業務担当者間で)言い伝えています。
また、弊社では納豆やヨーグルトの他にも、乳酸菌飲料や漬物など、生きた乳酸菌が含まれている食品の摂取は控えております。製造に携わる社員には入社時の教育研修で言い伝えており、これらは恐らく他の清酒・焼酎の蔵元様でも意識されていることかと存じます」
朝ごはんの定番ともいえる納豆やヨーグルト。好きな人からすると食べられないのはちょっとさみしい気もしますが、創業100年を超える老舗メーカーらしい心構えの結果だったようです。
(まいどなニュース・門倉 早希)