最新の超小型BEVはマッドマックス? 中古車をリ・デザイン→脱・高齢者の乗り物へ
トヨタ車体がCOMS(コムス)10周年&1万台の販売を記念して、東京オートサロン2023の会場で初お披露目したコンセプトモデルが「FUN・COMエクスプローラー」です。超小型BEVというと、環境に優しく、免許返納した高齢ドライバーが乗る安心・安全なイメージが根強くあります。しかし、これからの時代は、乗る人の「FUN」に訴求し、中古車をベースに時代にあうように、リ・デザインするという新たな可能性を持つ車として、FUN・COMエクスプローラーが期待されています。
ベースになったのは、2018年式COMS「 B・COMデリバリー(ZAD-TAK30-D5)」の中古車。COMSにはショッピングや通勤・通学、趣味にあう「P・COM」と、営業活動や宅配サービス、買い物代行サービスなどで活躍している「B・COM」の2種類があります。
ブースの担当者によると、COMSを購入する個人ユーザーの比率がだんだん増えてきて、新型モデルでは3割ほどとのこと。それならば、見た目をもっとかっこよくすればさらに増えるのではないかという思いも、今回のコンセプトモデルを作ったきっかけの一つだそうです。
なぜ、中古車をベース車両にしたのかというと、COMSは原動機付き自転車に分類されるため、自動車リサイクル法の対象外になっています。そのため、広域認定制度に基づき、環境大臣の認定を得て、独自に適切なリサイクルする必要があり、トヨタ車体では「コムスリサイクルシステム」により、不要になったCOMSを無料(運搬料は一律3000円/台・税込)で引き取っているのです。
ベースモデルがわからないほどにカスタマイズされていますが、変更しているのは、外装パーツやライト類、ホイールなどで、バッテリー、モーター、車体はベース車両からの変更はありません。ただ、ルーフをカットしているためボディ補強の必要があり、サイドパネルにパイプを配してロールバーを装着しています。
また、サイドシルには「KOTOBUKI WORKS」のロゴがありますが、これは、愛知県豊田市寿町にある、トヨタ車体の寿新規開発センターに由来している、架空の会社名とのこと。ホイールは軽自動車のカスタマイズでも使用されている12インチのMLJ、タイヤは1975年発売以来のロングセラーモデルである、ミシュランXZXを装着していました。
COMSは、道路運送車両法では第一原動機付き自転車ですが、道路交通法ではミニカー扱いのため、公道で運転するには普通自動車免許(AT限定可)が必要です。充電は家庭用電源を使用し、満充電までの時間は約6時間で約57km走行可能。
トヨタ車体の広報担当者によると、商品化に向けて開発を継続していると話してくれました。また、東京オートサロン2023の来場者からは次のようなコメントがあったそうです。
「早く販売してほしい。必ず買います」
「かっこいい。デザインでこんなに変わるのにはびっくりした」
「こんなのが欲しかった。ぜひ、発売してください」
「中古を買ってこれに変えたい」
「東京オートサロン出展しているクルマの中で一番欲しいと思った」
「現在コムスを所有しており、ぜひ改造したい」
「BEVは楽しいクルマが少ないが、これはいい!」
「湘南に住んでいるが、サーフィンに行くのにちょうどいい」
ちなみに、現在販売されているCOMS B・COMのメーカー希望小売価格(税込)は79万9700円~98万4500円ですので、もし、中古車をベースにした、FUN・COMエクスプローラーが販売されるとしたら安くなるでしょう。また、COMSユーザーに対しては、外装パーツのオプションの用意も検討しているとのこと。
こんなワイルドなミニカーなら高齢者だけじゃなく、若者にも人気が出そうです。
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【FUN・COMエクスプローラー 主要諸元】
定格出力:0.59KW
最高出力:5KW
トルク:40N・m
航続距離(JC08モード):約57km
充電時間(家庭用100V):約6時間
乗車定員:1名
ホイール:MLJ XTREM-J KK03 12×4.00B
タイヤ:MICHELIN XZX 145/70R12
(まいどなニュース特約・鈴木 博之)