国内各地の有料道路…実はそれぞれ「料金を徴収できる期限」が決まっていた!? 2月から無料「千葉外房有料道路」管理してきた道路公社に聞いた

全国旅行支援などの影響もあり、車で遠くへ足を伸ばす人も増えてきた昨今ですが、高速道路や有料道路の利用料金も馬鹿になりませんよね。ちなみに、それぞれの有料道路では、「料金を徴収する期間」が最初から決まっているのをご存じでしょうか? たとえばつい最近も、千葉県の千葉市から茂原市の間14.3キロを結ぶ「千葉外房有料道路」の料金徴収が終わり、2月1日から全線無料になったことが話題になりました。知られざる料金徴収期間の決め方などを、同有料道路を管理してきた千葉県道路公社に聞きました。

千葉外房有料道路は、千葉市から茂原市の間14.3キロを結ぶ、片側二車線(一部除く)の道路です。1980年に供用開始し、以降延長、車線の拡幅などがされてきました。2017年度には1日あたり6000台以上の車両が通行しています。すでに鎌取ICから誉田IC(7.1キロメートル)の区間については無料化されていましたが、残りの誉田ICから桂ICまでの区間(7.2キロメートル)について、料金徴収期間が2023年1月31日で終了し、全線が無料開放されました。

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「高速道路を含む各有料道路は、さまざまな機関から資金を調達して作られます。これまで利用者さまから頂戴してきた料金は、建設費用の償還と、劣化した道路の補修に使われてきました」と話すのは道路公社の担当者。

有料道路は「当たり前にお金がかかるもの」と思われがちです。しかし道路は原則的に「無料公開」が基本で、有料道路や高速道路は法令で特別に定められた“例外”に過ぎません。そのため高速道路・有料道路は、「建築・修繕するために必要な料金を利用者にも負担してもらおう」という「償還主義」の元で建設・維持管理されています。

利用者から料金を徴収できる期限については、管理者が好きに決めているわけではなく、「道路整備特別措置法」によって明確に決まっているといいます。同法は高速道路や有料道路の新設・改築・補修などに関する取り決めをまとめたもの。道路建設にかかる資金の貸し付け方法や、徴収料金の金額についての法律です。料金徴収の方法や期間に関しても規定が定められており、担当者の方によれば「主要道路へ接続されたネットワーク型の道路は60年、それ以外の有料道路は30年まで。それまでに建設資金を回収して、返済を終わらなければならない」そうです。

千葉外房有料道路でいえば、以前から無料となっていた鎌取ICから誉田ICの区間は、供用開始から27年後の2007年に開放されたといいます。今回誉田IC~桂ICが無料化されたということは、延長・増改築分の償還が完了したということになります。ちなみに同道路の建築費用は、最初に建築された千葉市鎌取町から誉田町までが111億6千万円、延長された茂原までの区間が75億2千万円、車線増築に45億円、総額231億8千万円になります。

ちなみに道路建設にお金を貸してくれる相手としては、国・自治体・市中銀行などがあるそうです。「国には合計20年で返済が完了すること」「自治体への返済は無料開放後に一括で」など、それぞれ返済の方法や期間も異なっていたといいます。

■無料開放されたあと、道路が傷んだらどうなるの?

有料道路について、開通する前から無料開放のタイミングが決まっているとは意外な話。調べてみると、有料道路の無料開放時期は公開されているところもあります。たとえば静岡の伊豆中央道などは、2023年11月に無料開放の予定です。大きい道路であっても、意外と直近で無料開放が待っているケースがあるようです。

ちなみに、有料道路が無料開放されたあと、道路が傷んだ場合はどうなるのでしょうか。利用者からお金を回収できなくなることが心配になりますが…。

「きちんと無料開放後も、道路補修は行われますよ。料金徴収期間を過ぎた後は、道路を持っている都道府県や政令指定都市が受け持つ仕組みになっています」(担当者)

千葉県道路公社をはじめとする道路公社は、有料道路の新設・維持にかかわりますが、あくまで料金徴収期間を過ぎるまで管理するのが仕事。無料開放された道路については、「本来管理者」と呼ばれる、都道府県や政令指定都市が補修に関する予算を作って対応するのだそうです。

千葉外房有料道路では、道路が政令指定都市である千葉市と、そのほかの市をまたがって走っているため、千葉市を走る区間の管理は千葉市が、他区間は県が管理することになっています。

■高速道路の徴収期限は50年延期…こういうことはよくあることなの?

もちろん、まだまだ料金徴収期間が終わらない道路もあります。つい先日ニュースになったように、高速道路は料金の徴収期限を最長50年延長して、2115年まで有料にする予定なのだとか。高速道路も他の有料道路と同じく「料金徴収期間は原則60年で満了」と定められていますが、決められていた料金徴収期間では道路の老朽化に対する補修が間に合わないなどとして、国土交通省が徴収期間の延長法案を提出する方針と報じられました。

千葉道路公社の担当者に「こうしたニュースのように、無料開放の延期はよくあることなのか」と質問すると「ほぼないですね。事業変更をおこなった際に償還期間の延長が起きることがあるものの、極まれなケースでしょう。千葉外房有料道路も、問題なく償還が完了しています」と即答でしたが、絶対にないわけではないという話もしてくれました。

「千葉道路公社でいえば、過去1度だけ無料開放が伸びたことはありました。房総スカイライン有料道路という道路が本来2008年に無料開放の予定でしたが、そのタイミングでは約30億円という額が未償還の状態。そこで鴨川有料道路とのプール制を採用し、無料開放時期が延期になりました」

プール制というのは、両道路の収支をまとめるという措置です。房総スカイラインと鴨川有料道路の無料開放時期を合わせ、それぞれの徴収金額をお互いの償還に充てることで問題を解決したといいます。

「結果的に2008年の無料開放が2019年になり、延長期間は実に8年。この時は地域住民の方からご理解を得るのが大変でした…。当然、気軽にポンポン延長できるわけではありません」

同じように、現在決められている各有料道路の料金徴収期間満了日もあくまで予定。事情によっては直前で延長になる場合もあります。しかし物価高が苦しい昨今。少しでもお得に出かけられるように、あらかじめ使用道路の下調べをしてみてはいかがでしょうか。

(まいどなニュース特約・吉田 祐貴)

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