日本では江戸時代から、猫は福を招く動物として尊ばれています。片手を上げておいでおいでと。でも、現代の猫は違う。人間から福を招かれた猫がいるんです。その「招かれ猫」とは長崎県で暮らすミー子ちゃん（推定4歳）。見た目からして、とても福々しい猫です。

このミー子ちゃん招いてもらった福で、なんと占いをしてくれるから驚きです。TikTokとTwitterでほぼ毎日、その日のラッキーナンバーを教えてくれています。占い方法は実にシンプル。お父さんかお母さんが手渡すサイコロをミー子ちゃんが転がすだけ。そこで出た目がラッキーナンバーなんです。一緒に暮らすグレーちゃんとちゃん子ちゃん、モーちゃんも猫占いをしますが、ミー子ちゃんが一番上手。

今でこそ、福々しい姿のミー子ちゃんですが、M家に迎えられた時は貧相な猫でした。あれは大寒波の予報が出ていた2018年12月のことです。農業を営んでいるM家のお父さんが畑の様子を見に行くと、1匹の若い三毛猫がトボトボ歩いているではありませんか。そのまま、農機具が収められた小屋に入ります。

「小屋で過ごしていたら、凍え死んでしまう…」

そう思ったお父さんは、家の中に入るよう三毛猫を招きました。「こっちは暖かいよ」と。途中からお祖母ちゃんも加わり、一緒においでおいで。促されるまま三毛猫は家に入り、翌日の大寒波を乗り切りました。

家に入ると、知り合ったばかりなのにお祖母ちゃんにはベッタリ。この様子を見た家族は三毛猫に「ミー子」と名づけ、3世代が暮らすM家の一員に迎えます。ミー子ちゃんは凍傷になっていましたが、春の足音が聞こえる前には全快。避妊手術やワクチンも終え、着々とお家猫の道を歩んでいきます。

大きな福をお父さんから授かったミー子ちゃんは、恩返しかのようにお利口さんとなります。トイレもすぐ覚えましたし、お外に出ても畑だけ。人間もまったく怖がりません。中でもお祖母ちゃんとお母さんは大好き！お祖母ちゃんは自分が招いた猫ですから、一緒にいられるのが嬉しいみたい。先住猫のちゃん子ちゃんとは、まるで姉妹かのように仲良くなりました。

でも、グレーちゃんとの折り合いが悪い。ついにグレーちゃんは、2階から下りてこなくなってしまったんです…。ミー子ちゃんもそれは分かるようで、お父さんかお母さんが一緒でないと2階には上がりません。寝る時も、グレーちゃんが一緒に寝る可能性のある家族のお布団には入らない徹底ぶり。ミー子ちゃんなりの気遣いです。

ミー子ちゃんと一緒に寝たいお父さんはそれを寂しく感じていますが、グレーちゃんも可愛い。「2階で我慢させてごめんな…」と、グレーちゃんに特別なご飯をこっそり買ってきているんです。グレーちゃんはそれが分かるから、今まで以上にお父さんのことが大好きに。お父さんはデレデレ。

ここだけの話、ミー子ちゃんは特別なご飯の存在を知っているんです。虎視眈々と狙っているよう。グレーちゃん、気を付けて！

2人の娘たちもミー子ちゃんが大好き。小学校や幼稚園の帰り道には、ミー子ちゃんが大好きなエノコログサをつんでお土産にします。ミー子ちゃんが喜ぶ顔を見たいから。ミー子ちゃんは娘たちからもらうエノコログサが本当に嬉しくて、娘たちが帰宅すると玄関までお出迎え。賑やかで明るい声が家中にこだまする瞬間です。

ミー子ちゃんを助け、ミー子ちゃんに福を招いたつもりだったのに、いつの間にか幸せが倍増したM家。グレーちゃんとちゃん子ちゃんがいてくれるだけでも幸せだったのに、これほど毎日が楽しくなるとは思いもよりませんでした。この光景を、1年ほど前からお父さんが動画にしてYouTubeで公開しています。

それは、幸せ自慢のためではありません。「元野良猫も幸せに暮らしている、その幸せで人間も幸せ」と知ってもらいたいからだと言います。今まで何度も畑に捨てられた猫を保護し、新しい家族につなげてきた経験が、そう考えさせるようになったと言います。まるでゴミのように猫を箱に詰めて捨てる人こそ、見てほしい動画なのだそう。

お父さんはこうも言います。

「娘は生まれた時からミー子と暮らし、どちらも”温かい”と感じる存在です。この温かさを感じる人が増えてほしいです」

猫に福を招いてもらうのではなく、猫を招いたからこそ育めた幸福。招かれ猫のミー子ちゃんが占う未来は、きっと幸せでいっぱいでしょう。

さあ、今日のラッキーナンバーは？

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【長崎ねことらさん】

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（まいどなニュース特約・ふじかわ 陽子）