「もう保育園でうんちができない」我が子の告白に動揺 「急いで」とトイレを急かす保育士…ほかの園の園長は「そんな指導は考えられない」
共働き家庭にとって、保育園は欠かせない大切な場所です。食事や遊びはもちろん、トイレトレーニングなど家庭と連携して生活のサポートをしてくれます。夏の間におむつ外しを頑張ったご家庭も多いでしょう。 「保育園のおかげでおむつ外しがスムーズだった」と感謝している人も多いのではないでしょうか。
しかし、集団生活ならではの不自由さもあるようです。子ども1人と向き合う時間がどうしても限られ、保育士は仕事に追われてしまうことも。とくに、子どもが小さな時期のトイレは大きな手間がかかり、つい“高圧的”とも感じられるトイレ指導をしてしまう保育士もいるようです。
■うんちをしようとすると保育士は…
Aさん(埼玉県在住、メーカー勤務、30代)の子ども(3歳、男の子)は最近おむつが外れて、トイレでもうんちができるようになりました。最初はスムーズにうんちが出ていたのですが、徐々に時間がかかるように。保育園から帰ってくると「うんちする」とトイレにしばらくこもる子ども。やっと出たうんちは固くてコロコロです。
明らかにうんちの形状が変わったことに違和感を持ったAさん。「保育園でちゃんとトイレ行ってる?」と聞くと、子どもは困ったような表情で「保育園だと時間がなくてうんちができない」と答えました。
トイレでうんちをしようとすると、保育士が「急いで」とめちゃくちゃ“煽ってくる”そうです。並んでいるお友だちからも「早くして」と言われるので、Aさんの子どもは保育園でうんちを我慢しているとのこと。子どもは保育園でうんちをするのがよくないことだと思っているようでした。
「もしかしたら、子どもが保育士の言葉を大袈裟に受け取っているのかも」と考えたAさん。子どもを疑うわけではありませんが、保育士がトイレを急かすような行為をするとは思いたくなかったのです。
そこで、Aさんは同じ保育園に通うママ友に連絡を取り、トイレ事情について聞いてみました。すると、保育士がトイレを急かすのは事実のよう。さらに、おむつの子がうんちをすると、保育士からあからさまに嫌な態度をとられるらしいのです。「うんちの処理が大変だった」と嫌味のように言われたママ友もいるのだとか。
■空気を読んだ子どもが保育園でうんちできなくなり…
「保育士さんたちが忙しく、余裕がないこともわかる」と語るAさん。その後、こう続けました。
「それでも、子どものうんちに時間がかかるのは当然なのですから、煽るような言動は適切ではありません。おむつでうんちをすると嫌な態度をとるなど言語道断です。子どもたちは思っているよりも周りの大人たちのことを見ています。保育士がうんちの時にピリピリしていることに気付いているのは、うちの子だけではないでしょう。このままでは、子どもたちがみんな保育園でうんちができなくなってしまうかもしれません。トイレに不安を感じて、登園を渋る子どもも出てくるかもしれません」
本当は、保育園に行く前に出せるのが一番ですが、Aさんのような共働きの家庭では朝はいつも忙しく、ゆっくりトイレに行かせる時間をとることが難しいようです。なにより便意は自然現象なので朝に出るとは限りません。子どもたちはトイレに自分で行けるようにトレーニングしている最中なので保育園でゆっくりうんちができる環境が整っているといいですよね。
また、うんちを我慢すると便秘になる可能性もあります。幸いなことにAさんの子どもは家ではうんちをしていますし、今のところ腹痛があってうんちが出ないなどの体調不良はないようですが、このような指導が続くと心配です。
■保育園ではどんなトイレ指導をしている?
集団行動には時間制限がつきものですが、保育園でのこのようなトイレ指導は問題ないのでしょうか。福岡で保育園を経営している園長先生に話を聞きました。
--トイレでうんちをしようとすると、保育士が煽ってくるそうですが…。
当園では考えられないことで驚いています。子どもを見守って安心を感じてもらうのが保育士の役割です。子ども一人ひとり個人差があり成長過程も違うので、当園では、トイレでの排尿、排便は無理なくすすめていく事を大前提としています。保育士にも、子どもにプレッシャーと排泄の強要をしないよう指導しています。
トイレトレーニングにも個人差があり、4歳でもオムツが外れないお子さんでもゆっくり見守るようにしています。うんちだけオムツにする子どももいますし、成長の過程と考えています。
ご家庭とも丁寧に連携を心がけています。トイレという限られた場所を嫌がる子どももいるので、個室でも明るく動物の絵を飾ったり、便座を温かくしたり…子どもが落ち着ける環境を整えるべく、園内でも環境づくりについて考えております。
ーー個人差もありますし、子どもが落ち着いて排便ができる環境が大事なんですね。
昔は、おもらししたら「また?」とか、「さっき誘った時にしないから」などと子どもを傷つけていたり、流れ作業のようにタイムケアする保育士がいたこともあるそうです。しかしこれは人権問題や不適切な保育に当たります。最近は保育の質の向上を前提に、子どもを中心にした保育をするよう指導しています。
しかし、保育現場の現状は、人材不足、業務過多ということもあり、不適切な保育を見過ごしてしまっている保育園、保育士がいるのかもしれません。当園においても私自身もこの件に関して、保育士とも共有して改めて振り返りとさせていただくことにします。
一人でも、辛い思いをする子どもや家族がなくなること、みんなが幸せになるような保育ができるよう心がけて行こうと思います。
(まいどなニュース特約・ワタナベ コウメ)