皮膚病「アカラス」の治療を続けて8年 保護犬がようやく出会った里親→すっかり安心して元気な姿に

今から約8年前のこと。保護犬の譲渡活動を通じ、「殺処分ゼロ」の実現を目指すピースワンコ・ジャパン(以下、ピースワンコ)が、広島県愛護センターから引き出したワンコの中に、生後6ヶ月ほどの小さなメスのワンコがいました。アカラスという皮膚病を患っており、体のところどころの毛が抜け落ちていました。

◆アカラス(ニキビダニ症) 常在寄生するニキビダニが原因で皮膚に発症する皮膚病のこと。通常は発症することはないが、免疫が低下すると発症すると考えられている。

しかし、とてもきれいな目をしていたことと、人懐っこい性格でもあったこのワンコを、スタッフは愛らしく「バニラ」と命名し、施設でアカラスの治療をし続けることにしました。

■ 多くの人たちの支援によって支えられた治療費・生活費

同団体は原則的にはどんな保護犬も引き取り、新しい里親への譲渡を目指します。しかし、中にはバニラのように治療が必要だったり、体が不自由だったり、シニア犬でなかなか里親が見つからないケースもあります。

こういった譲渡に至らないワンコも、最後まで面倒を見続けています。しかし、どうしても治療費・生活費はかかります。これを支えてくれているのが、「ワンだふるファミリー」の存在を知る多くの支援者で、寄付や物資支援などによって、こういったワンコたちの命を救っています。

バニラもまた、こういった多くの人たちの支援によって治療を続けられたワンコでした。バニラの誕生日には、たくさんのお祝いの贈り物、温かいメッセージなどが届き、この思いはバニラもきっと届いたことでしょう。

■穏やかで優しい性格を持つバニラ

バニラは元来の優しい性格もあり、犬舎の中でも、他のワンコともすぐに打ち解けました。また、ある老犬の最期をスタッフと一緒に見届け、涙を流すスタッフに寄り添うような優しい場面もありました。

また、バニラ自身も、日常的に一緒に遊んでいたワンコに新しい里親が見つかり卒業していくときは、少し寂しそうな表情も浮かべました。

■約8年間の団体での生活へ経て、ついに譲渡が決定

バニラは結果約8年もの間、治療をしながら同団体で生活をしていましたが、今年7月に運命の出会いが訪れました。同団体のあきる野譲渡センターに足を運んでくれた方で、そのライフスタイルにマッチするワンコを探していると言います。

そこでスタッフがバニラを紹介したところ、バニラの性格をとても気に入り、またバニラ自身もすぐにこの方と打ち解けました。約8年同団体で過ごしていたのに、新しい里親さんの存在に安心した様子のバニラ。卒業時、手続きを行なったスタッフも少し驚いたと言いますが、きっとバニラが望むように、新しい里親さんを呼び込んだのかもしれません。

現在、バニラはこの里親さんの元で元気に暮らしていると言います。これも当初の治療や生活を支えてくれた多くの支援者の方々の力があってこそだ、とスタッフは振り返ります。

今も同団体では、まだまだ多くのワンコのお世話をし続けています。その支援などに興味がある方はぜひ同団体のサイトをチェックしてみてください。

(まいどなニュース特約・松田 義人)

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