「この役は趣里さんで」原作の漫画家・浅野いにおが推薦 幼稚園以来の刈り上げで演じる謎多き風俗嬢 「自己表現であり武装」

まるで原作漫画の中から飛び出してきたかのような再現度。竹中直人監督作『零落』(3月17日公開)で趣里(32)は、実に「幼稚園以来」というショートヘアで謎多き風俗嬢・ちふゆの妖艶さと浮遊感を表した。

■思い切って飛び込んだチャンス

ミドルエイジ・クライシスに直面した漫画家・深澤薫(斎藤工)の葛藤を描く本作の原作は、青春漫画の金字塔『ソラニン』で知られる漫画家・浅野いにおによるコミック。浅野漫画のファンという趣里は、大好きだからこそ「相当なプレッシャーでした。『零落』は浅野さんの作品の中でもパーソナルな内容を扱っていて、ファンの方もとても大切にしている作品。ちふゆは一筋縄ではいかないキャラクターで、浅野さんの深い思い入れも感じます」と恐縮しきりだ。

背中を押したのは「ちふゆ役は趣里さんがいい」という浅野直々の推薦だった。「私を知ってくれているなんてと凄く嬉しかったです。浅野さんは私も出演する根本宗子ちゃんの舞台のチラシのイラストも描かれているので、近くに感じている分、憧れも強く抱いていました。そんな浅野さんが『趣里さんで』と言ってくれるこんなチャンスは二度とない。思い切って飛び込みました」と喜色満面。

■俳優としての遣り甲斐

苦悩する深澤に道を示すかのように現れるミステリアスな風俗嬢・ちふゆもしかり、『秋の理由』『生きてるだけで、愛。』『ホリック xxxHOLiC』『サワコ~それは、果てなき復讐』と自身のキャリアを振り返ると、個性的な役が多いことに気づく。

「本当にそう!私はエキセントリックな役が確かに多い!」と笑いつつも「演じながら大変だなと思うこともありますが、大なり小なり理解できるところもあったりするので、結果的に楽しんでいる自分がいます。闇を抱えている人だったり、複雑な背景を持つ人だったり、エンターテインメントとしていかに見てもらえるかを考えながら演じることが出来るので、俳優としての遣り甲斐を感じます」と鍛錬を積んでいる。

■首回り防寒具の重要性を知る

2年程前に長髪をバッサリと切ってショートヘアにした。そんなタイミングで舞い込んだちふゆ役。原作のビジュアルに近づけるために、より髪の毛を短くして、襟足を刈り上げた。「田舎から上京してきたちふゆは、自分は他の人とは違うんだという思いがあったはず。それを表したのが髪型だったと思います。ちふゆにとってショートヘアは自己表現であり、武装の一種。この役を引き受けたからには、ごく当たり前のように刈り上げました」と髪型から役柄のヒントを掴んでいった。

「ここまで短くしたのは幼稚園以来」というショートヘアで感じたのは防寒具のありがたみ。「首の後ろの方がスース-して風の流れも感じて、マフラーやストールの重要性を知りました。撮影中はとにかく首回りが寒くて、いかにこれまで長髪で首回りが守られていたのかと…」と切実に明かしながら「ちふゆはこんな大変な髪型を自ら選んだのかと思うと、彼女の強い意思を味わえたように思います。同じ髪型にしたことでちふゆに対する愛着と理解も一層深まりました」。趣里はこだわりの役作りに納得している。

(まいどなニュース特約・石井 隼人)

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