友人からのお返しは「手作りお菓子」!? 嬉しいけど、衛生面が気になって…「困ったお礼」への対処法、“お付き合い”の専門家に聞いた

自分には不要になってしまったものを、知人や友人に譲った経験がある人は多いのではないでしょうか。そんなとき「もらってくれるだけでいいから」と思っていても、譲った相手からお礼をされると、その気持ちが嬉しいですよね。

しかし、お礼の品物が手作りのお菓子や料理だった場合「衛生面が気になる」という声もあります。とくに、コロナ禍で気軽に受診ができない時期ということもあり、食中毒になったらどうしよう…と、心配になる人もいるでしょう。私の友人Tさん(埼玉県在住・30代、営業職)も、友人からいただいたお礼の手作りお菓子に困っていました。

■行けなくなったコンサートチケットを友人にあげると…

Tさんは学生のころから音楽が好きで、社会人になってから趣味でバイオリンを習っています。演奏だけではなく音楽を聴くのも好きで、チケットをとって度々コンサートに行っていました。

しかし、前売りチケットを購入し、楽しみにしていたコンサートに、急きょ行けなくなってしまったことがありました。コンサート前日になって、当日は休日だったにもかかわらずどうしても外せない仕事が入ってしまったのです。チケットを無駄にしたくなかったTさんは、慌てて友人たちに連絡。運良く翌日に予定がない友人が見つかり、チケットを譲ることができました。

■友人から手渡されたものは…「お口にあえばいいけど」

その後、友人から「とっても素敵なコンサートだった!」とLINEが。Tさんは友人が喜んでくれて一安心。「よかった。楽しんでくれて私も嬉しい」と返信すると、友人はお礼がしたいとのこと。「代わりに行ってくれただけで充分だから」とTさんは遠慮したのですが、次の休日にランチをご馳走してもらうことになりました。

友人はコンサートの内容や感想を話してくれ、とても楽しいランチができてTさんも大満足。そろそろ帰ろうというタイミングで、友人から「本当に気持ちだけって感じなんだけど」と、可愛くラッピングされたマドレーヌを渡されました。なんでも、友人は最近お菓子作りに凝っていて、マドレーヌが得意なのだそう。「お口にあえばいいけど」と友人は少し緊張した様子です。

「ありがとう」Tさんは咄嗟に笑顔を作ってお礼を言いました。しかし、内心は困惑。なぜならば、Tさんは人が作った食べ物が苦手なのです。ランチしたレストランのように「お店」であれば問題ないのですが、調理師ではない人の手作りは、どうしても工程や衛生面が気になり、食べる気が起きません。

Tさんは「家に帰ったら食べるね」と言って、とりあえず手作りお菓子をバッグにしまいました。渡されたのがレストランだったので、その場で食べる流れにならなかったのは幸いです。

帰宅後、食べられない手作りお菓子の処分に困っていると、友人から「今日は久しぶりにランチできて楽しかった」とLINEが届きました。返信内容に食べていないお菓子の感想を述べるべきか、大いに悩むTさん。「でも、また手作りお菓子をもらっても困るなぁ…」と考えた末に「私も楽しかった。またランチしようね」と、短い返信をしました。

結局、友人からもらったお菓子は冷蔵庫に入れたまま数日が経過。「やっぱり食べられない」と、Tさんは申し訳ない気持ちいっぱいになりながら、冷蔵庫掃除のタイミングでお菓子を処分したそうです。

■食べられない「手作りのお礼」はどうするのが正解?

後日Tさんから筆者に「こんなとき、どうすればいいのかな」と相談されましたが、私も正しい答えがわからず、聞くことしかできませんでした。食べられないのに手作りのお菓子をもらってしまった場合、どのように対応するのが正解なのでしょうか。対人コミュニケーションの専門家として活躍する、福田美智江さんに聞きました。

--Tさんはどうするべきだったのでしょう。

お礼に手作りお菓子をもらったけど、人が作ったものは食べられない場合でも、「手作り」とのお心遣いに対してお礼を述べることが大切です。

--もらったことに対しては、しっかりとお礼の気持ちを伝えるべき、ということですね。

その方との間柄によっては、「人が作ったものは食べられない」ことをお伝えして(それほどの間柄でなければお伝えしなくとも良いでしょう)、そのお菓子は自分の身近な大切な方にいただいてもらうと良いでしょう。食べた方の喜びは自分の喜びになります。

--なるほど。自分のかわりにおいしく食べてもらえれば素敵ですね。

お礼を送りたい側の人は、お相手に気遣いをさせないためにも、基本的に「手作り」であるお菓子をお返しするのは避けた方が良いです。

◆福田美智江(ふくだ・みちえ)MCA達成&成功コーチング代表。 子ども時代にブラジル、香港と海外で生活。フランス・パリバ銀行を子育てを期に退職。15年間英会話教室を主宰し、2012年にMCAを設立。「MCA達成&成功コーチング」では、自分に自信を持ちながら、まわりの人たちとうまくコミュニケーションを取ることができる「世界に通用する才能」を育てる活動を行っている。

(まいどなニュース特約・ワタナベ コウメ)

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