高速道路、将来的に「現金払い」ができなくなる? 「ETC専用の料金所」が急増中…2030年度には“すべての料金所”が移行予定

高速道路を走行する際、多くの人が利用する「ETC」。曜日や時間帯によって割引サービスが適用されるうえ、料金所もスムーズに通過できるので非常に便利ですよね。最近ではETCの普及に相まって、「ETC専用料金所」が増えています。首都高では2025年度中までに約9割の料金所をETC専用にする計画もあるといい、近い将来「ドライブにはETCが必須」という時代が到来しそうです。

西日本高速道路株式会社(NEXCO西日本)の公式サイトでは、このほど「2023年4月3日から11料金所がETC専用料金所になる」と発表がありました。新名神高速道路の「茨木千提寺」料金所をはじめ、浜田自動車道の「瑞穂」、高松自動車道の「津田東」、東九州自動車道の「都農」などの各料金所がETC専用に。

首都高速道路株式会社では、2022年3月に「一ツ橋」「滝野川」「浦和南(上り)」「晴海」「安行」といった5カ所の料金所をETC専用化。また同年4月には「代官町」「空港西」「新宿」など29カ所の料金所もETC専用にしました。さらに『首都高ドライバーズサイト』の情報によると、2025年度中までに約160カ所までETC専用化を進めるとしており、割合は全料金所の約9割になるといいます。

ETC専用の料金所を増やしている理由について、NEXCO西日本・首都高速に聞いてみると、両社の広報担当者から以下のような答えがありました。

「近年のETC利用率拡大などの社会情勢の変化を踏まえ、料金所のキャッシュレス化・タッチレス化の一層の推進を図っています」

実は2020年12月17日、国土交通省と高速道路会社6社は「ETC専用化等のロードマップ」を公表。高速道路各社は料金所のETC専用化を計画的に進め、都市部は2025年度、地方部は2030年度をめどに、おおむねすべての料金所について対応を完了させるという計画が示されました。

国自体が、ポストコロナ時代を見据えて「キャッシュレス化」を推進している影響は大きいといえますが、高速道路や有料道路のETC専用化は今後も拡大していくため、将来的には現金払いができなくなり、「ETC車載器の搭載が必須」となる時代が訪れるかもしれません。

NEXCO西日本によると、ETC専用化を進めることで「混雑緩和や管理コストの削減」などのメリットも見込めると説明しています。

■ETC専用となった料金所…間違って進入したらどうなるの?

ちなみに、最近のETC利用率はどの程度なのでしょうか。国土交通省が公開している「ETCの利用状況」によると、2022(令和4)年10月のETC利用率は94.0%。2007(平成19)年3月における利用率(65.9%)と比べてみても、約15年の間で利用率がかなり上昇しているといいます。各高速道路会社別に見ても、最も利用率が低いNEXCO西日本でもその割合は92.3%でした。

利用率がこれだけ高くなってきているとはいえ、まだETCを搭載していない車は存在します。増えつつあるETC専用料金所に、ETC非対応車が入ってしまうことはないのでしょうか。

ETC専用となった料金所について、NEXCO西日本ではインターチェンジ付近の高速道路本線や一般道の案内標識に、「ETC専用であることを伝える標示板」を設置して、注意を促していくようです。首都高でも紫色の標識などで案内をしているといいます。

でも、見落としたり、誤って進入してしまうこともありそうです。そのような際にはどうすればよいのでしょうか。NEXCO西日本と首都高速の2社に確認すると、「『サポート』または『ETC/サポート』と表示されたレーンを設けているので、そちらで一旦停車し、係員の指示に従ってほしい」とのこと。

サポートレーンでは設置されたインターホンを通じて、係員に連絡を取ることができるといいます。

NEXCO西日本の広報担当者によると、「ケースによって違うので一概には言えませんが、料金所が『入口』だった場合は通行券をお渡しします。『出口』に関しては、料金精算機が設置されているので、そこで料金の支払いをおこなってもらいます」とのことでした。

料金精算機が設置されているのであれば、サポートレーンも「一般レーン」と変わらないように思えますが、NEXCO西日本と首都高の広報担当者は「サポートレーンにおける料金精算機の設置は『万が一に備えて』なので、一般レーンとは意味合いが変わってきます。基本的にETCが搭載されていない車はETC専用料金所を利用しないよう気をつけてください」と、注意を促していました。

   ◇   ◇

ちなみに、誤進入に加えて現金を持ちあわせていなかった場合はどういった対応になるのでしょうか。これは通常の料金所でも同様ですが、実は「不測の事態向けの対応」として、「後払い」のシステムがあるそうです。インターホンを通した係員の指示や、そこに置かれているチラシに従うことで、後払いでの対応が可能に。国土交通省のリリースでは、ETC専用料金所における「誤進入車等支払手順」として、「カメラでナンバーを読み取り、読み取ったナンバーにより判明した車両から事後徴収」という将来イメージも掲げられています。

とはいえ、料金精算機での支払いや、後払いに関してはいずれも「やむを得ない事情」というのが大前提。ETC搭載車は事前にETCカードがきちんと使える状態かを確認し、ETCを搭載していない車は案内表示を見逃さないようにすることが重要です。

ちなみに「Uターンやバック」は、危険のため「絶対にしてはいけない」とのこと。間違って「ETC専用料金所」に入ってしまった場合は、落ち着いて適切な行動を取れるように心掛けましょう。

(まいどなニュース特約・吉田 祐貴)

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