亡き妻が最後に買ったのは、娘のための「ひな人形」 死の3日前に届いて、お祝いできた…それから5年「成長した娘と一緒に飾りましたよ」
亡き母親が買ったひな人形を、今年も娘さんと夫が飾りました。お金がなく、なかなか買ってあげられなかったひな人形。残された時間を悟り、当時2歳の娘のために購入した立派な男雛(おびな)と女雛(めびな)は、天国へ旅立つ3日前に届きました。
妻の死から5年、夫の気ままお父さん(@shigepon88)は「今日、娘と一緒にあなたの話をしながらおひな様を飾りましたよ」と報告しました。「娘が生きている限り、妻の想いはひな人形の中にもずっと生き続けていきます」とつづった旦那さんに話を聞きました。
■寿命悟り、後悔したくなかった
旦那さんによると、奥さんは2018年2月14日、メラノーマ(皮膚がん)で亡くなりました。当時46才を迎えたばかりで、娘さんは2歳でした。
ーー奥さんはなぜ死の間際、ひな人形を買おうと思ったのでしょうか。
「自分の寿命が長くないのを悟り、後悔をしたくなかったのだと思います。ひな祭りも近づいてきて、『ひな人形を飾ってやりたい』と妻が選んで買いました。
大きな雛壇だと、出すのも片付けるのも大変なので、『あなたがなるべく大変にならないように』と言いながら選んでくれました」
5年がたち、娘さんは小学校に進み、7歳になりました。
ーー毎年、娘さんとひな人形を飾る時、奥さんの話をされるのでしょうか。
「何をする時もそうですが、ひな人形を飾る時も妻の話をしますね。
『お母さんの最後に買ったのがこのおひな様だよ』
『あなたに買ってやりたいとお母さんが何時間もかけて選んだんだよ』
『最初はお母さんと飾って、あーでもないこーでもないと、慣れなくてすごく時間がかかったんだよ』
なんて話をしながら飾っています」
■ずっと笑っていてほしい
「妻は、娘と私の未来を心配してました。さぞ心残りだったと思います。
娘の成長をずっと見守りたかったのだと思います。生きていたら、毎年、娘と一緒に飾っていたのは妻だったと思います。
妻に『どんな娘に成長してほしい?』と私が聞いたら、しばらく考えて『やっぱり、ずっと笑ってて欲しいな』と思いを遺し、私に娘を託して天国へいきました。その妻の想いを大切に子育てをしています」
ーー娘さんにとって、お母さんはどんな存在でしょうか。
「娘は、お母さんのことを良く覚えておらず、写真や動画の中の存在です。
なので、お母さんのことを聞くと『会いたいなぁ』って言い、『お母さんは1人で寂しくないかなぁ』って心配もします。
亡くなってからもずっと、私と2人で「大好きだよ」「愛してるよ」って遺影に向かって伝えています。娘にとって、これからもいつまでも大好きなお母さんのままだと思います」
◇ ◇
妻を皮膚がんで失った旦那さんは「今、隣にいる大事な人がいつまでも一緒にいられるとは限らないと、私たちは知りました」「読んでくださる皆様が、今一緒にいる人を大事にするきっかけになればと思ってこれからもツイートしていきたいと思います」と話していました。
(まいどなニュース・伊藤 大介)