自慢のカクテル、インスタ投稿後一滴も飲まずに帰った女性客 「作品を目の前で破かれた」バーテンダーが怒りの投稿
インスタグラマーによるマナー違反行為がSNS上で大きな注目を集めている。
「怒り通り越して悲しみに変わる。二度と来ない事を祈る。沢山の人が一生懸命お酒作ってそのお酒に合うよう私たちもシロップ作ったりジュース仕込んで、お客様に飲んで喜んでもらう為に頑張ってカクテルを作る。あなたの写真の為"だけ"にみんな汗流してるんじゃないんよ。そもそも粗末にすな。」
と嘆くのは大阪・心斎橋「Bible Club Osaka」チーフバーテンダーの藤本竜介さん(@BibleClub_Fuji)。
1800年代後半から1900年代前半のアメリカのバーの雰囲気を再現し、豊富かつ独創的な品ぞろえで人気の同店。それを自身の「映え」に利用できればそれでいいと思ったのだろうが、せっかく思いを込めて作ったカクテルを飲みもせず写真撮影しただけで席を立ってしまうとは。
藤本さんの投稿に対し、SNSユーザー達からは
「なんて勿体無いことを……本当に2度と来ないで欲しいですね」
「本当にこう言う輩が居るんですね…」
「シンプルに失礼なのよね、こういうことする人って。多様性がどうとか言う前に人としてどうかと思うわ。」
「これはひどい。私は酒が1滴も飲めない、いわゆるアルコールアレルギー。だけど私が扱う酒には相応しい飲み手を用意したいから、手に入れた酒をおいしく飲んでくれる人に渡している。お酒のメーカーの方にも、カクテルを作ってくれた方にも、こんな失礼な客は失礼すぎる。」
など数々の同調の声が寄せられたが、一部で
「お客の楽しみ方なんてそれぞれでは?多様性を認められないなら今後は注意書きの一つでも貼り付けとく必要がありますね」
といった声もあった。
■投稿したバーテンダー「描いた作品を目の前で破かれたような…」
藤本さんにお話を聞いた。
ーーこのインスタグラマー達について差し支えない範囲でお聞かせください。
藤本:偏見を生みたくないので某国の方としか言えませんが、20~30代のおしゃれな女性のお客様でした。
ーーオーダーはどのような内容だったのでしょうか?
藤本:お二人で、カクテル一杯ずつというご注文でした。
ーーまったく飲まずに帰ったことがわかった際のご感想をお聞かせください。
藤本:率直に悲しかったです。私たちは見た目はもちろんですが、飲んでいただき楽しんでもらうためのカクテルを提供しています。提供する私たちはもちろん、ベースのお酒、リキュール造りにはたくさんの方が人生をかけて携っておられます。けっして写真を撮るためだけのモノではありません。
飲まれていないのを見て「美味しくなかったですか?」と伺いましたが、返答はなくお代金を渡されすぐお帰りなりました。グラスを傾ければ液体の表面が傾きそれが少し跡になり、飲んだかどうかわかるのですが、そういった形跡はなかったです。
ーーこれまでにもインスタ映えのために同様のことをする方はいたのでしょうか?
藤本:同業者から噂などは聞いていましたが、自分自身の体験として初めてでした。
ーー今回の反響へのご感想をお聞かせください。
藤本:様々な意見を頂き非常にありがたいと思いますが、私達バーテンダーは美味しいカクテルはもちろんの事、居心地や空間、過ごされる時間など全てに気を配り命を懸けて仕事をしています。描いた作品を購入して頂いた目の前で破られたような事象を、快く笑顔で受け入れることは私にはできませんでした。
◇ ◇
読者のみなさんは藤本さんの投稿にどんな感想を抱いただろうか?価値観の多様化が進み、さまざまな生き方が受容されるようになった現代だが、最低限のマナーとして提供された食べ物や人の思いを粗末にすることがあってはならないと思うのだがいかに。
(まいどなニュース特約・中将 タカノリ)