「車で猫をひいてしまった」どうすれば?→動物が相手でも「交通事故」…警察に通報を【弁護士が解説】
車を運転していると、動物との事故に遭遇することがあります。ひかれた動物を見つけたり、自分が動物と接触してしまったときは、どのように対応すればよいのでしょうか。あさひ法律事務所・代表弁護士の石井一旭氏が解説します。
■1 路上でひかれた猫を見つけたら
【質問】自宅の前の路上で車にひかれて亡くなっている猫を見つけたときは、どうすればいいでしょうか。
【回答】動物愛護管理法36条は、道路、公園その他の公共の場所で動物の死体を見つけた場合は、飼い主(所有者)がわかっていれば飼い主に、飼い主がわからないときには都道府県知事等に通報するように努めなければならない、と定めています。
ですので、路上に飼い主不明の動物の遺骸を見つけたら、自治体の担当部署(環境局・衛生局などが多いでしょう)に連絡を入れてください。
また、動物の死骸をそのまま路上に放置しておくと、交通事故の原因となる可能性もあります。猫ではなく鹿のような大型の動物であればなおさらです。この場合は道路にトラブルが発生していることになりますので、国土交通省の「道路緊急ダイヤル(#9910)」に連絡を入れることも検討してください。
■2 自分がひいてしまったら…
【質問】運転中、突然猫が飛び出してきて、ブレーキが間に合わず猫をひいてしまいました。どうすればいいでしょうか。
【回答】「車両等の交通による物の損壊」も「交通事故」に該当しますので(道路交通法67条2項)、通常の交通事故の場合と同様に行動しましょう。
交通事故を発生させてしまった場合、運転者は、直ちに運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければなりません(同法72条1項)。具体的にはまず車を安全な場所に移動させた上で、前述した道路緊急ダイヤルへの通報や、発煙筒の設置等による他の運転者への合図を送るなどの手当をしましょう。
なお動物は人ではないので負傷者救護義務の対象とはなりませんが、そのまま放置はできませんので、動物病院に通報するなどして、可能であれば救助してあげてください。
また交通事故を発生させた運転者は、直ちに最寄りの警察署の警察官に通報する義務を負います(同法72条1項)。動物をひいてしまった場合も警察に交通事故の通報をしましょう。
猫が野良猫の場合は問題になりませんが、飼い猫であれば飼い主に対する賠償責任の問題も発生します。できれば誠意を持って対応していただければと思いますが、賠償額がいくらになるかは事故の状況、飼育の状況などにより様々ですので、その場ですぐに賠償金を支払ったり、賠償の示談書を交わしたりする必要はありません。後日対応することを伝えて、連絡先を交換しておけばよいでしょう。
◆石井 一旭(いしい・かずあき)京都市内に事務所を構えるあさひ法律事務所代表弁護士。近畿一円においてペットに関する法律相談を受け付けている。京都大学法学部卒業・京都大学法科大学院修了。「動物の法と政策研究会」「ペット法学会」会員。