JR大阪駅の「うめきたエリア」3月に開業 特急「はるか」「くろしお」、おおさか東線(新大阪~久宝寺)が乗り入れ

今年3月にJR西日本の「大阪駅(うめきたエリア)」が開業します。同時におおさか東線が大阪駅(うめきたエリア)に乗り入れます。乗り入れに伴い、おおさか東線の利便性は向上するのでしょうか。JR淡路駅を例に挙げ、考えてみたいと思います。

■JR大阪駅(うめきたエリア)開業の意味

現在、大阪駅の北側には東海道支線(梅田貨物線)があり、関空アクセス特急「はるか」や南紀行き特急「くろしお」が走っています。しかし同線には大阪駅はなく、新大阪駅での乗り降りを余儀なくされていました。

そこで東海道支線を移設・地下化した上で新たに「大阪駅」を新設することになりました。現在の大阪駅北側は「うめきたエリア」と呼ばれていることもあり、名称は「大阪駅(うめきたエリア)」となります。現在の大阪駅とは改札内連絡通路で結ばれます。

大阪駅(うめきたエリア)には特急「はるか」「くろしお」の他におおさか東線(新大阪~久宝寺)が乗り入れます。これに伴いおおさか東線各駅から大阪駅への所要時間の短縮が実現。また新大阪~奈良間で運行している「直通快速」も大阪駅(うめきたエリア)に乗り入れ、停車駅にJR淡路駅が追加されます。

■ライバル阪急淡路駅との関係は?

JR淡路駅から約300m西には阪急電鉄の淡路駅があります。阪急淡路駅は京都本線と千里線が交わる交通の要衝であり、通勤特急以外の種別が停車します。2021年の同駅の1日あたりの平均乗降人員は約32,000人で、おおさか東線開業後も大阪市東淀川区の代表駅として存在感を示しています。一方、JR淡路駅の1日あたりの乗車人員は約6,500人です。

さて阪急淡路駅から大阪梅田駅へは電車1本でアクセス可能なことから、現状では新大阪駅での乗り換えが必要なJRよりも利便性は高いです。それではおおさか東線の大阪駅(うめきたエリア)乗り入れ後はどうなるのでしょうか。

JR西日本によりますと昼間時間帯のJR淡路~大阪駅(うめきたエリア)間の所要時間は10分になり、現行よりも4分短縮されます。一方、阪急淡路~大阪梅田間の所要時間は特急で8分、普通で10分です。

単純に比較すると「まだ阪急が少し速い」といった感じです。運賃はJR淡路~大阪間(新大阪駅乗り換え)が180円、淡路~大阪梅田間は190円です。

■グランフロント大阪はJR、阪急百貨店は阪急か

ここで見落としてはいけないのは大阪駅(うめきたエリア)と大阪梅田駅の位置関係です。大阪駅(うめきたエリア)は現在の大阪駅の西北に位置し、グランフロント大阪とは地下通路で結ばれます。

一方、大阪梅田駅は大阪駅よりも東に位置し、阪急百貨店へは徒歩すぐです。大阪梅田駅からグランフロント大阪への最短ルートには屋根がなく、しかも混雑の割に道幅が狭く「密」なため、お世辞にも「快適なルート」とはいえません。

つまりグランフロント大阪へは傘要らずで移動できるJR、阪急百貨店へは阪急という具合にすみ分けが発生するかもしれません。

ただし、ここで一つ気になるのが列車本数です。昼間時間帯、阪急淡路駅から大阪梅田駅へは18本も設定されています。これに対し、JR淡路駅から新大阪駅へは1時間あたり4本しかありません。

現在のところおおさか東線の増発は検討されていないことから、延伸後も1時間あたり上下各4本が基本になることでしょう。おおさか東線の利便性が向上することを考慮すると、少しもったいなく感じるのは筆者だけでしょうか。 

(まいどなニュース特約・新田 浩之)

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