家の庭に居座った猫は白血病 先住猫と隔離生活をするも奇跡が!今では太鼓腹でくつろぐ大物に
■人懐っこい猫、庭に居座る
Amalちゃん(5歳・メス)は、2020年9月頃ドバイに住むbukoさん宅の庭先に現れた。三毛猫だった。姉妹だと思われる猫を時折連れてきたが、Amalちゃんは圧倒的に人懐っこく、ほぼ毎日姿を見せた。ただ、bukoさんは同年5月に渦ちゃんという猫を保護して迎えたばかり。先住猫のJamillaちゃんもいたので、次は絶対に保護しないと決めていた。
「Amalには家から遠く離れた場所で餌を与えていました。なぜか我が家に毎日来るなと思っていたら、誰かが我が家の庭先に餌皿を置いていました。Amalは完全に居座ってしまいました」
■問題猫になる
Amalちゃんは飼い猫だったのか人を全く恐れず、他の家の中にも入っているようだった。ただ、猫嫌いな人もいるため、だんだん近所のグループチャット内で問題視されるようになった。
当時、bukoさんが住んでいた地域には野良猫が多かったが、Amalちゃんはたびたび家の敷地内に入ってくるので、猫嫌いな人が政府機関に連絡をしたり、猫の処分を検討したりする発言をするようになった。時には、野良猫に餌を与えている人が警告されることもあり、bukoさんは頭を悩ませた。
「Amalは昼夜を問わず我が家の敷地にいるようになりました。11月中旬からは夜な夜な猫同士で喧嘩するようになり、Amalが攻撃されているのも見ました。怪我をしていたので動物病院に連れて行き、一緒に血液検査もしてもらうと、白血病キャリアだったのです」
帰宅してネットで調べてみると、白血病の猫は発症しなくてもキャリアであり続けるため、多頭飼いする時は、必ず隔離飼育するように書いてあった。
「猫をずっと隔離して飼育するのはどうなのか悩みました。問題先送りムードが我が家に蔓延。とりあえず怪我の薬を投与し、薬がなくなるまで我が家に置くことにしました。情がわくといけないので、『ミケ』と呼ぶことにしました」
そんなことにはお構いなく、Amalちゃんは人にベタベタ甘えた。しかし、隔離するとずっとそばにいてあげることができず、bukoさんは胸を痛めた。気がつけば薬は無くなって、1ヶ月も経過していた。しかし、誰も彼女の処遇について話し合いをしようとしない。一度家に入れたら、情がわいて離れられなくなってしまっていた。
「誰も口にはしなかったけど、その時みんなの心は決まっていたと思います。アラビア語で『希望』という意味のAmalという名前をつけました」
■奇跡が起こる
白血病完治は無理だと分かっていたが、ある獣医師のサイトに「陰転」する場合があると書いてあった。bukoさんはその獣医のところにAmalちゃんを連れて行った。
「『陽性判定が出るかもしれないけど、覚悟しようね』と家族で話し合いました。再検査と保護猫登録を依頼したところ、まさかの陰性!獣医さんも『不安なので、1ヶ月後、別のメーカーのキットでもう一度検査しましょう』とおっしゃいました。でも、その結果も陰性でした」
こうして、Amalちゃんは先住猫のJamillaちゃん、渦ちゃんと対面した。しかし、渦ちゃんとAmalちゃんの相性は最悪。なんとなく1階がAmalちゃん、2階が他の2匹のテリトリーになり、bukoさんは2階にも餌場とトイレを配置した。
「徐々にお互いに慣れてきて、先住猫たちが1階に降りてきて、同じ空間にいることも増えました」
Amalちゃんは食いしん坊で、ありとあらゆる引き出しを器用に開けて食べ物を漁る。おもちゃにも慣れていて、元飼い猫だったことを忍ばせる。
「太鼓腹でだらしない格好で座ったり、お昼寝することもありますが、そのだらしさなが愛おしく、自然と微笑んでしまいます」
Amalちゃんが連れてきた姉妹猫もいつの間にか隣家の猫になり、幸せに暮らしているという。
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)