子育てに追われていた、40代のわたしへ…50代になったわたしが伝えたいこと 「これからもまだまだ大変よ。あなたは今を走り抜けて」
これは、50代になったわたしが40代になったばかりの頃、まだまだ子育てに追われまくっていた頃の自分にむけた「伝えたいことのお手紙」です。もしかしたら、40代のあなたにも届く言葉があるかもしれません。
■40代ママへ「健康と体力を意識して過ごしてほしい」
こんにちは、40代で子育て中のあなた。家事に仕事に育児と奮闘真っ只中ですね。
まず最初に言いたいのは「体力と健康に今から気を遣ってください」ということ。50代を境にガクンと体力が落ちます。60代が近づいてくると駅の階段で息が上がり、後ろからついてくる人を気にしつつ(ゆっくり登らせて~、休ませて~)と叫びたくなります。そして、思わぬ場所でつまずき、青タンを作ります。つまずくうちはいいのですが、反射神経が鈍くなって手がでずに骨折でもしたら大変です。
50代からは「体力維持」がテーマになります。でも40代のうちなら「体力アップ」もまだまだ可能なはず、ウォーキングでもヨガでも何でもいい。体を動かすことを意識してください。そして50代からのダイエットは至難の業です。いつの間にか「もうアラフィフだもの、少々太ったからって何なのよ」と変な開き直りをしがちです。だからこそ40代はダイエットをすすめるというより「今の体型を維持して!」と言いたいです。
2キロ太るくらいは仕方ない、ではなく、その2キロが1年ごとに増えていく結果を想像してみて!やがて体重計が恐ろしくて電池がきれたのをいいことに放置し、自分のボディと向き合わない、向き合えない日を迎えることになるでしょう。繰り返すけどダイエットに全力を注がなくてもいい、でも「今の体重よりは増やさない」ことを固く決意し実行してください。
筆者は美容には詳しくありません。でも50代になって、ちょっと年上の友人と会うと「シミ」や「シワ」で(この人も歳とったな)と感じることが多くなった。そして、ふと鏡を手にすれば顔だけでなく、腕や背中にシミが増え、昔よく思っていた老化の象徴を自分自身に見ることになるのです。手もと・首もと、それと鎖骨上のあたりのシミやたるみ、シワはある日突然気づいて愕然とします。
脅すわけではないけれど、それだけではないのです。肌の乾燥がすすみ、あちこちが「かゆくなる」んです。ポリポリポリポリ、どこかを掻いてしまう……。せめて保湿にはお金をかけましょう。洋服やバッグを買うときには、その一部のお金を肌や美容に回すということも考えてみてほしいのです。
それから歯医者を遠ざけているようですが、気づくと歯がボロボロになり治療に時間もお金もかかるし、それをまた避け続けているとおいしく食事もいただけなくなる。今すぐに歯医者に行くこと。虫歯がないようでも検診に行きましょう。歯は大事!!!
更年期については詳しく書きませんが…更年期は確実にやってきます。更年期がない人もいて、羨ましく思うけど、それはそれ。心配しすぎなくても大丈夫ですが、なりかけているかも?と感じたら、まずは病院で検査して、自分にあった解決法や改善策を見つけましょう。
■40代ママへ「親のことはなるべく早くから少しずつ」
あなたが歳をとるということは、あなたの親も歳をとるということ。あなたはやがて介護で大変になるし、そうして両親を失います。
あまり楽しいことではないけれど、親とはお金や資産や借金があるかどうか、きちんと話し合っておいたほうがいいです。家庭として独立して長くなると、思っている以上に実家について知らないことが増えている。話せる時に話しておくこと。親の老後の希望をきちんと聞いておくことです。
それから実家に行くとき、リビング以外の部屋ものぞいて、できるところから、ある程度はモノを片付けるように促すこと!手伝うこと!
