さんまも笑わせたモデル兼芸人の破天荒な半生 「あっ、亡くなったおじいちゃん」三途の川まで経験

 すました美人が突然、白目をむいた変顔に変身。そんな持ちネタで明石家さんまをも笑わせた尼崎市出身の「モデル芸人」星咲英玲奈が来年、東京に拠点を移し、大ブレークを狙っている。3カ国語を話せる才女でありながら自称、3度も死にかけたという破天荒な半生。「悪を知っているからこそ善を語れる、ようなもん」と話し「顔芸とモノマネで人々を笑わせ、世界中でポジティブ講座を開きたい」と意気込んでいる。

■ミランダ・カー? ローラ?

 そのギャップにだれもが面食らうのではないか。スタイル抜群でミランダ・カーやローラに似た顔立ち。ハッとするような美女がいきなり、白目をむいて「なまたまご~」と研ナオコのモノマネをするのだから驚く。

 「人を楽しくさせ、笑わせたくてしょうがいないんです。小さい頃から声が大きく、目立つのが好きで学級委員や生徒会をやるタイプでした」

 この世界に入ったのは26歳のとき。名前のエレナはラテン語で太陽や輝きを表し、星には迷った人の道しるべになる北極星の意味を持たせた。それには深いワケがあり、あきれるほど起伏に富んだ半生を送ってきたからだ。

 兵庫県尼崎市出身。女子高2年生のとき、留学先のニュージーランドで着いたその日に盗難の被害に遭う。学校ではいじめられたり、マリファナを売りつけられたり。さらに、右足首が火傷になったようにただれ、15年後にバクテリアが原因だったことが分かった。

 その後は立命館アジア太平洋大へ。4年間で世界30カ国を旅した。しかし、半ば放浪の旅。1泊1000円のドミトリーに宿泊していたロサンゼルスでは、帰国まで1週間を残して所持金のほぼ全額を盗まれた。

 「1日1ドルのホットドッグと45セントの水でサンタモニカの隣のベニスビーチで過ごしました。最後はヒッピーやホームレスと仲良くなったほど」

 就活も悲惨だった。13次面接まで進み、入社確定と思っていた会社にふられ、代わりに入った会社は4カ月で退職する。出勤しようとした玄関先で倒れたからだった。その後、大好きな海と太陽の日差しを求めて沖縄へ。のんびりと自然に囲まれて過ごすうちに、ブクブクと幸せ太りしてしまい、やがて悩みがないことに不満を持ち、芸能界入りを決断した。

 「一度きりの人生。このまま幸せすぎてはダメだ。荒波にもまれよう。そう思ったんです」

 ところが、そこは荒波どころの世界ではなかった。運悪く怪しげな事務所や自称プロデューサーと関わり、ストレスをためていく。27歳のある日、写真集を出すとの名目で撮影場所が二転三転した末に向かったグアム島で原因不明の高熱を発症。帰国後、成田空港近くの病院に緊急入院し、1カ月間も意識がない状態が続いたという。

■三途の川で両手を上下に激しく振るおじいちゃん

 「このとき、三途の川まで行ったんです。そしたら暗い森の向こう岸に入れ歯のない、正真正銘の亡くなったおじいちゃんが立っていて、手前に石が積んであり、わたしが行こうとすると、おじいちゃんは両手を上下に激しく振るんです。でも、それが来い!なのか、来るな!なのか分からない感じ。どっちやねんとなって、後ろを振り向いたら白い光に吸い込まれて、目が覚めました。やっぱり、あの世に入れ歯は持って行けないみたいです」

 死の淵をさまよったことが大きな転機となり、生かされていることを自覚。そこから人々の希望となれるように「モデル+芸人」として生きていくことを決めた。そのとき、立てた目標が30歳までに「踊る!さんま御殿!!」(日本テレビ系)に出演し「憧れの明石家さんまさんと共演し、笑わせること」だった。

 そこで願い事が叶うと聞けば、西表島への滝ツアーにも参加。最終的にはネタを150本書き上げる努力が実り、3度のオーディションを経て、晴れて出演が決まる。2021年7月、自身初のテレビ出演だったが、臆することなく、こん身の顔芸を披露。研ナオコのマネをしながら「なまたまご~」とやり、さんまが膝を叩いて笑ったことで、SNSなどでも話題となった。

 現在インスタのフォロワーは3・6万人。東京では小柄で小太りで元保健体育の男性教師とコンビを結成し、新たな芸にチャレンジする。他にもやりたいことはたくさんあり、環境保護、動物愛護にも力を入れる。また語学力をいかして国際会議の通訳もこなすほどのマルチぶり。さらに、ちょっとした発想の転換でどん底人生から立ち直れたことから、その経験や考え方を多くの人に伝えていく考えだ。この12日には「エレナのポジティブ講座」を地元尼崎で初開催。上々のスタートを切っており、自信を深めた。

 「まずはモデルとして魅力ある存在になって、あの子、だれ?となったところで顔芸やネタで笑いをとり、最終的には世界中でポジティブ講座をして、世界を明るく元気にしたい。そのため、いまレディ・ガガのモノマネにも取り組んでいます。英語、中国語も話せるので可能性を広げられると思う。エレナはみんなの味方、希望の星になれるといいな」

 そう言って、ニッコリ笑い、変顔で締めた。こんな芸人、見たことない。

(まいどなニュース特約・山本 智行)

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