年老いた犬を懸命に介護する猫 種の違いを超えて紡がれた温かい絆が感動呼ぶ「ずっと育ててくれた恩返しかな」
柴犬のエンくんが、いつも散歩に行く公園で、小さな子猫がいるを見つけたのは今から9年前のことでした。猫風邪で顔がぐしゃぐしゃになっていたその子は「ちまき」くんと名付けられ、エンとスイスと4猫ちゃん(@shibainu.en)さんの家で一緒に暮らすように。エンくんはお兄ちゃん代わり、そしてお母さん代わりになって、ちまきくんを一人前の立派なオス猫に育て上げたのです。
しかし、歳を重ねたエンくんは2021年3月に老衰で旅立ちました。晩年、体が不自由になったエンくんを懸命に介護していたというちまきくん。エンくんがいなくなってからはごはんを食べられなくなってしまい、げっそり痩せてしまったそうです。そんな2匹の不思議な絆を記録した動画が、SNSで感動を呼びました。
2匹は種の違いを超えてどう関係を築いていったのでしょうか。飼い主さんに聞きました。
「エンはちまきを発見した時から寄り添って、毛繕いをしたり遊んだり一緒に寝たり。ちまきもすぐにエンにベッタリ状態で、エンのオッパイを探して吸って、甘噛みすることもありました」
「ちまきが1歳になった頃はヤンチャすぎて、エンを追いかけ回したり噛み付いたりして困った時期もありましたが、エンは一度も怒りませんでした」
動画では、日増しに弱っていくエンくんを甲斐甲斐しく世話するちまきくんの姿も紹介されていました。
「ちまきはきっとエンの事をママであり兄でもあると思っていたので、自分を育ててくれた恩を忘れていないんだなぁ…と。エンがシニアになった頃から、ちまきはぐっと大人になり、これまでみたいにヤンチャはしなくなりました」
エンくんが亡くなってからもうすぐ2年。ごはんを食べられなくなり、エンくんの服の上や暗いところで過ごすように。そんな深い悲しみの時期を乗り越えたちまきくんは今、エンくんの不在をどのように受け入れているのでしょうか。
「エンが亡くなってから、ちまきは私と一緒にエンに南無南無しますし、毎朝エンの祭壇の前に座っています。エンの不在をちまきがどう理解して祭壇の前に来ているのか、それは私にもわかりません。時々エンの写真をじっと見つめているので、ちまきにはエンの姿が見えるのかもしれませんね」
飼い主さんによると、実はエンくん自身、2010年に車に撥ねられたと見られる大怪我を負い、スーパーの駐車場で瀕死の状態になっていたところを保護されたのだそうです。あらためて、そんな2匹の関係性について振り返っていただきました。
「エンは恐らく虐待を受けて(そのような形跡がありました)捨てられ、長い間彷徨っていた子です。保護されて初めて愛に触れたのだと思います。ちまきを見つけて親のように育てて、それをちまきが受け継いでエンに恩返し…。何の期待も見返りもない、本当に尊い絆の繋がりだと感じました」
現在、飼い主さんの家にはちまきくんに加え、みんくちゃん(5歳・メス)、ひまりちゃん(1歳・メス)、咲楽くん(1歳・オス)という全部で4匹の猫たちがいるそうです。エンくんがいなくなったことはもちろん寂しいですが、きっと明るく賑やかな毎日なんでしょうね。
(まいどなニュース・黒川 裕生)