「エステと猫、ダブルで癒される」奈良のサロンの看板兄弟猫 「守るべき存在が加わって、家族の絆が深まりました」
奈良県奈良市の閑静な住宅街にあるエステサロン「RE:BIRTH(リバース)」は、猫のいるエステサロン。エステティシャン歴25年の櫻井朋子さん(49)一家の飼い猫、「福(ふく)」と「神(じん)」兄弟(いずれもオス、1歳)が出迎えてくれる。人なつこくお客さんからは「エステと猫、ダブルで癒される」と好評。それだけでなく「2匹を迎えてから、家族の雰囲気が一変し、絆が深まった」と櫻井さん。今や2匹は一家にとってかけがえのない存在だ。福と神について櫻井さんに話を聞いた。
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福と神が我が家にやってきたのは、私の千葉の実家で母が飼っていたハチワレの保護猫、タラちゃん(メス 4歳で没)が一昨年、急性腎不全で天国へ旅立ってしまったのがきっかけでした。私は千葉でも月に約1週間、出張してエステをしているのですが、タラちゃんは背中に羽のような模様があり、施術中はお客さんの脚の間でくつろいだりして人気者でした。
タラちゃんを失ったショックと悲しみからようやく少し立ち直りかけたとき、奈良の保護猫団体からの紹介で出会ったのが福と神でした。団体の方の話によれば、保護しようとしていた野良の母猫が捕獲器の中で4匹を出産し、びっくりされたそうです。福と神はその中の兄弟2匹です。「1匹だと昼間、家に誰もいないときにさびしがるだろうから」と2匹を譲り受け、奈良の自宅兼サロンで飼うことになりました。
うちは、夫、夫の前妻の長男と長女の4人家族。夫の前妻は子どもたちが思春期の頃に若くして病気で亡くなり、8年前、私が夫と再婚して子どもたちの新しい母親になりました。
私は幼いころから実家にずっと猫がいて慣れていますが、夫や子どもたちは猫を飼ったことがなく、不安だったんでしょう。当初は猫を飼うことに難色を示していました。でも、家族を説得して2匹を迎え入れてみたら「可愛いなあ」と、たちまちみんなメロメロになってしまったんです(笑)
まだ生後2カ月。何に対しても興味津々で、家の中をあちこち探検したり夫の背中によじ登ってみたり(笑)。それまで、うちの家庭はみんなクールで淡々としていたのですが、猫たちがやってきてから雰囲気が一変。いつも誰かが、語尾に「にゃー」をつけて猫たちに話しかけたり、じゃれあったりして、賑やかで笑いが絶えなくなりました。
特に娘は猫たちに愛情を注ぎ始めてから、元々持っていた明るい活発さを取り戻し、表情も優しく柔らかい印象になって、幸せそうに楽しく毎日を過ごしているように感じます。昨年の母の日には、初めて私にプレゼントを買ってきてくれたんですよ。それがすごく嬉しくて。
一度、神が急に吐きだして具合が悪くなったことがあったんですけど、そのときは大騒ぎでした。心配してあたふたし、みんな寝不足になるほどでした。病院へ駆け込むと、急性胃腸炎との診断で、結局1泊の入院だけで済み、大したことはなかったのですが、娘まで「胃が痛い」と言い出して…。神の体調が回復すると娘の胃も治ったようです。
福と神という「守るべき存在」が家族に加わったことで、今では2匹が我が家の中心になり、猫たちのおかげで家族の絆がすごく深まりました。まさに2匹は命名したとおりの「福の神」です(笑)
2匹とも人見知りせずとても人なつこいので、看板猫としての役目もしっかり果たしてくれています。玄関とエステルームへの2匹の出入りは基本的に禁止。お客さんには施術の前後にリビングで触れ合ってもらっています。「エステと猫、ダブルで癒される」と喜んでくださる方もいます。
福や神が家族やお客さんにもたらしてくれている幸福感。そのポジティブなパワーがここから外へ溢れ出て、広がっていったらいいなと、そんなイメージを抱いています。サロンの収益の一部を地域猫や保護猫活動にあてて、人も猫も地域もみんなが喜ぶような「幸せの循環」をつくりたい。それが今の私の目標です。
(まいどなニュース特約・西松 宏)