子どもが成人するまでに…親は「1000回反省」する! その“後悔の日々”が無駄じゃない時が必ずくる理由
まもなく成人の日ですね。ちなみに成人年齢が2022年4月から18歳に引き下げられました。成人年齢に達したからといって、子育てが終わるわけではありませんが、区切りのように感じる人も多いかもしれません。
私には現在26歳の社会人の息子がいます。振り返ってみると、たぶん「週に1度はわが子にブチ切れてて」小さなことから大きなことまで様々ですが、怒り、落ち込み、ひどく反省し後悔していたような気がします。でも、それを繰り返してきた日々が無駄じゃないと思うときがあるのです。
■20年で1000回は落胆し後悔し反省する…「それが子育て」
私の息子が成人になったのは、成人年齢引き下げ前だったので、20歳でした。その20歳を例に単純計算してみます。
365日×20年=7300日
おおおお。私たち、わが子を成人させるまで7300日も日々闘うのですよ。その間、いろんなことがありますね。
言うことをきかない子どもに声を荒げて怒鳴ってしまったり。それだけでなく、認めたくないような、暗くて重い気持ちが芽生えたことも、きっとあったはずです。例えば…
「片言のわが子が『ママ~!』と突進してきたのにふりほどいて拒絶した」
「自分のイライラのせいで、たいして悪いこともしていない子どもに八つ当たりした」
「深い理由もないのに、一瞬子どもが可愛くないと思った」
「仕事がうまくいかないのは、この子のせいだ、と思った」
といったようなことです。
そんなことが例えば「週に1度」あったとして(実際にはもっと頻度が多いような気はしますが、とりあえず)。回数を計算してみると、驚きの数字が判明します。
7300÷7=1042回
…やれやれ。子育て中は、少なくとも1000回ほど怒鳴ったり、ムッとして無言になったり。よくない気持ちで子どもが脱いだ服を蹴っ飛ばしてみたり。そうしてしばらくして「また、やっちゃった」と反省したり…といったようなことが続くのです。
恐ろしい回数ですね。他人ごとのように言うとすれば、「よくもまぁ、そんなに怒れるものだ」と思ったりもします。人間100回も怒って、その後に反省するのなら「101回目は、いい加減学ぶだろう」とも思ったりします。それが1000回ですから。しかし、学んだ通りに実践できないのが「子育て」です。
■ダメ親すぎる私は日々後悔するしかなかった
1000回子どもを怒ったら、1000回分子どもは「成長する」のでしょうか。
残念ながら違うようです。怒り方というのは、「こうすべき」という指南が山ほどありますね。私なんて「いい子に育たない親のNG言動5つ」とか言うのがあれば、その5つ全てにあてはまるタイプです。つまり…
◇ ◇
▽モノで釣る(すぐに「Aをやったら、Bを買ってあげるからさ~」と言う)
▽昨日はダメと言ったのに「今日は休みだし、ママも飲んじゃって気分いいし」ま、いっかと許す(多くはゲームの時間)
▽疲れていると、ただチラっと親を見た子どもに対して「なに?何か言いたいことある?」と言いがかりをつける
▽反抗的な子どもに対して、子どもが大事にしている玩具を手にして「これ捨てちゃうからね!」と脅す
▽「もういいよ」と言った子どもに「何がいいのよ?え?何がいいわけ?言ってごらん!!!」と迫りまくる
◇ ◇
あああ、こんなこと書いているだけでも反省の嵐です。ダメ親の最もわかりやすい例を出しているようですが、すべてコレ、私です。だいたい1000回も怒っておきながら、本当に子どもが成長するのに必要であった「しつけ」はどれくらいだったのでしょう。正しく導くための「お説教」「叱り方」が出来たのは、きっとほんの数回しかなかったように思います。
■誰にもわからない「母の後悔」その日々とは
あまり正しくもない、ヒステリーじみた怒り方に何度も反省しながら、今、成人をすぎ社会人となった長男を見てしみじみと思います。
