冬の京都の新風物詩?今年のテーマは「京の雅」 オオサンショウウオツリーにかける館員の思い
冬の京都の風物詩といえば?
「雪化粧した金閣寺!」。いいですよねぇ。極寒だと分かっていても、観に行きたくなります。「芸妓さん、舞妓さんの事始め!」。御事多(おことう)さんどす~と挨拶してまわる姿に風情を感じる花街の伝統行事ですね。「聖護院かぶらの千枚漬け!」。仕込み始めはニュースでも報じられる定番の風景ですもんね。
でも、こちらをお忘れじゃありませんか?京都水族館が毎年クリスマスの季節に繰り出してくる“アレ”。そう、マニアックながら全国で多くのファンが待ち望む「オオサンショウウオツリー」が今年もお目見えしました。同館の人気グッズであるぬいぐるみ約100個を使って、オオサンショウウオが川を勢いよく上っていくようすが表現されています。
オオサンショウウオを愛する筆者から見ても、強烈なインパクトを放つこのツリー。いったい誰が、どうやって制作しているのでしょうか。企画広報チームの藤原綾菜さんに聞きました。
■めでたさとカオス感が溢れるツリー
ーー間近で拝見しても本当に「突き抜けてるな...」と感じるカオスっぷりでした。今年でちょうど10年目ということですが「オオサンショウウオツリー」の制作はメインイベントのひとつみたいな位置づけなんでしょうか。
「はい。毎年恒例のシンボルのようになっています。お客様にも楽しみにしていただいているので、ずっと続けていきたいなと考えております」
ーーやっぱり時期が近くなると、どんなツリーを用意しているかなど来館者から聞かれたりするんですか?
「館内のスタッフに”今年はなに作んのん?”なんて尋ねられるお客様もいらっしゃいます」
ーー2022年のテーマは「京の雅」ということですが。
「今年は、大水槽の前で舞妓さんに舞を披露していただいたり、和蝋燭や京こまを作るワークショップを実施したりと、京都の伝統産業に触れるイベントを実施してきました。その集大成として、和蝋燭や京こま、京扇子、西陣織、組ひもなどで飾り付けたオオサンショウウオツリーを制作しました」
ーーてっぺんの扇子が、なんともめでたい感じがしますよね。ずっと気になっていたんですが、オオサンショウウオたちはどうやって固定されているんでしょうか。
「中が空洞になった土台に、ぬいぐるみの手や足をくくりつけながら巻きつけています。弾力があるぬいぐるみなので、しっぽが跳ね返ってきたりして隙間ができないように埋めていくのが結構難しくて。慣れるまで苦戦しました」
ーーあのツリー、藤原さんが制作されたんですか!?
「今年はじめて携わった私を含め、水族館のスタッフ3人で業務の合間合間に制作しました」
ーーちなみに、飾り終わった後、このぬいぐるみはどうなるんですか...?
「来年用に置いておきます。3人ともずいぶん手慣れたので、また来年もできるねって、みんなで話しています(笑)」
なお、例年はクリスマスが終わるとともに展示も終了していましたが、今年は「お正月っぽさ」も手伝って、翌年1月15日まで展示されます。年末年始休暇や成人式での帰省にもかかるスペシャルイヤー。いつもは間に合わず見れなかった!という方も、このカオスな世界観を間近で見られるチャンスです。
■グッズにも注目
「オオサンショウウオツリー」に合わせて登場する限定グッズも見逃せません。毎年柄が変わるマフラー付きのオオサンショウウオぬいぐるみ・マフラー単品の販売開始も、この季節のもはや定番イベント。全国にコレクターがいるといい、今年は発売から1週間と経たずに完売してしまいました。
でも、今年はそれだけじゃない!オオサンショウウオ模様のふわふわ生地でできたブランケット(3800円・税込)とネックウォーマー(1900円・税込)が新発売。遠目にはヒョウ柄のようで「実はこれ、オオサンショウウオ柄なんです。ふふっ...」と謎の優越感に浸れる逸品です。
ブランケットにいたっては、オオサンショウウオの手と手を合わせて前を留めるという秀逸さ。彼らの魅力を知り尽くしている京都水族館が手がけるだけあって、赤ん坊のような4本指の可愛い手(前足)をそこにもってくるとはさすが過ぎます。ブランケットには同生地の巾着が付属。
写真で見るのと間近で実物を見るのとでは、迫ってくる「ヤベェな、これ....」感が段違いでした。見る人が見たら卒倒してしまいそうな、ぎゅうぎゅうにオオサンショウウオたちがひしめきあう特製ツリー。一見の価値アリ、です。いつもの年より長く楽しめるこの機会をお見逃しなく。なお、グッズはオンラインショップでも購入できます。
◇ ◇
◇「オオサンショウウオツリー2022」
展示場所:京都水族館 1階ミュージアムョップ
展示期間:2022/11/19(土)~2023/1/15(日)
(まいどなニュース特約・脈 脈子)