まるでスヌーピー兄弟! 施設にやってきた10頭の保護犬親子 咀嚼したエサを子犬に分け与えるお母さん犬にスタッフ感銘
東京・足立で保護犬、保護猫の譲渡活動を行なっている「保護PETS ~NPO法人Small Life Protection~」(以下、PETS)。同団体には、常時さまざまな背景を持つ保護犬がいますが、2023年1月、なんとも稀な保護犬が入所しました。なんとお母さん犬のミルキーと、その子どもたち9頭のワンコでした。
■ミルキーママに自由にかけよる9頭の子犬たち
ミルキー一家のワンコたちは、宮崎愛護センターにいたところを、PETSに引き取られることになりました。これまでに数多くの保護犬、保護猫の譲渡を行なってきているPETSですが、親子10頭もの同じ血が流れるワンコたちを迎えることは稀だとスタッフは言います。
他方、極めて穏やかなミルキーママに、子犬たちがワチャワチャとかけよって甘えたり飛び乗ったりする様子は、さながら自由で個性的なスヌーピー兄弟のようで楽しげです。
■自分のご飯をソシャクして子犬たちに与えるミルキーママ
ミルキーママ一家が過ごしているケージをのぞくと、かわいく元気な子犬たちにまず目を奪われますが、スタッフは、これだけの子犬を産んだミルキーママの体の状態が気になっていました。
一度に9頭の赤ちゃんワンコを産んだということは、「初産ではないのではないか」と思ったからです。仮にそうだとすると、繰り返しの出産はワンコにとって大きな負担がかかり、病気になったり寿命を縮めたりする原因になることも考えられます。
そのため、スタッフは、ミルキーママにご飯をいっぱい食べてほしくて用意しますが、しかし当のミルキーママは自分が口にしたご飯を、あえて吐き出し、離乳食的な状態にして全て子犬たちに分け与えてしまいます。
親子ワンコも多く見てきたスタッフですが、「こんな風に子犬たちに接するワンコは初めて」と語ってくれました。
■スタッフもミルキーママの子育てのお手伝い
ミルキーママの子犬たちにかける愛情に感動する一方、スタッフを悩ませていたのが、ミルキーママ一家の排泄問題。施設の都合上、ミルキーママ一家は大きめに作ったケージの中で過ごしているのですが、夜中になると子犬たちが自由に排泄をしてしまいます。
そのため、スタッフは2頭ずつ自宅に連れて帰り「トイレトレーニング」をすることにしました。
トイレシートを覚え、トイレシートの上で用を足せるようになった子犬は卒業……ということで、またミルキーママの元へ返し、今度は別の子犬を連れて帰り「トイレトレーニング」をします。
これを繰り返し行うことで、譲渡の可能性も高めるわけですが、スタッフは「それもありますが、目下はミルキーママの子育てのお手伝いです」と明るく笑って返してくれました。
■ミルキーママと子犬たちは現在も成長中!
ところで、今回ご紹介したPETSは他の保護団体とはちょっと違うところがあります。PETSも他団体同様、ブログやSNSなどで現在「里親さん募集」のワンコを複数紹介しているわけですが、どのワンコにも等しく優しく接していることが伝わってくることに加え、ときにジョークも交えてクスッと笑わせてくれるような、明るく楽しい空気を感じられる点です。言い換えれば、保護犬たちがかつて抱えた暗い影を感じさせないものです。
しかし団体が意図的にそうしている様子はなく、きっとスタッフ自らが「ワンコやニャンコとの生活が楽しくて仕方ない」と思うからこそ、この楽しい様子がブログやSNSなどにも出ているように思います。
その意味では、今回やってきた、ワチャワチャ楽しいミルキーママ一家もまた、目には見えない不思議な縁に導かれ、明るく楽しいPETSにやってきたのかもしれません。
ミルキーママと子犬たちは、現在もスクスク成長中。9頭の兄弟それぞれが成長し、新しい里親さんが見つかり、そしてミルキーママにも素敵な縁があることに期待大です!
(まいどなニュース特約・松田 義人)