子どもはちゃんと育ちます。
「仕事をしている為に子どもに淋しい思いをさせている」「忙しくて構ってやれない」「本当は子どもとたっぷり遊んであげたいのに」…。
八つ当たりに近い怒り方をした後で、次に母親を包み込むのがこうした慚愧(ざんき)の念、ですね。
仕事をしているがために「こんな怒り方をしてしまうんだ」「わが子が可哀想で負い目を感じてしまうんだ」「キラキラと輝いてる他のママたち、でも私は全然ダメだ」などなど。…でも、実際のところはどうでしょうか。
親になったら、後悔しない日はほとんどありません。今日は1日怒鳴らず、優しいママだったなんていう日は数えるほどしかなかったでしょう。
だって、これまた子どもというのは、怒るようなことをやるのが仕事みたいなもんですから。
ワーママであろうが、専業主婦であろうが、シングルだろうが大家族であろうが、お母さんは怒っては後悔し、反省した次の瞬間には怒るものなのではないでしょうか。
1000回の後悔は、子どもを成長させているのではなく、自分を支えているんですよ。「ああ、今日もやっちゃった」と思えるのは、本当はまだ小さな余裕が残っているから、です。こんな母親になりたいという理想を捨ててはいないからです。そうなれなかったとしても、なれないからこその後悔なんです!
■「やりきってる」キラキラワーママに嫉妬する日々も
どうでもいい、わが子に対して「投げやり」になったとしたら。いえ、いっそ、投げやりになれたならラクかもしれません。でも、なれない。なれないから、後悔するんです。
後から激しく落ち込み、なんで教科書通りにできないのだろうかと悩みます。自分だけがこんな母親なのだろうか…仕事をしながら東大に入れている親だっているのに!キャリアで成果を出し高い年収を得て、しかも3人の子どもを育てているようなママだっているのに!
私がどれほど「やりきってる」ママに対して嫉妬を感じ、その嫉妬を持った自分に向かって「……わたしって小さい」と思ってきたか。いったい何度、ベッドの中ですっかり落ち込みながら「とにかく明日も仕事で早いんだから寝なくちゃ」と思ったか。それは私の夫でさえわからないことです。
■1100回目に来るかもしれない「母である幸せ」を求めて
誰にもわからない。
それが母親が毎日毎日感じている「小さな後悔」です。私が経験した後悔と、あなたの後悔はきっと違います。だから、もし私があなたの隣にいて話を聞いたとしても、本当にあなたの気持ちがわかるわけではないのでしょう。
それでも。
1000回の後悔をしている母は、1001回目ではないかもしれないけれど、1010回目に、1100回目に、ある時いつか、突然、すべてが前向きに思える日がきます。
「わたし、もしかしたらわが子をウマく育てたかも?」
それはきっと、子どもの成人式だったり、無事社会人になった時だったり、もっと遅いかもしれないけど、とにかく子どもがあなたの側を離れ、あなたが整えてきた温かい家から飛び立ち、彼らなりの生活を彼らなりに確立した時です。
あなたの1000回の後悔は、絶対にムダではありません。
後悔は、あなたがそれでも「こんな母でありたい」と思っている「前向きな気持ち」があるからこそ生じるものなんです。
理想の母になろうともがくあなたの姿を、子どもはずっと見ているんです。ただ、もがいている苦労や辛さを子どもが理解するのは、ずっと先です。今ではありません。残念ながら。
でも。どうか、落ち込みながら、後悔しながら、1000回もの「やりきれない気持ち」を抱えながら、それでも歩んでいきましょう。
エラそうに書いてる私はあなたを全く知りません。それでも私は「大丈夫なんだよ」って、あなたを応援したい。先輩ママとして、私が伝えられる事はただそれだけだから、です。
(まいどなニュース/BRAVA編集部)