保護時はわずか体重100グラム…愛らしく成長した猫に起きた異変 「てんかん発作」の病いと向き合う

茨城県で暮らすK家の猫の信玄ちゃん(2歳)は可愛い女の子。名前は少しいかついけれど、お父さんがつけてくれた大切な名前なんです。呼ばれると嬉しくて尻尾ピーンをしたり、駈け寄ったり。だって撫でてくれることが分かっているもん。信玄ちゃんはお父さんもお母さんも大好きなんです。

そんな穏やかな日々を送る中、信玄ちゃんに異変が起きます。2022年8月上旬、2歳の誕生日を迎えたころ、不可解な痙攣が始まりました。最初は瞼がピクピクするだけだったのが、全身を激しく痙攣させるように。動物病院での診断結果は「てんかん」でした。

実は8月から、お父さんのお母さん、つまりお祖母ちゃんも一緒に家で暮らすようになったのです。体調が悪く、自分のことで精一杯のお祖母ちゃんは信玄ちゃんまで気を回すことができません。視野が狭まっているため、信玄ちゃんに気付かないこともしばしば。

それまでお父さんとお母さんから愛情を一心に受けていた信玄ちゃんは、これがショックだったよう。お祖母ちゃんだって信玄ちゃんと仲良くしたいのに、それが出来ない…。お母さんはなるべくお祖母ちゃんと信玄ちゃんが一緒にならないよう工夫をしましたが、それでも双方にストレスが溜まっていきました。その結果として、てんかん発作が出た可能性は否定できないと、獣医師は言います。

1度てんかん発作が出ると、信玄ちゃんはかなり疲れるよう。発作がおさまった途端に、ご飯をたくさん食べるようになりました。だから、お父さんとお母さんは発作が起きると信玄ちゃんの様子を見ながら、ご飯の準備もするようになったんです。

初めての投薬から1カ月ほど試行錯誤をしたのち、信玄ちゃんはご飯に混ぜられた薬を、嫌がることなくちゃんと服用するように。そのおかげで、発作の回数はかなり減ってきたんですよ。10月は何度もあった発作が、12月は1週間に1回あるかないかというぐらい。

この様子にお父さんとお母さんもほっと一安心。薬の血中濃度が一定に保たれていれば、普通の猫と同じように暮らせます。信玄ちゃんが好きな猫じゃらしで遊ぶことも、キャットタワーからジャンプすることだって問題ありません。

そもそも、信玄ちゃんが保護された時の体重は100グラム。山の中で独りぼっちだったところ、釣りに来ていたお父さんとお母さんに助けてもらいました。本当に小さくて、ちゃんと大きくなるか心配だったんです。それが立派な成猫となり、走り回れるようになったことが嬉しくてたまりません。てんかん発作はオマケです。

実は猫と暮らすのが初めてのK家。それまでは犬と暮らしていました。そのせいか、信玄ちゃんと遊ぶ時も「取ってこい」をついしちゃったんです。信玄ちゃんもそれが大好きで、中でもヘアゴムを飛ばしてもらうのがお気に入り。わざと冷蔵庫の下に入れ、取れなくなるギリギリを攻めるのが楽しいみたい。

お母さんは信玄ちゃんと遊びながら、てんかん発作の予兆を見極めます。言葉が話せない信玄ちゃんの分、人間がよく見てあげなくてはならないから。なるべく発作を起こしてもらいたくない。信玄ちゃん本人だけでなく、見ているお父さんとお母さんも胸を締め付けられるんです。

不安でいっぱいのお父さんとお母さんを励まし、勇気づけてくれるのはTwitterのフォロワーさんたちです。情報提供してくれたり、信玄ちゃんの愛らしさを褒めてくれたり。家族だけでは乗り越えられなかった愛猫の病気とも、向き合うことができるようになりました。

今ではお母さん、笑いながらこう言うんです。

「信玄のために、勉強を始めたんです。勉強なんていつぶりかしら?」

お祖母ちゃんの介護と信玄ちゃんのてんかん発作。大変なことがいっぱいですが、一緒にいてくれるだけで幸せをくれる信玄ちゃん。その幸せのために、お父さんとお母さんは前進していきます。

信玄ちゃん、検査や服薬は大変だけど、お父さんとお母さんがいるから頑張ってね。世界一素敵なお父さんとお母さんだよ。発作を怖くないものにしようね。

(まいどなニュース特約・ふじかわ 陽子)

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