両親が立て続けに亡くなり、実家を処分するときは本当に大変です。物置とか、手をつけやすいところから一緒にモノを捨てるように少しずつ進めておくと、あなたが後でラクです。なんだか「家族が亡くなる」前提で話をしていて気が滅入るけど、でも、これは実はとても重要なことなのです。だから、真剣に考えてほしいと思います。
お葬式のような場面で親族の「長老」が取り仕切っていたことを、いつの間にか「自分が」やる立場になるんです。自分が長老に近づいていくわけです。お葬式は出せば終わりではなく、いろいろ手続きも煩雑でやることが山ほど出てきて、後から疲れがドッとくる。
だから、できることは少しずつやっておいたほうがいいと思います。だいぶたってから、ふいに重くのしかかる後悔に悩まされるけれど、どれだけ親孝行をしたとしても「だから良かった」と達観できる人はそうはいないと思います。「孝行のしたい時分に親はなし」この言葉を心の片隅に留めておいてほしいけれど。
■40代ママへ「地獄の沙汰も金次第なのは事実」
40代のうちに自分たちのお金についてもちょっとは考えておきましょう。
教育費は学費だけではないことを忘れないで。高校・大学と進むにしたがって「留学したい」とか「資格を取るからスクールに行きたい」とか、あれやこれや言い出します。できないこともあるでしょうが、なるべく子どものやりたいことを実現させるためには、40代のうちから学費プラスαを貯めるくらいの気持ちでいなければなりません。とはいえ、育ち盛りがいると食費も上がり、なかなか難しいかもしれません。
「奨学金を使えばいいや」と安穏とせず、努力しておいたほうがいい。それは老後資金も一緒です。でも、どうやら50代になってから老後資金を貯めることはできないわけでもない、それよりもまず教育費。子どもの教育費で借金をしなくてすむように、40代はそこから資金計画を考えてみるといいと思います。
ちなみに、しっかりライフプランと資産形成をしている家は、後になればなるほどラクになっている。筆者はその場しのぎでやってきてしまったため、50代になってから慌てています。40代ならまだ全然間に合う。真面目にお金のことについて夫婦で改めて話しておくことです。
■40代ママへ「仕事がんばって!その成果は後で倍になって戻ってくる」
仕事については、今のわたしは2つのことを思っています。
・40代のうちにもっと勉強しておけばよかった
・弱みではなく強みを伸ばすことに集中したほうがいい
今、筆者が40代のわたしにアドバイスするとすれば、やはり「40代のうちに学びたいことを学んでおきなよ」と言うでしょう。
たとえば英語。私は英語が話せるのに、長い間「塩漬け」にしてしまい、だいぶ落ちている状態。でもなぜか50代になってから英語に関わる仕事が増えて「ああああ、少しでも英語を使っておけばよかった」と地団駄を踏んでいます。だから、本当は40代で少しブラッシュアップしておいてほしい。翻訳とか、あるいは英語以外の言語とか余裕があるなら学んでおけば後できっと「あの時、頑張っておいてよかった」と思うはず。
でも、50代前後であなたは一度、自分の仕事を振り返り、どのように仕事の幅を広げていくか、あるいは取捨選択していくかを考えるようになると思います。そして「もはや、わたしは弱みを埋める作業はしたくない。これからは自分の強みを伸ばして、わたしの強みを評価してくれる仕事を選ぼう」とある種の開き直りから、仕事に対して少し肩の荷が下りるようにもなります。
だから、もし子育てとか親のこととか、もう手いっぱいだと思ったら、勉強までがんばらなくてもいいかとも思う。アカデミックな背景を持つ人はたくさんいて、本当に勉強してきた人には勝てない。追いつこうとする努力は必要だけど、それは50代からでも充分できる。勉強は、結局、自ら意欲がないとダラダラと時間を過ごすだけで成果を伴わないことが多い(わが子もそうだったかもしれません)。
40代のあなた。勉強まで無理と思ったら、頑張りすぎなくていいです。それより、今、そこにある仕事に集中し、誰かに不義理をするようなことなく、正しく丁寧に仕事をしてください。50代のわたしは、40代悩みながら仕事に邁進していたことを、実はけっこう「あたし、頑張ったじゃん」と思っています。
■40代ママへ「子育てに終わりはない」
