【無人駅のミステリ】トイレットペーパーを大量に置いて行かないで! トイレの貼り紙にまさかの注意喚起 役場に事情を聞いた

とある駅のトイレで発見された貼り紙。そこに書かれていた奇妙な内容がまるで一編のミステリのようだと話題になっている。

「東美浜駅トイレをご利用の方へ

先日、トイレ内にトイレットペーパーが大量に置かれている旨の報告がありました。トイレットペーパーの補充は美浜町役場が定期的に行っておりますので、トイレ内にトイレットペーパー等を置かないようお願いいたします。

美浜町役場 企画政策課」

趣味で全国の駅を巡っているという逆瀬川さかせさん(@sakasegawa_s)が3月3日に同駅を訪れた際にこの謎めいた貼り紙に気づき、「トイレットペーパー持ってくなって貼り紙はよく見るけどその逆は初めて見た」とTwitterに投稿。「いい人がいるんだな」「コロナ禍で猛烈に買いだめした人の放出だろうか」などの反響が寄せられる中、「一見ありがたいほのぼのニュースにも思えますが、管理者からすると隠しカメラが仕込まれてないか、薬品が染み込まされてないか点検する手間がかかってしまいますね」という指摘も見られた。

逆瀬川さかせさんは「トイレットペーパーの持ち去りに対する警告はこれまで何度も目にしていたので、これは珍しいと思って撮影しました」と振り返る。

最初は「置いた人は親切心なのだろうか」とも思ったが、一方で「利用者の中には誰が何の意図で置いたのか分からないものを使うのは気持ち悪いと感じる人もいるのでは」とも感じたという。Twitterでの反響について、「テロの可能性もあるとのリプライにはなるほどなと思いました。たとえ薬品やカメラがなくとも、衛生面で心配な面もありますし、役場が単なる寄付として片づけず、注意喚起をしたことは正しい対応だったと思います」と話していた。

美浜町役場に問い合わせると、なんと「企画政策課」はもう存在しないという。総務課の職員が「今は『まちづくり推進課』に名前が変わっています」と言って電話を回してくれた。

「課の名前が変更されたのは2019(令和元)年度なので、貼り紙は少なくとも4年以上前のものだと思われます」。応対してくれたまちづくり推進課の担当者はそう話す。つまり、コロナ禍で買いだめした人が放出したわけではないらしい。「ただ、申し訳ないのですが、当時を知る職員は異動でいなくなっており、詳しい時期や状況は全くわからないんです」

この担当者が可能な範囲で確認し、判明した事情はおおむね次の通り。

・何年か前、このトイレに大量のトイレットペーパーが置かれていた

・誰が置いたのかわからないものは使えないので、職員が撤去処分した

・後日、また大量のトイレットペーパーが置かれていた

・職員が再び撤去した上で、冒頭の貼り紙を掲示した

・何年か後の今月になってTwitterでにわかに注目を集めた

担当者によると、東美浜駅はホームしかない無人駅で、トイレ自体は町が所有。「よかれと思って住民のどなたかが匿名で寄贈してくださったのかもしれませんが、いたずらの可能性もあるので、町としては使うわけにはいかないんです」。発見者の投稿がTwitterで拡散されていることは把握しておらず、「そもそも今の職員も存在を知らなかったような古い貼り紙だし、お騒がせするのは本意ではない」として、残念ながら(?)すでに取り外したという。

(まいどなニュース・黒川 裕生)

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