漫画家の根田啓史（@dorori_k）さんが、コロナ禍で一時無職となった友人のプロパフォーマー謳歌（おうか）さんの漫画を描きました。

謳歌さんは「視覚の魔術師」と呼ばれる独自のパフォーマンスで国内外のテレビやステージで活躍し、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」などで喝采を浴びていました。しかし、コロナ禍に見舞われ、妻子がいる身で仕事がゼロになりました。苦境の中、TikTok（ティックトック）などのショート動画で新たな収入の柱を築き、2023年2月4、5日に世界有数のパフォーマーを集めたイベント「世界のマジック&サーカスショーTrueAct2023」を開催します。イベント開催までの挫折と再生の道のりを漫画化した根田さんに聞きました。

■「恩返しがしたい」と漫画を執筆

ーー謳歌さんと出会ったのはいつごろですか？

根田さん「5年ほど前です。僕は当時、フリーランスの漫画家として独立したばかりで、仕事が無くて色々悩んでいた時期に出会いました。

謳歌さんからは自分が苦しい時期に漫画の仕事をいただいたこともあります。おかげさまで今はそれなりに生活が回るようになり、今回は『当時の恩返しがしたい』という思いもあり、漫画を描きました」

ーー漫画家とパフォーマーは異なる職業です。どのような点で刺激を受けますか。

根田さん「謳歌さんのステージにも何度か足を運び、普段と全く違うカッコいい謳歌さんを見て衝撃を受けました。パフォーマーという仕事のすごさをそこで知りました。

（漫画とパフォーマンスで）決定的に違うのはライブの緊張感です。どんなすごいパフォーマーも限界に挑戦した技を見せてくれるので、ミスすることもあります。そこで生まれる緊張感は到底漫画では出せないです…。つい立ち上がったり、拍手してしまうとき、ちょっとだけ羨ましいなと思ってしまいます。

注目させる技術はパフォーマンスにかなう分野はないと思っていて、参考になるなと思うことは沢山あります」

■イベント来場、漫画で呼び掛け

謳歌さんはコロナ禍の無職時代、TikTokに活路を見いだし、パフォーマンスを駆使したショート動画でフォロワー68万人を集めました。

根田さん「謳歌さんがTikTokに力入れているという話を聞き、とても興味があったので、講義料をお支払いして定期的にTikTokでの活動報告をしてもらうようになりました。

と言っても、謳歌さんは瞬く間に何十万人もフォロワーを増やしていきました。今も月2回ほど会って、マンツーマンでSNSの勉強会を開いてもらっていますが、最近は時間取ってもらっているのもちょっと申し訳なく思ってきてます(笑)。

それも今回、漫画描いた理由です。（恩を）返せるかなと思って」

謳歌さんはコロナ禍を乗り越え、世界最高峰のパフォーマーを集めた「世界のマジック&サーカスショーTrueAct2023」を2月4、5日、東京・大田区民プラザ大ホールで開催します。根田さんは漫画の最後で、True Actへの来場を呼び掛けています。

根田さん「true actは謳歌さんが2015年ごろから主宰しているイベントです。完全に個人でやっているので、スケール感がなかなか伝わりにくいのですが、ちゃんとしたメディアやプロデューサーのバックアップがあったら、もっと大きな会場で開催されるクオリティと出演者なんだと思います。

僕はパフォーマー業界のことはあんまりよく分からないのですが、世界中から招待オファーを受けてきた謳歌さんだから、出演者たちは来てくれてるそうです。ショーを見に行ったことがあるのですが、色んなタイプのパフォーマーさんが一堂に会していて、圧巻のステージでした。

謳歌さん一人で資金集めやブッキングなど全部やっていて、たぶんめちゃくちゃ大変だと思うんです」

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根田さんの友情のこもった漫画に、謳歌さんは「もともと気の合う友人。漫画に描いてもらってありがたいです」と感謝します。

謳歌さんはリングや図形を使ってCGのような模様を生み出す独自のパフォーマンスで、海外22カ国で公演してきました。世界各地で知り合ったマジックやジャグリング、フィジカルコメディーの名手たちが5カ国10組来日し、世界最高レベルの演技を披露します。「各分野の世界大会で優勝経験のある人たちが集まってくれました。イベント開催に多大な資金と労力と費やし、観る価値があると保証します」と来場を呼び掛けています。

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【世界のマジック&サーカスショーTrueAct2023】

▽日時

2023年2月4日(土)18:00開演

2023年2月5日(日)14:00開演／18:00開演

▽会場

大田区民プラザ 大ホール

▽入場料

SS席 9,000円・S席6,500円・A席 4,500円・高校生以下 2,500円

(全席指定) ※4歳以上入場可

公演の詳細はTrueAct公式サイトまで。

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漫画家の根田さんは「異世界行ったら、すでに妹が魔王として君臨していた話。」「怪しい壺買ったら、中から美少女が出てきた話。」などの著作があります。ぜひチェックしてみてください。

（まいどなニュース・伊藤 大介）