「殺処分」の危機にあった公園の猫26匹を保護した施設に「退去通告」→移転先物件の購入費支援を募る
「処分」の危機にあった公園の猫たちのために居場所を作ろうと、京都市内で猫のTNR(Trap/捕獲し、Neuter/不妊去勢手術を行い、Return/元の場所に戻すこと)活動などに取り組むボランティアたちが2年ほど前に開設した保護施設「保護猫ハウスもなねこ」(旧・保護猫ハウスまなねこ)。現在35匹ほどの猫たちがいます。
施設として借りている古民家を5月末までに退去しなければならなくなり、新たな場所へ移転することが決まりました。引っ越す予定の“新居”は賃貸ではなく中古物件を購入することとなり、支援金を募ろうとクラウドファンディングにチャレンジ中です。
保護猫ハウスもなねこ副代表の岡田さんは「今貸していただいている古民家は土地の持ち主さんと家の持ち主さんが違うために長くはいられない場所でした。猫たちの命には代えられないためその旨を承知の上で家を借りて活動させてもらっていましたが、とうとう5月末にハウスを出ないといけないことが決定。
これまでも物件を探していたものの、たくさんの子たちを抱えての賃貸物件は難しく、猫たちのために家を買うしかないと思い、クラファンで支援金をお願いしています。支援していただいた分を頭金に自分たちで銀行からローンを借りて購入する予定です」と話します。
■2年ほど前、公園の近隣住民とトラブルで保護猫施設を開設
保護猫ハウスが開設されたのは、2021年2月。近くの公園で猫のTNRをして餌やりなどお世話をしていたボランティアたちと近隣住民との間で起こったトラブルがきっかけでした。ボランティア側が「地域猫」として公園の猫たちを見守っていきたいことを住民側に申し入れたものの、受け入れられず。当時26匹いた猫たちを「業者に頼んで処分してもらう」と住民から通告を受けました。そこで、ボランティアたちは急きょ京都市内の空き家6DKの古民家を借りて保護施設を立ち上げたといいます。
「猫たちに対して『処分』という言葉はとても残酷で受け入れられないものでした。しかしながら、ここまで近隣住民の方々を困らせるほどに増えてしまった原因は、避妊・去勢をせずに無責任に餌やりを続けてきた人間の責任だと思っています。私たちは増えてしまった罪なき猫たちを保護し、今は人馴れさせてから里親さんのもとへ行けるように、スタッフが毎日交代で愛情たっぷりお世話しています」(岡田さん)
16人いるスタッフたちは、それぞれの食事量・体調・トイレの様子などを毎日申し送りして全員がその日の猫たちの体調が分かるようにしているとのこと。特に持病がある、あるいは体調が不安定な猫たちは個別にご飯を工夫したり治療食を食べさせたり、また投薬もしながら健康管理を徹底しているそうです。
「食事管理以外のお世話も衛生面の管理を常に心がけていて、毎日のお世話は掃除や消毒、洗濯など猫たちが快適に暮らせる環境を整えています。もちろん猫たちと遊ぶことも欠かせないコミュニケーションで時間が許す限り一緒に遊ぶようにしています。たとえ体調が不安定でハウスで生涯を過ごすことになっても『もなねこで暮らせて幸せだった』と思ってくれるような心のこもったお世話をこれからもしていきたいです」(岡田さん)
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■保護猫32匹が“卒業”し里親さんのもとへ 新たな移転先のため、現在クラファンに挑戦中
「保護猫ハウスもなねこ」から”卒業”して、里親さんもとで幸せに暮らしている猫たちは32匹。里親を希望される方には、ボランティアとして実際に施設に入り猫のお世話をしてみることを、これまで勧めてきました。さらにトライアル前の面談や自宅を訪問し、脱走防止対策など猫たちを預ける前に迎えられる準備ができているかを必ず確認しているといいます。譲渡後も里親さんと連絡を取り合いながら、猫たちの成長を見守っているそうです。
今回購入費の支援を募る新居は、京都市内の一軒家(5LDK)。購入額は2000万円を予定しており、クラウドファンディング「助けて下さい! 京都で『殺処分』と言われた猫たちに新しい家を!」(CAMPFIRE)の目標額は1000万円とのこと。そのうち800万円を頭金にして1200万円のローンを組むといいます。岡田さんは「ハウスを出ないといけないことは決定事項なので、たとえ目標金額を達成しなくともその不足分をローンに追加して物件を購入します。少しでも助けていただけると幸いです」と話してくれました。
(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)