「亡くなったペットを、庭に埋めたい」けど大丈夫?→たとえ“自分の土地”でも、不法投棄と判断される可能性が…【弁護士が解説】

大切なペットが死んだとき、どのように供養すれば良いか悩んでいる方も少なくないかもしれません。いつまでも一緒にいたいとの思いから、自宅に亡骸を埋めようと考える飼い主さんもいますが、法律的に問題はないのでしょうか。あさひ法律事務所・代表弁護士の石井一旭氏が解説します。

■心情は理解できるが…「控えるべき」

【質問】長年飼っていた猫が亡くなりました。離れたくないので、庭に埋めてもいいでしょうか。

【回答】「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(廃棄物処理法)2条柱書には「廃棄物」が列挙されていますが、そこに「動物の死体」も挙げられています。飼い主の方の心情的には受け入れがたいでしょうが、ペットの遺骸は、法律上は「ゴミ」と同じ位置づけになります。

そうすると、「ペットを庭に埋めてもいいのか」という問題は「ゴミを庭に埋めてもいいのか」という話に置き換えて考えることができます。

ところで廃棄物処理法16条は、「何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない。」と定めています。ゴミをみだりに埋める行為はいわゆる不法投棄となり、最高5年以下の懲役又は1000万円以下の罰金(併科あり)が科せられる可能性があります(同法25条15号)。また軽犯罪法1条27号も、公共の利益に反してみだりに鳥獣の死体等を棄てる行為を禁じています。ペットの遺骸を庭に埋めると、これらの条文に該当して処罰される危険があります。

そして条文上は、投棄場所が自分の土地か他人の土地かの区別はされていません。ですので、他人の土地や、公園・山林・河川敷等の公共の場所に埋めた場合だけではなく、自分の土地に埋めた場合でも、不法投棄と判断される可能性はあります。また、埋めた遺骸から悪臭や虫が発生することなどで近隣に被害を与えてしまった場合には、損害賠償責任を負うおそれもあります。

このような点から、亡くなったペットを庭に埋めることは(可愛いペットと離れたくない、という心情はよく理解できるのですが)控えるべきです。

ペットの遺骸は自治体でも引き取ってくれますが、きちんと弔いたい場合は、動物の火葬・埋葬を取り扱う民間の葬儀業者に依頼するのがよいでしょう。

◆石井 一旭(いしい・かずあき)京都市内に事務所を構えるあさひ法律事務所代表弁護士。近畿一円においてペットに関する法律相談を受け付けている。京都大学法学部卒業・京都大学法科大学院修了。「動物の法と政策研究会」「ペット法学会」会員。

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