「初めてだから1匹だけ」のつもりが、幼い兄弟猫に心奪われ「どちらかなんて選べない」あっという間にしもべに
■高齢者の多頭飼育崩壊
グリくんとホアくん(生後6ヶ月・オス)は、多頭飼育崩壊の現場でボランティアに保護された。90歳のおばあさんが不妊手術をせずに家猫にも野良猫にもエサを与えていたので、どんどん増えていった。保護団体がレスキューに入った時は、どの猫が家猫でどの猫が野良猫なのかさえ分からなかった。結局、野良猫が産んだ子猫6匹が保護され、その中の2匹がグリくんとホアくんだったという。
現場には母猫が何匹かいたので、同じ時期に生まれたようで、実際の兄弟ではないようだった。
■一緒に迎えよう
東北に住むIさんは、東京に住んでいる時から猫を飼いたいと思っていたが、賃貸だったのであきらめていた。
「引っ越して持ち家になり、これなら猫を迎えられると思ったので保護猫を探し始めました」
譲渡サイトや保健所の掲示板を定期的に見て数ヶ月探すと、家の近くで里親を募集している団体があった。保護団体のシェルターから家までの移動時間が短い方が、猫への負担が少ないと思ったそうだ。
7月初旬、猫に会いにいくと、グリちゃんはグレーの毛並みがとてもきれいだった。ホアちゃんは初対面だったが何度も鳴きながら近づいてきて、心を奪われた。
「猫を飼うのは初めてなので、最初は1匹だけ譲渡してもらうつもりだったのです。でも、保護団体の方から兄弟一緒の方が猫も寂しくないし、猫社会のことも学べると言われました。兄弟飼いのメリットなどを調べて、一緒に迎えることにしました。それに、どちらか1匹を選ぶことなどできませんでした」
■兄弟ではないが仲良し
7月15日、ボランティアが2匹を家に連れてきてくれた。人の近くで育ったので2匹とも人懐っこかった。
「グリくんは初日から私のお腹の上で寝てくれて、びっくりしました。保護団体の方が愛情を持って接してくれたおかげです。でも、やはり新しい環境で不安だったようで、2匹くっついて寝ていました。グリくんは数日間食欲が無くて、心配で動物病院に行きました」
2匹を迎えた時、Iさんは古民家をリノベーション中だったので、まだ入ってほしくない部屋もあった。しかし、好奇心旺盛な子猫たちは、どこにでも入りたがって困ったという。
「玄関の土間に板を貼ったり、工具を置いている部屋を片付けたり、最初はバタバタでした。猫がいると家が片付くというのは本当ですね」
ホアくんはかまってちゃんで、Iさんが作業をしていると『キュー』っと鳴いて近寄ってくるが、撫でようとするとサッと立ち去ってしまう。寝る時はふみふみしに来る。グリくんは肩に乗るのが大好き。好奇心旺盛なので、子猫の時はルンバに乗って遊んでいたそうだ。
「いつも2匹で遊んでいて、あまり人に甘えてこないので少し寂しい気もします。最近は寒いので、寝る時は2匹とも布団に潜ってきて一緒に寝てくれます」
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)