保健所に連れていかれる1週間前 ジモティーで見つけた子猫に心を奪われた 「たくさんの幸せが実って」と付けた名前は

■猫を飼うのを諦めかけていた時に

富々実(ととみ)ちゃん(生後8カ月・メス)は、うだるような夏の日に民家の軒先に突然現れた。生後3カ月くらいだった。母猫や兄妹は見当たらず、車道に飛び出す危険もあったため、住人が保護した。人見知りもせず、先住猫ともすぐに打ち解けたが、先住猫が猫エイズ陽性だったので、ケージの中で過ごしていたという。

大分県に住むAさん夫妻は、結婚してからずっと猫を飼いたいと思っていた。飼えない間は猫カフェに行って猫と触れ合った。2年半が経ち、ようやくペット可の物件に引っ越し、猫を迎える準備を整えた。

「富々実がジモティの譲渡コーナーに掲載されているのを見ました。当時、他に引き取る予定にしていた猫がいたのですが、迎える直前に病気になって、譲渡が難しくなったので諦めました。そうしたことが2回立て続けにあって猫を飼うのを諦めかけていたのですが、そんな時に富々実を見たのです」

富々実ちゃんはあと1週間で保健所に連れていかれるところだった。また、富々実ちゃんはAさんが飼っていたミャオくんという猫にも似ていた。夫妻は助けたいと思って引き取ることにしたという。

■たくさんの幸せが実ってほしい

9月下旬に初めて会った時から人見知りもあまりせず、か細い声でニャーニャー鳴いていた。甘え上手でとても愛らしい子だった。

「この子にたくさんの幸せが実ってほしいという願いから、夫婦で『富々実』と名付けました」

家に来ると、全く違う環境で生活するスペースも突然広くなったので、富々実ちゃんは緊張していた。「うわぁ~うわぁ~」と鳴いたり、粗相もしたりした。環境に慣れるまで少し時間がかかったが、夫妻にはスリスリしたり、遊んでアピールを盛んにしたそうだ。

「元野良猫だから、すごく外の世界に興味があり、私たちによじ登って外を眺めていました。私たちは、富々実が安心して外を見られるよう、また早く慣れてもらえるよう、昔夫が使っていたストールをズボンを使って富々実が入れる肩掛けバッグを作りました」

■楽しく暮らすコツはウィンウィン

夜鳴きや夜の運動会に最初は困らされたが、とにかく日中遊ばせるようにして、夫妻が眠る前にも15分くらい全力で一緒に遊ばせた。すると、夜鳴きも運動会もしなくなったという。

富々実ちゃんはおしゃべりと遊ぶことが好き!甘える時は思いっきりスリスリして、「抱っこしてよ!」とせがんでくる。頭突きも止まらない。

「でも、私たちの体調が悪い時はずっとそばに寄り添ってくれます。大人しくて、とても優しい子です」

Aさんは、夫妻の匂いが付いたものでおもちゃを作ってあげたいと思い、夫の要らなくなった洋服を活用して作ってあげる。蛇のように見えるのか、富々実ちゃんはいつも大興奮して追いかけっこしているという。

今は身体が大きくなったので子猫の時に作った肩掛けバッグは使っていないが、1日1回は抱っこしてベランダで日光浴をさせたり、雨や雪、鳥が飛ぶ姿などを見せたりしている。

「外はおひさまの匂いがするでしょう。私はご褒美に猫吸いさせてもらっています(笑)お互いウィンウィンじゃないと続かないですからね」

(まいどなニュース特約・渡辺 陽)

関連ニュース

ライフ最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング

    話題の写真ランキング

    リアルタイムランキング

    注目トピックス