味にも地域差があるんやで 関西人のハートをつかむ「関西限定」ほうじ茶ペットボトル
「地域限定」の食べ物やお菓子をよく見かけますが、ほうじ茶のペットボトルでも「関西限定」バージョンがあるのをご存知でしょうか。普通のほうじ茶と「関西限定」のほうじ茶とは、どこが違うのか気になりませんか。ライターの宮本昭仁さんが解説します。
■ほうじ茶と番茶の違いって?
まず先に「番茶」とは何か。皆さんは「一番茶」という言葉を聞いたことがありますか?
これは、その年の最初の新芽を摘んで作ったお茶のことです。よく「新茶」と言われるのは、この「一番茶」のことです。そして、二番目、三番目に摘まれる成長して固くなった茶葉などで作られたのが「番茶」です。一般的に「一番茶」は旨味成分が多く、「番茶」には苦み成分が多く含まれています。
そして主にこの番茶を褐色になるまで強火で焙煎し、香ばしさを引き出したお茶のことを「ほうじ茶」というのです。生まれた経緯は諸説ありますが、一般的には昭和初期に京都の茶商がその製法を確立させたといわれています。現代では番茶もほうじ茶も同じ意味で使われている地域もあり、皆さんも特にその違いを意識することなく飲んでいるのではないでしょうか。
■地域によって味が違う!?
ほうじ茶は、食後、口の中に残る脂っぽさをさっぱり洗い流してくれることから日常的に飲まれているお茶ではありますが、地域によってさまざまな違いがあります。代表的なものとしては、ほうじ番茶の「京番茶(京都)」、茶葉の茎の部分を使った「雁ヶ音ほうじ茶(京都)」や「加賀棒茶(石川)」などがあります。実はペットボトルのほうじ茶にも地域へのこだわり、味へのこだわりを持って作られているものがあります。
関西エリア限定で販売されている「伊右衛門関西ほうじ」もそのひとつ。京都の老舗茶鋪の福寿園とサントリーがタッグを組んで生まれた商品で、原料の一部に京番茶が使われています。
■ロングセラーから着想 こだわりのパッケージ
この「伊右衛門関西ほうじ」は、関西の方のために作られた「ウチのお茶」と感じてもらえるように味わい、パッケージに工夫がされています。
味わいについては、東と西とでは出汁の味に違いがあるように、お茶の好みにも地域差があります。福寿園の茶匠と何度も試作を重ね、“関西人が一番好むすっきりと香ばしい味”にたどり着いたようです。
パッケージについても関西人の好みをしっかり取り入れたようです。デザイン担当者は「関西で愛され続けているロングセラー商品を実際に購入し、インスピレーションを膨らませたとのこと。
■関西人の好みに寄り添うだけじゃない
「伊右衛門関西ほうじ」が、京番茶を使っていることは、単に関西人の味を求めたからだけではありません。もう一つの目的は、「地産地消」。つまり地域の生産物を使って、その地域の人々の好みに寄り添った商品を作り上げることです。
特にお茶という日常的に飲むものだけに、この 「伊右衛門関西ほうじ」においても、地域の伝統的な生産物、今回なら「京番茶」に対する理解を深め、その文化を守ることにもつながっていくことを大切に考えているということです。この商品を通じ、「関西の食文化」「関西らしさ」について今一度考えてみることもよいのではないでしょうか。
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▽取材・文/宮本昭仁(ライター・プランナー)
関西ウォーカーのグルメライターとして約1000店舗を取材。また数十~数百の飲食店が参加する食べ歩きイベント「バルイベント」を北浜、肥後橋、茶屋町、天満橋などで開催。現在では店舗プロデュースも行っている。過去「おはよう朝日です」「朝生ワイド す・またん!Zip!」などのテレビ番組にグルメコメンテーターとして出演。
(まいどなニュース/デイリースポーツ)