北海道で「車内飼育」されていた元保護犬 新しい飼い主さん宅では、ご主人を「群れのリーダー」と認識
北海道で「車内飼育」されていたという元保護犬のコハクちゃん(メス)。その車では複数の兄妹犬が飼われていましたが、近所の方が通報し、動物管理センターに保護されました。
保護されたうち、他の兄妹犬が次々と里親さんが見つかる中、コハクちゃんは繊細な性格で人に吠えたりするため、なかなか飼い主が決まりませんでした。
そんな中で現在の飼い主・しなもさんが名乗りをあげ、この家庭で新しい生活をおくることになりました。
■長い期間を「車内」で過ごし、散歩も食事も満足ではなかった
コハクちゃんがどうして「車内飼育」されていたのか、プライバシーの都合もあり、動物管理センターでは詳細を聞くことができませんでした。しかし、「車内」という狭い環境で過ごし散歩に連れていってもらうこともなく、十分な食事も与えられていなかったことだけをうかがい知ることができました。
長い期間、そんな過酷な日々を過ごしていたコハクちゃんはしなもさんのお家に来ても、当初はどうも不安気な様子でした。ご飯もほとんど食べてくれず、排泄もしてくれません。しなもさん夫婦は、とても心配だったと言います。
しかし、一見繊細で吠えたりすることもあったコハクちゃんですが、ひとたび心を許すと、本来の性格が露呈し始めます。
好奇心旺盛で、しなもさんのお家の庭や家の中をクンクン嗅ぎ回り、そしておもちゃで遊ぶことも大好き。ときに勢いあまっておもちゃを破壊してしまうほどの元気なワンコでした。コハクちゃんが心を開いてくて、元気に過ごしてくれる様子を見て、しなもさん夫婦はとても嬉しかったと言います。
■コハクちゃんは「群れ」「縄張り」意識が強い一面も
ところで、コハクちゃんを飼い始めて、もう一つわかったことがありました。それはコハクちゃんは「群れ」「縄張り」意識が強いということ。その「群れのリーダー」「縄張りのリーダー」が誰なのかにすごいこだわりがあり、しなもさんの家庭では「しなもさんの旦那さんがリーダーである」と強く認識しているようでした。
ある日のこと。しなもさん夫婦とコハクちゃんが車で出かけた際、ほんの数分、旦那さんが車を停め、自販機に飲み物を買いに行ったところ、とんでもない勢いでコハクちゃんが追いかけようとしたことがありました。どうも「群れのリーダー」である旦那さんが「どこかへ行ってしまうのではないか」と不安な様子で、車外に出ていった旦那さんの様子をジッと見つめていました。
しなもさんは「これもコハクの個性だ」と受け入れていると言いますが、かつての「車内飼育」で、このように元の飼い主を、車の中で待ち、そして離れていく様子を見つめていたのではないかと思うと、心を痛めることもありました。
■他のワンコと遊んだり、散歩中の探索も大好き
ところで、コハクちゃんには大好きなニコちゃんというワンコ仲間がいます。ニコちゃんは、しなもさんの旦那さんのお兄さんの家のワンコで、コハクちゃんはニコちゃんと会うといつもニコニコ。2頭一緒に元気で楽しく遊びます。
また、好奇心旺盛なコハクちゃんは、散歩の際などでもすぐに「気になるもの」を見つけ、探索しようとします。特に「匂いがするもの」が大好きで「好きな匂い(おそらく臭いもの)」を感じると、どこまでも入っていってしまうため、ときに顔中真っ黒になったり、草だらけになってしまうことも。でも、そんなワンコらしい様子もまた癒し、和ませてくれるとしなもさんは言います。
■雪の散歩も大好きなコハクちゃん「うちに来てくれてありがとう」
この時期、北海道は雪が積もることが多いですが、コハクちゃんは雪も大好きで、特に大雪の際はハイテンションで進んでいきます。しなもさんが息切れするほどでも、当のコハクちゃんは意に介さず、軽い足取りで進んでいきます。
そして、ときにはどういうわけか顔だけを雪に突っ込んで、また顔面雪だらけになってしまうことも。
しなもさんによれば、コハクちゃんは普段過ごしている室内での排泄を嫌がるため、天候に関わらず、できるだけ散歩に行かないと用を足してくれないとのこと。この雪の時期の散歩はかなり大変ですが、それでもコハクちゃんの嬉しそうな様子を見ると、しなもさんもがんばって外に出るようにしていると言います。
「車中飼育」という過酷な環境を経て、しなもさん夫婦の優しく温かい家庭で第2の犬生をおくることになったコハクちゃん。現在は推定5歳ほどとなりました。
コハクちゃんが楽しく過ごす様子を見ながら、「コハクから最高の癒しを与えてもらっています。うちに来てくれて本当にありがとう」と感謝するしなもさんでした。
(まいどなニュース特約・松田 義人)