リュウグウノツカイの動画に国内外が興味津々 歴27年の剥製作家に聞いた「これだけ状態の良いのは貴重」

長細く平たい体、色鮮やかなヒレ、体長3mほどの大型深海魚であるリュウグウノツカイ。幻想的な姿と名前で広く認知されているものの、本物を間近で見る機会はそうない珍しい魚類です。

そんなリュウグウノツカイの身体の構造を紹介した動画がTwitterに投稿され、国内外で話題となっています。

投稿者で魚類剥製作家である小川貴光(@gyosaisensei)さんは、リュウグウノツカイの口元を映した動画を投稿。マグロなどよく見る魚のように単に上下に開くのではなく、あごを動かすと飛び出す絵本のように畳まれていたパーツが開く構造に。小川さんは「開けるとラッパのように広がる」と表現しています。

小川さんに剥製について、リュウグウノツカイについてお話を聞きました。

元々、物作りが好きだった小川さんは、釣りをきっかけに魚をモチーフにした作品を制作。そのなかで魚類剥製に出会い、本物のまま保存できるリアルさに魅了され、剥製の勉強を始めます。剥製のプロに貰った資料や独学で勉強し、工房を開いて27年に。現在は、釣り人の記念魚・記録魚、水族館博物館の希少魚・特殊魚を専門に剥製を制作しているといいます。

リュウグウノツカイの剥製についても、小川さんは過去に国内水族館や博物館で10体の制作実績があるそう。動画に投稿した口の構造について、小川さんは「リュウグウノツカイはオキアミを食べます。オキアミの群れを探し泳ぎ、口を開いて吸い込むよう捕食する」ということからそれに適した大きく開く口の構造になったのではと推測します。

では一体ここからどうやって剥製を?

「剥製制作方法は魚種により異なりますが、リュウグウノツカイは石膏で型を取り、芯材となる発泡ウレタンでボディを作ります。完全除肉して皮だけになった魚を芯材に貼り付けかぶせます。自然乾燥後ヒレの加工、義眼を取り付け、着色、クリア塗装して納品します」

また、これまでリュウグウノツカイは、腐敗が進んだものや傷のひどいものが多かったそうですが、今回の個体は非常にきれいだったといいます。「砂浜に打ち上げられたり、漁師の網にかかって死んでしまったりして、デリケートな口周りが崩れ壊れていました。今回これだけ新鮮で状態の良いリュウグウノツカイは貴重です」。

作品は完成後に「沼津港深海水族館」(静岡県沼津市)に公開展示される予定です。

(まいどなニュース・門倉 早希)

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