「救われる」「神を宿してる」認知症の男性が爪楊枝でつくる仏像 本人「なんでこんなん作れるんやろ?」 娘そっくりの仏も
認知症の男性が作る仏像がSNS上で大きな注目を集めている。
「認知症の父に粘土を渡したところ、爪楊枝一本で作り始めた仏像。その後の新作です。
お姿の決まりごとは知らないのでシンプル。
『なんでこんなん作れるんやろ???』って言うてます。
こっちが聞きたいですよ、お父さん」
とその男性の制作風景を紹介したのは日本画家で尼僧の中田文花(なかた もんか)さん。
中田さんの父が仏像作りを始めたのは約1年前。中田さんが粘土を渡してみたところ、素人とは思えないほど味わい深い、おだやかな表情の仏像を作りはじめ周囲を驚かせた。
この仏像は中田さんの父の仏性を映し出したものなのか。そんなことさえ思わされる中田さんの投稿に対し、SNSユーザー達からは
「優しい心がそのまま形になって現れたんですね。娘さんに対する心ですね。素敵です。」
「認知を患った先に、お父様の様にご本人は無自覚でも、内側に神を宿して居られる方もいると思うと、大変救われるような気持ちになります
「私も仏像や面を作っていますが作るものには自分が表れます。お父上様の心の現れが仏像になったとお見受けします。」
など数々の感動の声が寄せられている。
中田さんにお話を聞いた。
ーーお父さまはこれまでこういった工作をされることがあったのでしょうか?
中田:父は中学、高校は美術部で油絵の才能を発揮しており、元々デッサン力があります。しかし大学で体操選手として活躍、すっかり創作活動をやめてしまったのです。
ーーお父さまに粘土細工をすすめられたきっかけをお聞かせください。
中田:私の粘土細工を手直ししてくれたことがあるのですが、ものすごく上手だったので粘土の才能は知ってました。認知症になり、色々な役職から引退し、時間ができたので粘土を渡してみました。
ーーお父さまの作品作りをご覧になったご感想をあらためてお聞かせください。
中田:想像以上の出来映えに驚きました。四角い粘土をそのまま渡すのではなく玉子くらいに丸めてイメージしやすいようにして渡しました。
ーー投稿の反響へのご感想をお聞かせください。
中田:画面を見せますと父はとても喜んで泣きました。すぐに忘れますが(笑)。ありがとうございます、ご覧くださった皆さんにお礼を申し上げます。
中田さんは次の個展で「お父さんの仏像コーナー」を設け、多くの人に作品を見てもらえるよう計画しているという。詳細は今後、SNS等で告知されるので、ご興味ある方はぜひチェックして足を運んでいただきたい。
▽中田文花(なかた もんか)さん
大阪府出身。日本画家、漫画家、造形作家、舞楽舞人(女人舞楽原笙会)、尼僧(華厳宗)、歌人(ヤママユ)。画家としてはお水取り、花会式、聖霊会、おん祭などを主な題材としている。
(まいどなニュース特約・中将 タカノリ)