子どもは成長すれば、よく言われるように手はかからなくなる。そりゃそうです。赤ちゃんは何もできないからお世話をしなくてはならないが、だんだんとひとりでいろいろなことができるようになる。ところが成長したから安心かといえばそうでもない。あなたはまだ、これから子どものことで悩みます。
子どもが大きくなればなるほど、子どもの悩みを共有できなくなることに、悩みます。手をさしのべる方法が見つからないことで、オロオロするでしょう。ドカンと腰を据えて子どもを見守れればいいのでしょうが、まぁ無理です。
というわけで、あなた。覚悟しておきましょう。子どもというのは親を心配させるものだと心しておきましょう。
子どもが何か素晴らしいものを返してくれるかも?なんて期待せずに、親は子どもにずっと与え続ける存在であって、見返りがあるものではないと今からシビアに考えておいてください。そうすれば、もしかしたら、とても小さな嬉しい出来事も、とても大きく心に響きますから。
無意識に子どもに寄り掛かることがないよう、あなたの手元から巣立っていくことを受け入れてくださいね。
■40代ママへ「あたたかくて楽しい思い出をたくさん作って」
子どもがどんどん大きくなると、夫婦ふたりの時間が増えます。
男性にも更年期があるらしいです。夜あまり眠れない様子だったり、大げさなくらいのため息ばかりついたり…そばにいて心配もするけど、こちらもなかなか不安定な状態で、かまっていられません!みたいな時もある。周りに聞くと、けっこう夫が50代後半すぎて「何かとイライラしがちで困る」って声は意外と多いのです。
でもこれも、受け止めるしかない。熟年離婚でも考えるなら、それこそ今から計画的に準備しておいて!とアドバイスするけれど、50代の筆者は、夫に時にイライラしながら、その夫を頼り、やっぱり夫がいてよかったなんて思っちゃうこともあるわけで…人生のパートナーとこれからまた、新しい関係をうまく築いていきたいなと思っているところ。40代のあなたは、楽しめる時にとことん夫と一緒に楽しみ、あたたかくて優しくて甘い思い出を溜め込んでおいてほしいです。
歳をとることは、鮮やかな色のものが少なくなっていく感じがするもの。そんな時に、楽しかったことや面白かった思い出が、自分自身を慰めてくれる。だから、今のうちに子どもと、夫と、友だちと、どんどん好きなことをして楽しくてあたたかい、思い返せば微笑んでしまうようなことを心の中にいっぱい、ためこんでおいてください。いつかきっと、その思い出が役に立つから。
■40代ママへ「50代のわたしは“お蝶夫人”をめざす」
歳をとると、いろいろなことを失っていくように思える。両手ですくった砂が、指の間からサラサラとこぼれ落ちていくように。
愛にあふれ勇気と行動力があった若い頃を懐かしく思い、キラキラと輝く若さに嫉妬を覚えるかもしれない。勇気や行動力は思うようには出せなくなる。体力はがんばっても衰えていく。努力しても意識しても、アクションをとる最初の一歩が踏み出せなくなる。
40代のあなた。今は惜しみなく愛情を降り注いでほしい。子どもでも夫でもパートナーでも誰でもなんでもいいけど、ありったけの愛情を注いでください。
話は変わりますが、先日、長男が子どものときから親しくしていた友人と久しぶりに飲んだ時のこと。彼女は65歳になっていて、わたしがこんな話をぽつりぽつりとしていたから、げらげら笑い出した。
「大丈夫よ、65歳になると、もう一度ふっきれるから。うちもいろいろあったわよ、でも過ぎてしまえば、やっぱりなんとかなっている」
「おばちゃんが強いのはそれだけの経験があるからよ。だからおばあちゃんはきっと“最強”だと思うわ」って。
人生の先輩には勝てないもの。思わず「ふむふむ」と真剣にうなずいてしまいました。だから50代のわたしが、ちょっぴり先輩として、40代のあなたに伝えたい。
いろいろあるのよ、今だってあるし、これまでだってあった。そして、これからもまだまだ大変よって。
筆者が夢中になって読んだテニス漫画「エースをねらえ」でも、お蝶夫人が言っています。
「人間というのは思ったよりも強いものですね。傷ついたと思うだけで、人間は傷つかないものなのかもしれません」
あれも耐え難い、これも耐え難いと思うだけで、この世には耐えられないものなどないのかもしれません。50代のわたし、お蝶夫人をめざします。ひとまず40代のあなたは、今を走り抜けてくださいね。
(まいどなニュース/BRAVA編集部)