所有権放棄されたビションフリーゼの繁殖犬 瞳は悲しみをたたえていたね 「これからの犬生、幸せにする」飼い主さんは決意した

希少犬種・ビションフリーゼの元繁殖犬だったモナちゃん。かわいい顔であることもあり、望まぬ出産を強いられていましたが、子宮の持病の影響で子どもを産めなくなると、そのまま所有権放棄されてしまいました。そんなモナちゃんを、保護団体を通して引き取ることにしたのが現在の里親・宮川さん。初めて対面した際、モナちゃんは「私、また怖くて辛い思いをさせられるの?」と怯えた目で宮川さんを見ていました。

■やつれ果て、悲しそうな表情を浮かべていたモナちゃん

モナちゃんを保護したのは神奈川にある保護団体・ココニール。宮川さんはこの団体のブログでモナちゃんのことを知り、お見合いを経て引き取ることにしました。このときのモナちゃんは、本来なら自慢の真っ白なモフモフ毛も黄味がかっており、やつれ果て悲しそうな表情を浮かべていました。

宮川さんはそんなモナちゃんに対して「大丈夫。これからの犬生、私がめっちゃ幸せにしてあげるからね」と引き取り家に迎えいれました。

しかし、家に来てもまだモナちゃんは怖がっています。撫でてあげると、かろうじて気持ち良さそうな表情を浮かべ、ブラッシングも嫌いではない様子ですが、3日ほどは尻尾が上がることはありませんでした。

■「これからはいっぱい甘えてくれていいんだよ」

しかし、5日ほどが経過すると、モナちゃんの態度に変化が訪れます。

モナちゃんをしばらく撫で続け、いったん撫でるのをヤメると、モナちゃんが「もっと撫でろアピール」をしてくれるようになりました。また、宮川さんの顔を見て尻尾をふるようになり、少しずつ笑顔の表情を浮かべ、家の中を自由に歩き回るようになりました。このとき、宮川さんは「モナちゃんが私のことをやっと信用してくれたんだ」と思い、「私のほうが幸せな気持ちになった」と言います。

慣れてくれたところで、宮川さんはモナちゃんをトリミングに連れていき、自慢の毛を整えてもらいました。また、モナちゃんはリモートワークをする宮川さんに甘えたがるようになり、膝の上に乗ってくることも。宮川さんはそんなモナちゃんを愛おしく思い、「これまで甘えられなかったのだから、これからはいっぱい甘えてくれていいんだよ」と声をかけました。

■モナちゃんのちょっとオトボケなところもかわいい

「お姉ちゃん(宮川さん)のこと、信用していいんだ!」と理解してからのモナちゃんは、家の中ですっかりはしゃぐようになりました。

特に食欲にからむイタズラが旺盛で、自分の体ほどあるドッグフードの袋を引き出してきたり、自分で見つけたきたお菓子を自慢するかのように宮川さんの前で食べようとしたりすることも。宮川さんが「ダメだよー!」と、そのお菓子を取り上げると、モナちゃんはポカンとした表情を浮かべながら、お菓子を追いかけます。宮川さんは「モナちゃんの、そんなちょっとオトボケなところもたまらなくかわいいんですよ!」と教えてくれました。

■「これから先も、こんな笑顔でいてほしい」

当初は悲しそうな表情を浮かべ怯えていたモナちゃんですが、宮川さんのたっぷりの愛情を受けて、すっかり元気を取り戻しました。

また、宮川さんがどこかに行くと不安がるようになり、30分ほど宮川さんが外出し帰ってきたところで、吠えまくり「どこ行ってたの? 寂しかったよ……」と全身でアピールしたり、お風呂にまで付いてくるようにもなりました。モナちゃんにとっては、自分にとって一番甘えられるお姉ちゃんが宮川さんであり、そして、絶対に信頼できる友だちのように思っているのかもしれません。

今年2月、モナちゃんは宮川さんのお家に来て1年を迎えました。モナちゃん自身も4歳になり、宮川さんはモナちゃんを模したとってもかわいいデコレーションケーキを作ってもらいました。

そのデコレーションケーキの表情は、普段モナちゃんが宮川さんの前で見せる笑顔にそっくりです。「モナちゃんがこれから先もずっと、こんな笑顔でいてくれたらいいな」と宮川さんは思いました。そして、そんな宮川さんに、モナちゃんはまた嬉しそうな笑顔を見せてくれました。

(まいどなニュース特約・松田 義人)

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