「この子が私を選んでくれた」 真夏の公園の駐車場、ぐったりした捨て猫を保護
■公園の駐車場にいた子猫
凪ちゃん(生後7カ月・オス)は、2022年7月1日午後5時頃、公園の駐車場で鳴いていた。茨城県に住む佐藤さんの弟が仕事中に発見。「衰弱しているかもしれない」と、佐藤さんに連絡してきた。
佐藤さんはすぐに車で現場に向かったが、渋滞していて片道1時間半ほどかかった。
「車で移動中も子猫のことが気になって仕方なかったのを覚えています。弟は猫が車の方に行かないよう抱っこして待っていてくれました」
■夜間救急病院へ
子猫を預かって抱っこした時、少し暴れたので人馴れしないないのかもしれないと思ったそうだ。佐藤さんは周りに母猫や子猫がいないか確認し、動物病院に向かった。
「よく顔を見ると目やにと鼻水がひどく、目はほとんど開いていない状態でした。車に乗せると、さっきまで暴れていたのに急に静かになりました。下を向いて目を閉じて、ぐったりしているように見えました」
とても暑い日だったので脱水かもしれないと思い、佐藤さんはコンビニに寄って水とちゅ~るを買って与えた。しかし、子猫は全く反応しなかった。急いで病院に向かおうとしたが、既に18時半過ぎだったので、片っ端から電話したがどこも診察を断られ、「この時間なら夜間救急病院に行ってください」と言われた。
「この地域には幸い夜間救急病院があり、以前パンフレットももらっていたので場所は知っていました。状況を説明すると診察してくれました」
■捨て猫だった
付き添えないので待合室で待っていると、何度も「ニャー!」という大きな声が聞こえてきた。獣医師は、推定生後2カ月弱の男の子、健康状態はそこまでひどくなく、血液検査の結果は異常なし。脱水しているので点滴したと説明してくれた。なぜかお腹の中には食べ物が入っていて、空腹ではないということだった。
凪ちゃんは人に慣れていて抱っこもできた。「肉球や身体に傷ひとつ付いていないので、おそらく誰かに飼われていて、捨てられたのだろう」と獣医師は言った。
■来てくれてありがとう
佐藤さんは譲渡サイトに掲載して里親を募集した。
「いくつか問い合わせをいただきましたが、家族で話し合い一緒に暮らして幸せにしたいと思いました」
凪ちゃんは隔離期間を経て、先住猫の白玉くんとごまくんと対面した。それまでもガラス越しにお互いの存在は知っていた。部屋に入るとあちらこちらの匂いを嗅ぎ、勢いよく走り出し、大きな大きなキャットタワーのてっぺんに一気に登った。そして、尻尾を太く膨らませてみんなを見下ろし、誇らしげな顔をしたという。
「その後、白玉に飛びついたので白玉はびっくりして少し後退りしました。その後布団の上に行き、白玉がグルーミングをすると、喉をゴロゴロ鳴らして母猫に甘えるようにふみふみしてミルクを飲む仕草をしました」
猫じゃらしで遊ぶのが大好きで、ボール遊びも飽きることなくやっている凪ちゃん。佐藤さんは、「私が凪を拾ったのではありません。凪がうちを選んできてくれたのです。だから『凪ちゃん、ありがとう』と思っています」
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)